石野貴之/瓜生正義/菊地孝平
石野貴之/瓜生正義/菊地孝平

2016年(平成28年)史上初!イン1着率が50%を突破、鳴門で58年ぶりSGを開催

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中道善博さんの夢

大規模な護岸工事と新スタンド建設のため、約2年間休催していた鳴門が4月28日に再開した。さらに7月には、1958(昭和33)年の「全国地区対抗競走」(オールスターの前身)以来58年ぶりとなる、待望のSG(オーシャンカップ)を開催した。
鳴門では長らくSGが開催されなかったので、稀代のターンの名手・中道善博さんは常にアウェーで戦っていた。しかしホームでのSGがあれば、あといくつかはタイトルを手にしていたことだろう。新スタンドの一角には、中道さんのメモリアルコーナーが作られて、その功績が讃えられた。
この護岸工事は、南海トラフ地震の津波対策によるもの。水面改修前はうねりがきつく、烏野賢太ら波巧者の“名産地”だった。しかし改修後は、潮の干満はもちろんあるが波はだいぶ小さくなり、近畿以西では最もインの弱い水面となった。

石野・菊地・瓜生の三つ巴に

そのオーシャンカップでは、石野貴之が同タイトル3回目の優勝を飾った。石野は秋のチャレンジカップ(大村)も優勝、SGでの強さが際立ってきた。続くメモリアル(桐生)を制したのが菊地孝平。さらに秋から本領を発揮してきたのが瓜生正義で、史上タイに並ぶ3回目のダービー制覇を果たした(福岡)。
そしてグランプリ(住之江)は三者の激戦となり、瓜生に軍配、石野が準優勝、菊地が3着となり、上位を占めた。少々意外だが、瓜生のグランプリ制覇及び賞金王は初。40歳で初の頂点となった。
女子戦線は、海野ゆかりが12年ぶりにレディーススチャンピオン(津)を制し、クイーンズクライマックス(平和島)は松本晶恵が4戦3勝の準完全Vで初戴冠。そして最優秀新人は、山田祐也田村隆信以来の徳島支部選手が獲得。ちょっとした鳴門イヤーだった。

イン1着率が50%を突破!

ボートレースの売り上げは、バブル崩壊以降下降を続けていたが、11年の東日本大震災のあった年を底にして、ようやくジワジワと回復。この年の3月までの15年度は、久しぶりに1兆円を超えた。
この背景には、ネット投票の拡大、場外発売の活況、ナイター場の増加などが挙げられるが、イン主導のレースが増えたこととの関連も否定できない。この年、全国平均でのイン1着率が、史上初めて50%を超えた。
プロペラ制度の変更と、伸びない減音機への全国統一に加え、シード番組の増加もイン強化に拍車をかけた。様々な意見はあれど、売り上げ増にはつながったようだ。インからの「買いやすさ」と、センター・アウトが活発に動く「レースの面白さ」、そのバランスをどうとるかが、艇界の大きなテーマとなってきた。
山本圭一

1957年横浜生まれ。物心ついたころからトランプなどでギャンブルに目覚め、20代では公営競技に没入。ボートレース歴も40年近い。初めて行った多摩川ではいきなり5連勝して「オレは天才だ!」と勘違い。 本誌マクールには創刊から携わり、昨年まで約15年編集長をつとめた。趣味の海外旅行でも各国のカジノなどを楽しむ。