遠藤 レース内容は全然良くないです。なんか中途半端に終わっています。女子戦でも記念でも。ほんとたまたまクラシックだけなんですよね。調整面でも、伸びでやられることが多くて分かってないんです。
馬場 僕はトータルで見たら好調ですよね。GⅠ2個、GⅡも1個勝たせてもらって。ただ、やっぱりGⅠの優勝戦1号艇で2回負けてるんです。逆にそれがあったから、戸田と下関でイン以外から勝てたというのもあると思います。
GⅡはクラシックの裏開催で、エミちゃんとマル(丸野)はクラシックを走ってたので、それがほんと悔しかったっていう気持ちがありますね。そのクラシックでエミちゃんが優勝したっていうことが、僕の中でもすごく大きなことでした。――遠藤選手はSGウイナーとなってからの変化は?遠藤 何も変わりません。あっ、リモート取材が増えました。レース終わったら絶対ある感じです。毎週(笑)。仕事も詰まっていたので、オフって感じはなかったかもしれないです。
――レースへの影響は?遠藤 特にないです(笑)。馬場さんはSGを獲られた後、すごい自信がついたって話を聞いたんですけど、私はまだそこまで力もないので。SGでコンスタントに準優に乗れるわけでもないので、自信がついたって感じはないですね。
馬場 確かにエミちゃんには自信がついたって言いましたけど、何て言うのかな、ドヤ~っていうような感じではなくて、俺でもできるんやなっていうか、通用するんなやっていう意味での自信かな。チャンスが来たらできるっていう部分が大きかったかな~。エミちゃんは女子戦の中で結果をたくさん出してきて、記者の方からも「次はSGだね」とかずっと言われてきたと思うんですよ。そう言われてきた中でSGを勝ったというのは、エミちゃんにとってもどこか肩の荷が下りたというか、いい意味で力が抜けたと思うんですよね。なのでこの先、それがいい方向に向かうんじゃないかなって客観的に思っています。
馬場 あっ、獲っちゃったって感じでした(笑)。それが少しずつ自分の中で実感していくような感覚でした。
遠藤 私はこの前の住之江のGⅠでファン投票のドリームがあったんですけど、それに選ばれたのはSGを獲ったからだと思うし、そういった周りの人の反応とかで実感しました。
――遠藤選手のSG優勝で業界自体もすごく盛り上がっている。遠藤 売上はすごいですね。でもお客さんにはもっとレース場に入ってほしいですよね。まだ入場制限とかあって、前みたいにお客さんが水面際にいっぱいいないのは寂しいです。
馬場 人気面でいうと、知り合いに「この前レース場に行ったら、若いファンが増えてるんだね」って言われたんですけど、そういう話を聞くとうれしいですね。
遠藤 もっともっと盛り上げたいですね。取材とかトークショーとかでも、もっと協力していかないとなって思います。あんまり得意じゃないですけど…(苦笑)。
馬場 もちろん、エミちゃんを含めて、SGを走る女子レーサーにはそれだけの力があると思いますよ。チャンスさえ来たらつかめるっていう。ただ、エミちゃんの優勝で、男子も燃えるものがあると思うんですよ。もう獲らせへんぞっていう。それで女子全体のレベルも上がるでしょうし、業界自体ももっと盛り上がると思う。女子2人目のSG覇者も出る可能性は十分あると思いますよ。
――馬場選手から見て、デビュー当時の遠藤選手の印象は?馬場 言葉で表すなら努力の人ですね。とにかくめちゃくちゃ練習する子やなっていう印象でした。しょっちゅう練習に来て、ペラも叩きながら練習したり。レースで一緒になった時はずっと試運転してるし。この子はほんまに努力するなって思いました。でもエミちゃんは頑固なんですよ~(笑)。
遠藤 ハハハッ(笑)。
馬場 例えばペラとかで「エミちゃん、それは調整やり過ぎやで。合わへんで」ってアドバイスするじゃないですか。そしたら「はいっ、分かりました」って返事はするんですけど、また次にペラを見てあげると、同じことやってるんですよ。「それ、さっきも言うたやん」って(笑)。
遠藤 いや、先輩の言うことはすごく聞いてるんですよ。でもまたいろいろやってたら、そのダメな部分が出てきちゃうというか(笑)。いつも失敗が多いです。自覚症状アリです…(苦笑)。
馬場 でも自分が思ったことをやり抜くっていう、いい意味での頑固でもあるし。もちろんプラスもあれば、マイナスもあると思うけど、その頑固さがあったからこそSGを勝ったことにもつながっていると思います。
――遠藤選手は自分の性格をどう分析している?遠藤 適当なところが多いです。大ざっぱ。だってペラは馬場さんみたいにきれいに叩けないですもん。
馬場 まあペラをきれいに叩けたからといって、エンジンが出るわけでもないですしね。でもエンジンをほんまに出すのは、僕よりエミちゃんやと思いますよ。
遠藤 いやいや、それはない(笑)。
馬場 僕はどちらかというと型にハメちゃうタイプなんですよね。でもエミちゃんは適当は適当かもしれないけど、幅が広い調整なんですよ。エミちゃんは非常にあかんエンジンでも節間ですごい仕上げてくる時があるけど、僕だったらあかんままで終わってるだろうなって感じる時がある。
遠藤 私、少しでもおかしな部分があると、すぐペラを叩きたくなっちゃうんですよ。そういう意味では結構思い切った調整をしたりしますね。逆の方向に調整したり。あっ、優勝したレディースチャンピオンはノーハンマーでした(笑)。我慢強くないんです。
――では馬場選手の自己分析は?馬場 細かいとこは細かいんですけど、適当なとこは適当です(笑)。仕事、調整面に関しては几帳面かな。でも宿舎の部屋とか、人に見られへんとことかは結構、雑ですね。外面がいいタイプです(笑)。ボートをめっちゃ拭く人いるじゃないですか。僕はしないですもん(笑)。
遠藤 あっ、私も拭かない…(笑)。エンジンは拭きますけど。
馬場 愛着はあるんですけどね。例えばエンジンのネジ山とかがグチャってなってたら、それは嫌だから新品に替えたりしますね。気にしない人はしないと思いますけどね。
――グランプリへの意識は?遠藤 しっかり出たいと思っています。めちゃくちゃ稼いだので、正直、トライアル2ndから行きたいっていう欲が出たりします(笑)。せっかくのチャンスなので、そういう欲が出てきてしまいました。
馬場 僕はエミちゃんがクラシックを勝った時点で、1人では行かせたくないと。僕も初めてグランプリに出場した時は、守田俊介さんがいてくれたので、心強さというか1人だったら絶対しんどいから、僕がいることでエミちゃんの初めての雰囲気や重圧っていうのを少しでも和らげてあげれたらなと思っています。だから僕も頑張らないとなって思っています。
遠藤 優しい…。
馬場 でもグランプリは大村だから、調整とかはエミちゃんに教えてもらおうかな(笑)。
――滋賀支部はお互いが引っ張り合っている。丸野選手もグランプリ圏内。馬場 グランプリに滋賀から3人出たら、史上初じゃないんですかね? メモリアルの施行者推薦にしても、お互いがいい刺激になってくると思いますしね。
――後半戦に向けた戦い方、準備について。馬場 オールスターからSGが続きますし、ここからが本当の勝負。一気に抜かれることもあれば、逆に引き離すこともできる。トライアル2ndを意識するためには、ここからが本当の勝負だと思っています。
遠藤 私はフライング休みがあるので、出られるGⅠやSGでしっかりと結果を求めたいと思います。やっぱり混合GⅠに呼ばれたいですね。得るものがいっぱいあるので。そこでしっかりと準優に乗れるように、力をつけたいですね。
――強化したいポイントは?遠藤 えっ、全部です(笑)。ターンも調整もスタートの切れも。メンタルも全部(笑)。全部を仕上げたい。
馬場 僕は第一に考えたいのはメンタル面ですね。もうそこです。技術面で言えば、初動のハンドルの切り方を課題に挙げてやっています。メンタル面は、場数もあるでしょうけど、レースに臨むときの自分の考え方ですね。あとは優勝戦1号艇での逃げ方ですね(笑)。
――最後にファンへメッセージを。遠藤 いつもご声援ありがとうございます。今年はグランプリに行けるチャンスなので、馬場さんと一緒に2ndから行けるようにこれからも頑張りたいと思います。あっ! 丸野君も(笑)。
馬場 本当にいつもありがとうございます。ここまでいい調子で来ることができましたので、後半戦もしっかり結果を出して2ndから行けるように。エミちゃんと丸野と3人でグランプリを盛り上げます。ご声援宜しくお願いします。エミには負けへんで~(笑)。