リモートトーク

男子最低体重の変更は女子にとって大きなチャンス

21年の振り返り

――今回は21年の女子ボートレース界を牽引した3人のボートレーサーにお越しいただきました。まずはレディースチャンピオン(浜名湖)で優勝した遠藤エミ選手。夏のタイトルを獲得し、これまで苦手としていた夏場を克服したのでは?

遠藤 克服は……どうですかね。節間ノーハンマーだったので。引いたエンジンが良かったのが一番。とはいえ、去年の夏に自分の中で「こうしたらいいんだ」っていうのが見えたので、今年の夏は楽しみではありました。冬は冬で、レディースチャレンジカップ(多摩川)で優勝して、BBCトーナメント(鳴門)で優出できたことは良かったなと思います。まぁ鳴門ももらった時からエンジンが良かったですけどね。ただ優勝戦に関しては、タイムは出たけど、節間で一番伸びてなかったかなぁ。あとくじ運、大事ですね。「6」を引いちゃうと…。

守屋 私は地道にコツコツやってきた感じがします。SGで予選突破したりしたけど、それはエンジンが良かったので。

遠藤 それ、私が言ったのと一緒(笑)。

守屋 えへへ(笑)。

平山 私の21年は、上半期はリズムが良くなかったですね。コロナで開催中止になったり、せっかくSGに出られたのにフライングを切ったりして。だけど下半期に入ってから、出走機会も増えて調子が上がり、年末へ向けていい状態になっていったのかなと。前半戦の状況なら、とても年末のことなんて口にできる状況ではなかったのに、最終的には12人に入るところまで来たので、良しとします。

――20年11月以降、男子レーサーとの体重差が5㎏に広がった。この影響は?

遠藤 混合戦は記念を少ししか走っていないんで…。記念だとみんなエンジンを出すし、テクニックが違うので、今のところ変わりはないかなぁ。

守屋 体重のおかげなのか、エンジンの調整がうまくいっていたからなのかはわからないですけど、混合戦でエンジンが出ることが多かったと思います。だけど4㎏差から5㎏差になった違いと言われると、あまりわからないかもしれません。

平山 私は二人と印象が違って、この1㎏差は女子レーサーにとって本当に大きい、ありがたいことだと思っています。そのおかげで私も一般戦で優勝させてもらったし、他の女子レーサーも一般戦で優出したり優勝したり、明らかに増えましたよね。これは絶対1㎏の分だと思う。この差っていうのは、出足、立ち上がりの鋭さなのかな。何度引き波に沈められても、ビューンって出ていくんですよ。男子レーサーは混合戦で女子レーサーと走るのは嫌なんじゃないかと思いますよ。

守屋 たしかにそうかもしれないですね。

平山 例えば、すごいターンをする同じくらいの技量の二人がいたとして、どちらかに5㎏の重りをつけて一緒にターンをしてみたら、重りをつけた方はまず勝てないですよ。実験をしたわけじゃないから確実といえるわけじゃないけど、影響が最も大きいのは出足の部分。もちろん直線でも多少の差はつくかもしれないけど。だから今後、女子レーサーがSGを獲れるチャンスは絶対にあると思う。エミちゃんも美穂ちゃんもエンジンを出すし、早いスタートを行く、ターンだって負けない。全てがうまくかみ合ったとき、女子レーサーのタイトルも現実になるんじゃないでしょうか。

守屋 私ならやれる? そんなの思わないですよ〜(笑)。

平山 うそつき〜! 絶対思ってる!

守屋 いや、自信はないですよ。けどレースに行くときはちゃんと自信を持ってレースに臨もうとは思っています。

平山 芦屋のオーシャンカップの時なんか惜しかったでしょ。

守屋 予選中はエンジンも仕上がっていたし、「チャンスあるかも」って思ったんですよ。だけど勝負どころで失敗したり、準優でターンスピードの違いを目の当たりにして、結果を残せなかった。エンジンが出ているだけじゃ勝てないということを痛感しました。もっと技量も、駆け引きも、勝負強さも培っていかないといけない部分なんだと思います。

21年がんばった大賞

――では続いて、それぞれが21年で一番がんばったなぁと思うポイントは?

平山 丸亀9月の混合戦。予選2位だったんですけど、準優勝戦も優勝戦も前付けがあって100m起こし。優勝戦は加えて3カドにされたんですけど、自信のスタートを決めて、優勝できました。これが今年の中では一番価値ある戦いだったなぁと思っています。

――旦那様(福田雅一選手)も褒めてくれた?

平山 家でレースを観てて、私が張り切って深い起こしにしてるし、3カドにされたから、進入中に「これは無理かもしれない」って言ってたらしいです(笑)。なんとか押し切れたんで、「よかったね」って言ってくれました。

守屋 私は達成できた目標もあるんですけど、できなかったものもあって、やっぱりできなかったことの方が気持ちを占めるんですよね。もっと頑張れたんじゃないかって。そう思うと、自分のことを褒めていいのかなって感じです。

遠藤 達成できたことって?

守屋 6回優勝してクラシックの権利が獲れたこと。

平山 それは褒めてもいいんじゃないの?

守屋 そうですね。エミちゃんは?

遠藤 レディースチャンピオンかなぁ。

守屋 だよね(笑)。

遠藤 ノーハンマーで1節間過ごしたし。

守屋 今までノーハンマーの節ってある?

遠藤 ないよね。今回が初めて。2〜3日叩かないってことはあったけど。

守屋 途中で叩きたくなったんじゃない?

遠藤 4日目の朝、おかしくなってたんで叩きたかったけど、我慢した。それがよかったと今では思ってるけど。

平山 エミちゃんは初めてだって言ったけど、私はレーサー人生の中で5回ぐらいはあるかな。10回まではないと思うけど。

守屋 私は1回だけ。4日節でエンジンが出てたこともあるけど、プロペラが特殊な形すぎて、どうしたらいいかわからなくて叩けなかった(笑)。

宿舎あるある

――宿舎では何をして過ごすんですか?

平山 他愛もないことを喋ってますよ。何を買ったとか、これ使ってみたらよかったよとか。

守屋 それこそ10月のびわこ周年では、女子はこの3人であっせんされて、宿舎も同部屋で、前検・初日とかめっちゃ喋りましたよね。

平山 え? 私、加わってたっけ?

遠藤 平山さんが一番喋ってましたよ〜(笑)!

平山 そうだっけ(笑)。二人が聞き上手やから、ついおしゃべりしちゃうんですよ。

――女子ひとりあっせんという経験もあったかと思う。

平山 記念やSGだと何度かありましたね。

遠藤 私も。

平山 喋んないからさみしいよね。楽といえば楽だけど。

遠藤 そうですね。

平山 津の古い宿舎でお風呂を出た直後、濱野谷憲吾さんに「幽霊が出たかと思った」って驚かれたことがありましたね(笑)。一人だと、変なところに控室が設けられることがあるんですよ。

守屋 三人だとちゃんとした部屋を与えてもらえますもんね。

――女子戦が増えて、仕事の日程が過密になって大変では?

平山 レース場に入るとレースに集中するだけ。睡眠時間もしっかり取れるので、体力面ではどうということはないけど、家のことができないのがつらいですね。子どもを見てくれる祖父母にかける負担も大きいし…。

守屋 仕事にたくさん行くと、家族に負担をかけるのはそうですね。犠牲にしていることもいっぱいあります。

平山 うちは子どもが4歳と3歳なので、毎節帰るたびにいろんな成長を感じられるのが楽しみですね。喋る言葉とか増えますし。

守屋 うちは6歳なので、成長の面では落ち着きましたけど、その楽しみはすごくわかります。

ボートレースの発展タイトル、歴史に名を刻む

レディースオールスターと夢

――レディースオールスターファン投票、1位守屋選手、おめでとうございます! 中間発表からトップを守り抜きました。

守屋 ありがとうございます。

遠藤 守屋さん、何したん!?(笑)

平山 「見ててください」って言ったんよね(笑)。私は4位。

守屋 エミちゃんは?

遠藤 7位。ドリーム乗れず……。予選から頑張ります。

――では、最後にみなさんの今後の夢や目標をうかがいます。

平山 私の大きな目標は「ボートレースの発展」。何もせずにいたら、小さくなる一方だと思うんですね。それは娯楽であり、なくてもいい存在だから。これまでボート業界を支えてくれたシニアの方たちがいなくなってしまう前に、20〜50代の現役世代をしっかり取り込んでおかないと、ボートレースに関わる人たちみんなが困ることになる。そうならないために、もっと認知度を上げたいし、もっと身近な存在になって、みんなが遊びに来てくれる場所になってほしい。もちろん、ボートレーサーを目指す人ももっともっと増えてほしいですしね。ボート界を盛り上げたいと思って走っているし、微々たるものですが、SNSでの発信もやっています。

守屋 私はタイトルがほしいです。周りの強いレーサーたちは、タイトルを獲ったり、表彰を受けたりしている。そんな名誉ある舞台に私も立ちたいと思っています。

遠藤 歴史に名を刻めるレーサーになること。そのためにSG優勝、これが今の私の目標です。しっかり覚悟を持って、取り組んでいきます。

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