選手のプライバシー
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秋の終わり、ある種のハガキや封書がぽつぽつと届く。名簿に記載されているあなたの住所に変更はありませんか、という確認である。各種年鑑などがこうして最新の情報に更新される。
しかし、この種のやりとりはここ十年で激減した。公開される名簿がすっかり減ってしまったからである。昔は「紳士録」なるものがあって、どっからどう見ても紳士ではないわたしのようなものも記載されていたりしたのだけれど、紳士録もだいたい発行を終了してしまった。
昭和の前半に出版された本を見ると、奥付に著者の住所が書いてあるものもある。随筆などの本文中に、「この件について詳しいことをご存じの方はぜひご教示ください」などという言葉とともに著者の住所が書かれていることもあった。いまはもうそんなことをする人はたぶんいない。単純に、個人情報を公開するリスクが大きいからである。
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渡邊十絲子(わたなべとしこ)。東京都出身。主婦にして詩人。生涯一競艇客という立場を貫き、問答無用に艇界を斬る気鋭の論客でもある。代表著書は詩を読むための手引書「今を生きるための現代詩」(講談社現代新書)、書評集「新書七十五番勝負」(本の雑誌社)など。