スペシャルインタビュー
初出場のマスターズチャンピオンで史上最年少Vを飾り、メモリアルで12年ぶりのSG制覇を果たした原田幸哉。そのメモリアルで準優勝、続くダービーを初制覇した平本真之。元・同支部の先輩後輩であり、良きライバルでもある2人が、激動の2021年を振り返る。

もともとは同じ愛知支部の先輩後輩ですが、おふたりの出会いって覚えています?

原田 えっ? 全く覚えていないんだけど…。

平本 僕ははっきり覚えていますよ。僕がデビューした時、幸哉さんは愛知支部の役員をされていたんですよ。ルーキーはデビュー前に新聞社回りをするんですけど、それに同行してもらいました。

原田 えっ、ほんとに?

平本 その頃の幸哉さんは新人選手とマジで関わりを持たない、ぶっきらぼうというか怖い先輩でした(笑)。

原田 誰ともしゃべらない感じだったもんね。完全にシャットアウトして、誰ともしゃべらない人生を送っていました(笑)。

平本 全然しゃべってくれなかったです(笑)。

原田 僕が人と会話をするようになったのは30歳くらいの時かな。それまでは後輩とは全く会話がなかったね。

平本 壁を作っていましたもん。同じグループの人しかしゃべらなかった印象です。

原田 まあ同じグループの人間も全然いなかったけどね。その頃の僕としゃべってくれてたのは、(山崎)智也さんくらいかな。同県の先輩ともほとんどしゃべらなかったし。

平本 今は仲良くさせてもらっています(僕だけ?)。幸哉さんの自宅にも遊びに行ったことがありますし、幸哉さんも僕の家に来てくれたことがあります。

原田 ヒラちゃん、1回俺が不在の時にも来たもんね(笑)。

平本 沖縄が好きなんですけど、僕が沖縄に行く時、幸哉さんは大体いないんですよ。でも沖縄旅行の予定の中に「幸哉さん家を訪問する」っていうのがあったんで(笑)。でも家に入り込むわけじゃないんですよ。

原田 家の前から写メだけ送ってくるんだもん(笑)。

おふたりとも買い物が趣味とうかがいましたが…。

原田 俺もそうだけど、ヒラちゃんは欲しいものをすぐ買うタイプだからね。車も家も。でもこの前、ヒラちゃんに負けたことがあって…。宿舎で同じ雑誌を見ていたら、気に入ったヴィトンのリュックがあったんで、これ終わったら買おうってなったんですよ。でも僕は忙しくて買いに行けなかったんですけど、ヒラちゃんは次の節で会った時、そのリュックを背負ってきてて。あれはショックだった。初めて人に買い物で負けたって思った(笑)。

平本 幸哉さんも違う車を買いに行ったのに、ついでにフェラーリまで買う人じゃないですか(笑)。僕は優柔不断だけど、幸哉さんは決断がすごい。

原田 車は最大で6台所有していたことがあったかな(笑)。

そんなふたりは昨年仲良く? SG制覇。一年を振り返って。

原田 結果は今までで一番だったし、勝負強かったかなっていう気はしますね。メモリアルの優勝もだけど、マスターズCのすぐ後の徳山GⅠを勝てたことで、気持ち的な余裕ができたのが大きかったと思う。前半で記念を勝てていないと、結果を残さなきゃっていう焦りが出てくるんだけど、メモリアルは焦りなくレースができたと思う。エンジンも出ていたし、これならやれるんじゃないかなっていう気楽な感じが良かったかな。

平本 僕は幸哉さんとは逆で、上半期の記憶がほぼなくて(笑)。今年はグランプリなんて、とてもじゃないけど行ける立場じゃないって正直、思っていました。

原田 でもヒラちゃんは、今年に限らずここ数年の安定感はすごいなって思う。昔は浮き沈みが激しかったけど、大人になっていろんなことを考えられるようになったんじゃないかな。それにトライする精神が強いから、それがいい結果に繋がっているのかなって思う。

平本 僕から見た幸哉さんはいつも変わらなかったです。相変わらずカッコいいなと(笑)。確かに蒲郡のメモリアルの時はすごい気迫を感じましたけど、それ以外はほんといつもの幸哉さんでした。

原田 でも優勝した3節以外は内容がチグハグでボロボロ。一番ストレスの溜まった一年でしたね。ダメな時が多すぎて。結果もだけど、内容が悪い。一昨年の方が、結果は悪いけど内容的には納得っていう気がします。ストレスはだいぶありますね。エンジンを出し切れる節が少なくて、悩みが多かった。

平本 幸哉さんでも悩むことあるんですね(笑)

原田 常に悩んでるよ(笑)。エンジンを出し切れれば、あとはレースでの自分自身の問題だからね。そのレースもうまくいっていなかったから、今年に限ればダブルで悩んでたね。

平本選手は6月の蒲郡GⅠ、原田選手は8月の蒲郡メモリアル優勝と、地元(元地元)戦がターニングポイントになった。

平本 流れが変わったのはその蒲郡GⅠですね。あの優勝で賞金ランキングが18位くらいまで上がって、これでモチベーションがグッと上がりました。

原田 ヒラちゃんからしたら、俺はもう愛知支部じゃないでしょって思うかもしれないけど、地元意識って、支部単位とかじゃないと思うんですよね。僕は長崎支部に移籍するまでの23年間、蒲郡を背負ってずっと走ってきたわけだから、常に。そういった意識は忘れられないし捨てられない。蒲郡の人たちもそういう思いで見てくれていると思うんで。でもこの優勝でかなりすっきりしました。

平本 地元のSGやGⅠがあると、それに向けてっていう気持ちがあるかもしれませんけど、それ以外は一般戦でも記念でも常に同じ気持ちで走っています。でも逆にそれがダメなところかもしれないですけどね。だぶん幸哉さんはこういうタイプが嫌いだと思うんですよ。ちゃんとSGの重みを感じて走れって言う人なので(笑)。

原田 重みというか、僕はレースは何もかも一緒って言うのは違うと思う。例えばSGの準優や優勝戦でのFはペナルティーがあるし、稼ぐ人のほとんどはリスクとリターンを考えています。その中でやらなきゃいけないし、やるのが当たり前だから。なので地元だから頑張ろうとかは言葉には出すけど、実際にはどのSGも変わらないと思うんですよ。でも一般戦でそこまでリスクを背負ってできるかと言われればやっぱりできないと思う。20代前半ならそんなの関係なくイケイケだったと思うし、みんなが乗れない江戸川も関係ないって感じだけど、やっぱりリスクに気付くとね…。ヒラちゃんもどこかで分けていると思うよ。

平本 そうかもしれない…(笑)。

今年は大村でクラシックとグランプリ、常滑ではダービーが開催される。

原田 大村でSGが決まった時、まずクラシックの権利を取らないといけないって思った。だからマスターズCを勝った時はその点で本当にうれしかった。昨年は一般戦をほとんど走っていないから。お盆戦の後は正月戦だもん。GⅠを優勝しないとクラシックはほんと出られないですからね。

平本 クラシックは本当に狭き門なんですよね…。常滑に関して言えば、スタンドが新しくなりました! 現代的ですごくいいスタンドでした。防風ネットができて、2Mの水面も荒れなくなりましたし。最近は中止順延することもなくなったんじゃないかな。

原田 レーサーとしてはありがたいよね。水面が良ければ、ターンで勝負できるからね。

マスターズ世代、“オジサン”の活躍は続くのか。

原田 正直、30代後半から40歳くらいの間で、一旦落ち着く時期があるんですよね。ずっとうまく行かないというかイケイケじゃなくなるというか。まあ例外もあり得るけど。例えばずっとグランプリに行くのが当たり前だったのに、1回行けないと「まあ来年頑張ればいいや」みたいな気持ちになって、何が何でも今年も行くぞ、みたいな強い気持ちが薄れたりする。そういう時期なのかなって気はします。で、40歳を過ぎてくると、最後にもうちょっとやってやろうかなとか、やれるだけやって終わろうかなっていう気持ちが再燃してくるんじゃないかなって思う。

 まあ僕自身はまだ年齢を気にして走ったことはないけど、昨年は久しぶりっていう人がたまたま勝っただけで、これまでも吉川ゲンちゃん(吉川元浩)とか白井英治も活躍しているので、そんなに特別感はなかったかな? でも吉川ゲンちゃんがクラシックを連覇した時は、すごい刺激になりました。というかゲンちゃんでもできるんだって思った(笑)。俺の方が3つ年下だからまだまだやれるなって(笑)。

平本 僕ももう37歳ですからね(笑)。でも今3年連続でグランプリに行っているけど、もし次ダメになったら、さっき幸哉さんが言ったように停滞パターンに陥る可能性はあるかもしれませんしね。踏ん張らないといけないっていうのがあるかもしれないですね。

原田 ボートはほぼメンタルだから。7割はメンタルかなって感じがする。ベテランでもまだまだやれるけど、もういいやって思っちゃうとやれなくなる人っているしね。やる気を出せば、まだまだできる人ってたくさんいるよ。

男子の最低体重が52㎏になったことでやる気が出たましたか?

原田 だいぶ違いますね、この1㎏は。減量はもちろんしていますけど、無理せずにできるようになった。コンディションを整えて減量できるようになった。無理して減量すると、脳の反応とかも悪くなると思うんですよね。頑張るのはいいけど、無理するのは…。

平本 僕は自分に甘えすぎてて、最低体重が50㎏から51㎏になって52㎏になったら、自分もそれに合わせて同時に増えていきました(笑)。以前は減量なんか気にするタイプじゃなかったのに、30歳を過ぎてからはブクブクと増えちゃって。年齢を感じるのは、眠りが浅くなったり、長時間寝れなくなったことですかね。メンタルですね(笑)。

今後の目標をひとつ教えてください。

原田 菊地孝平にゴルフのスイングがブサイクだから直せって言われたので、自宅に離れを建てて、そこにシミュレーションゴルフの部屋を作って、スイング改造をしようと思います。だから今年も頑張って稼ぎます(笑)。

平本 僕は肉体改造をしたいから、自宅にジムを作ろうかな。いや、作るんかな~?(笑)。それか、庭にサウナを作ること。サウナは嫌いなんですけど、減量のアイテムなので、家なら違う気分で入れるかもって思って。幸哉さんよりスケールが小さくてすいません(笑)。菊地さんや横澤剛治さんみたいに、土地を買ってキャンプ場やみんなの遊び場を作ってみたいなって思いもあります。

原田 俺ん家(沖縄)の近くの島はどう? 土地代は安いと思うよ(笑)。

ボートレーサーは夢がありますね。最後にファンのみなさんへ。

原田 昨年は蒲郡でSGを優勝できた。今年は大村でクラシックとグランプリがあるので、そこでファンの皆様を魅了できるようなレースができるように。アグレッシブに走りますので、応援よろしくお願いします。

平本 今年も活躍できるように、より一層精進して頑張ります。応援よろしくお願いします。

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