タイムパフォーマンス
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時間のムダとはなにか。
人生の残り時間を思うと、そんなことも考える。最近「タイパ」という言葉をおぼえた。「タイムパフォーマンス」なんですね。ある一定金額でどれぐらいお金を使った甲斐を感じられるかが「コスパ」ならば、ある一定の時間をどれだけ有意義に使えるかが「タイパ」なんだろう。その考え方はわかる。しかしその精神というか、価値観になじめない。
そこで読んだのが、辻信一『ナマケモノ教授のムダのてつがく』(さくら舎)という書物。人々が「タイパ」を気にするのは落伍者になりたくないからである。一本でも多くの話題作を見ておくためにドラマや映画を倍速再生で見たり、仕事でなにか知識を仕入れたいと思ったら「10分でわかる○○」系の書物を読んだりして「時短」をはかる。ムダ毛もムダ肉も目の敵。〈ムダをはぶく努力を怠る人には何らかの社会的なペナルティが科せられることが暗に示されて〉いると著者は言う。
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渡邊十絲子(わたなべとしこ)。東京都出身。主婦にして詩人。生涯一競艇客という立場を貫き、問答無用に艇界を斬る気鋭の論客でもある。代表著書は詩を読むための手引書「今を生きるための現代詩」(講談社現代新書)、書評集「新書七十五番勝負」(本の雑誌社)など。