佐藤 舟券を初めて買ったのは21歳ぐらいのときでした。お世話になっていた厩務員さんがボート好きで、トレセン(トレーニング・センター)からボートレースびわこは近いので連れて行ってもらったんです。といっても、ボートレース自体はもっと前から知っていたんですけどね。大阪出身なので中学生のときに親父に住之江に連れて行ってもらって「ボート選手はどうや? 稼げるぞ」って言われていたんです。背も低かったし、自分としてもすっかりその気になっちゃったんですよね。ところが競馬のほうが先に試験があって、そっちに先に受かってしまったので、競馬の道に進むことになったんです(笑)。
競馬の道に進みながらも、ボートの選手はいいなと思うこともありましたよ。ボートはひとりで賞金王を目指せるじゃないですか。競馬は競馬の良さがあるんですけど、競馬の場合は騎手ひとりの力ではなく、みんなの力が合わさってレースで勝ったり負けたりということになるんですよね。その点、ボートはひとりの力で勝負している、そこに憧れはありました。
佐藤 技がわかりやすいですよね。まくり差しとかまくりとか逃げとか…。モンキーの姿勢の違いを見たり、すごい狭いところを入っていくのを見るのは楽しいです。競馬でも狭いところに入っていくようなレースはありますけれど、ボートは周回が競馬よりも小さい分、近くで見られますよね。
競馬ってゴール板のところまで接戦になって、ゴール後でも「いま、どれが勝ったんかな?」っていう感じが楽しいと思うんですよね。ボートももちろんゴールするまでわからないですけど、ある程度は1周するまでには決まってしまうじゃないですか。自分が推理した舟券が「当たってる!」と確認しながら、残りの周回を楽しむことができるのはボートならではじゃないですかね。当たっている状態の時間が長いというか…。その間、ずっとドキドキできますよね。当たっていたはずなのに、途中で逆転されてハズレちゃう場合もありますけれど(苦笑)。
個人的な話をすると、現役時代には大きく買ってみたりして、自分の度胸を試すこともありました。負ければ自分の騎乗で取り戻そうと思ったり、勝てば運が向いていると思ったり…。まあ、実際に舟券の結果が自分の仕事に影響を与えていたかと言えば、そんなことはないんでしょうけど、舟券を買うことで刺激を受けていた面はありました。
それとボートで3連単の舟券を買うことで、3着に入ることも大切なんだとあらためて思うことができたのは、ジョッキーの仕事にも活きたと思います。競馬の場合は1等以外は何着でも同じと思いがちなんですよ。もちろん賞金は2等と5等では違いますけれど、まず勝ちを目指す。すると勝ちに届かなかったら何着でもいいという意識になりがちなんですよね。でも馬券を買っているファンにとっては3着までに入って馬券に絡むことは価値があることじゃないですか。最初から3着を目指すってことはないですけど、そこをまったく気にしないのはよくないなとボートから学びました。
佐藤 よく言われるレースでしょうけど、植木通彦さんと中道善博さんの賞金王決定戦(第10回・1995年)です。初めて現場に見に行った賞金王決定戦でした。その頃の自分は、たいして騎乗数も多くなかったんですよね。目の前で繰り広げられた熱戦で、お客さんが熱くなっている姿を見て、自分もがんばらなきゃいかんなと刺激を受けたレースでした。
個人的に親しくさせてもらっている選手も多いんですが、滋賀県の選手とは現役時代から会う機会も多かったです。吉川昭男さんは去年、最多勝を獲りましたけれど、ベテランと言われる年齢になってもああいう活躍をしているのはいいですね。競馬も騎手寿命は長くなってきてはいますが、松井繁さんや田中信一郎さんたちのように僕と同世代の選手が活躍しているのを見るのはうれしいですね。
佐藤 尼崎で吉川ゲンちゃん(元浩)が操縦するペアボートに乗せてもらいました。想像以上に水面は堅かったです。これは膝をイワすなぁって思いましたよ。視点の高さが競馬とは全然違うので、あの低さからよくまくり差しで入るようなところを見つけられるよなと感心しました。その一方で慣れればできるかもと思ってしまう自分もいたりしましたけど(笑)。
佐藤 4~5回は行っていると思いますよ。景色はいいし、水もきれいだし…、場内の佐世保バーガーも美味しかったです。関西からだと伊丹から長崎空港まで45分くらいで着くし、レース場は空港からも近いですからね。トレセンのある滋賀県から住之江や尼崎に車で行くのとあんまり変わらないんじゃないかなと思ったりもして(笑)。
大村と言えば1号艇が強いことでも有名ですよね。昔はインからの舟券を買わなかったんですけど、ここ数年は勝負をするならインからと思うようになったので、その意味では買いやすいと思います。ただ、住之江と比べると2コースが利きにくくて、2着や3着に5号艇や6号艇が絡むことが多いんですよね。1から買うのでも、バラエティに富んでいる気がします。なんというのかインから買うと言ってもなかなか絞らせてくれない。そういうレースが多いですよね。個人的には1-4-6や1-5-2や1-5-3で勝負することが多いかな。
佐藤 ナイターは雰囲気がいいですよね。見ていてもきれいです。中央競馬にナイターはないですけど、大井では乗ったことがあります。ナイターのほうがお客さんも、カップルだったり、会社帰りにみんなで来たり…、雰囲気を楽しんでいるようなイメージがありますね。
これはどうなるかはわからないですけど、ナイターになるとさらにインが強くなるのでしょうか。そうなると、ボート初心者でも舟券が当たるという楽しみを知ることができるんじゃないかなと思います。ただそれで、ボートレースは6艇だから簡単! と思われるかもしれませんが、全然そんなことはないし6艇だから難しいという面もあるんですけどね(笑)。
それとやっぱりお客さんがレース場に来やすい環境を作って欲しいですね。やっぱりお客さんがたくさんいる中でレースをすることは、乗っているほうにはかなり刺激になります。それと同時に選手が過ごしやすい環境があれば、その分、いいレースも増えるでしょうし、それを見たお客さんも楽しめるでしょう。そういう相乗効果を期待したいですね。
私が福岡から大村に異動したのが昨年の正月から。レース場によって予想のスタイルが大きく異なることを1年半たった今、すごく実感している。福岡ではエンジンが出ている選手は枠番やコースに関係なく狙えた。パワー不足の1号艇を無印にすることに迷いはなかった。だが1コースの1着率が70%に迫る勢いの大村では、そうはいかない。ただインが強いレース場というのは確かだが、売り上げの多くを占める電話投票や場外のファンを意識して、1号艇に軸となる選手が多いのも1コースの1着率を押し上げている要因だろう。確かに印を打つのはスムーズになった。誤解されては困るが、だからといって全レースが大本命番組という訳ではない。ナイターが始まってから固定戦はこれまでの2つから、5Rの1つに減る。A級が1号艇で1強の夕(夜)ガチ戦が6R、A級2人で2強の夕(夜)ドキ戦が7Rに移行して午後5時以降に買いやすい番組が組まれる。本命党がターゲットにしたいのは、間違いなく、この3つのレースだろう。また、これまでの傾向では、最終日は特に1号艇中心の番組が多いのも付け加えておきたい。
大村で高配当が出るのは、簡単に言えばインが負ける時だ。いくらインの強いレース場でも、出足や回り足が弱かったらターンで流れるし、行き足が悪ければSが決まらない。そんな選手が1号艇に組まれた時が穴党の出番だろう。ナイターになれば気温は下がるが、湿度は上昇して調整は難しくなる。そこをいかにしてうまく合わせられるか。これまでの調整方法とは違ってくるだろう。大村には伸びが強力なエンジンは少ない。温水パイプが外れている時は、さらに伸びの差が小さくなる。基本的には出足勝負だ。とは言っても、対戦メンバーの組み合わせによって伸びる選手は節間に何人かいる。テスト走行に参加した選手に話を聞いてみた。すると1、2マークの周辺と比べると、スタートする時は外が暗いので、インから走っていると一瞬、外にいる選手が視界から消えることがあったという。Sが早かったり、伸びる選手が外枠にいる時は狙ってみてもいいのかも。ナイターが始まって大村のレーススタイルは変わるのか? 担当記者としても楽しみでならない。また大村は夕日がきれいなレース場。夕日とナイターのコラボが楽しめるのも大村ナイターの楽しみの一つかも。
出場予定選手 | 山本 浩輔 | B1 | 大田 直弥 | B1 | |
中里 英夫 | A2 | 田中健太郎 | B1 | 井上 大輔 | A2 |
金子 建二 | B1 | 萩原 秀人 | A1 | 森作 雄大 | B1 |
竹村 祥司 | A2 | 柳橋 宏紀 | A2 | 富永 大一 | B1 |
一瀬 明 | A1 | 榎 幸司 | A1 | 菅 章哉 | A2 |
守田 俊介 | A1 | 佐竹 友樹 | A2 | 谷川 将太 | B1 |
原田 幸哉 | A2 | 大串 重幸 | B1 | 中田 友也 | B1 |
瓜生 正義 | A1 | 齊藤 優 | A2 | 山ノ内雅人 | B1 |
前田 昭広 | B2 | 藤川 利文 | B1 | 籾山 佳岳 | B1 |
細川 明人 | B1 | 川崎 誠志 | B1 | 田代 元気 | B2 |
小川 知行 | B1 | 畔柳 俊吾 | A2 | 権藤 俊光 | A1 |
織田 猛 | B1 | 岩田 優一 | B1 | 中村 泰平 | A2 |
飯山 晃三 | A2 | 新出 浩司 | B1 | 中山 将太 | B1 |
佐々木康幸 | A1 | 下條雄太郎 | A1 | 高木 圭大 | B2 |
菊地 孝平 | A1 | 永嶋 裕一 | B1 | 澤田 尚也 | B1 |
出場予定選手 | 淺香 文武 | A2 | 石田 一吉 | B1 | |
西島 義則 | A1 | 梶原 正 | B1 | 川尻 泰輔 | A2 |
岡本 慎治 | A2 | 津留浩一郎 | A2 | 松下 一也 | A1 |
落合 敬一 | A2 | 中村 智也 | B1 | 吉島 祥之 | A2 |
渡辺 豊 | A2 | 木山 誠一 | B1 | 山田 哲也 | A1 |
滝沢 芳行 | A1 | 川原 正明 | A2 | 森作 広大 | B1 |
堤 健一 | B1 | 川村 正輝 | A2 | 長谷川雅和 | A1 |
渡邊 哲也 | B1 | 大古場 貴 | B1 | 川原 祐明 | B1 |
市川 哲也 | A1 | 三瀬 譲 | B1 | 蒲原 健太 | B1 |
川上 昇平 | B1 | 石川 哲秀 | B1 | 入海 馨 | B1 |
松本 勝也 | A1 | 杉本 洋一 | B1 | 花本 剛 | B1 |
渡 修平 | B1 | 芦澤 望 | A2 | 吉田 裕平 | A2 |
田野邊秀樹 | B1 | 島田 一生 | B1 | 町田 洸希 | B2 |
中村 守成 | A2 | 東本 勝利 | A1 | 秦 直也 | B2 |
大西 隆洋 | B1 | 濱崎 誠 | A2 | 谷口 知優 | B2 |
出場予定選手 | 野田 祥子 | B1 | 中田 元泰 | A1 | |
田嶋 茂 | B1 | 石橋 道友 | A1 | 近藤 友宝 | B1 |
平岡 重典 | B1 | 木村 浩士 | B1 | 末永 由楽 | A2 |
長岡 茂一 | A2 | 中井 俊祐 | B1 | 青木 玄太 | A1 |
藤丸 光一 | A2 | 岩永 節也 | B1 | 松崎祐太郎 | A1 |
広瀬 聖仁 | A2 | 浮田 圭浩 | B1 | 片橋 幸貴 | A2 |
栗原 謙治 | B1 | 高橋 直哉 | B1 | 尾崎 雄二 | B1 |
嶋田 貴支 | B1 | 佐藤 旭 | B1 | 西澤日花里 | B2 |
倉田 郁美 | A2 | 大澤 大夢 | A2 | 佐竹 太一 | B1 |
小黒 竜吾 | B1 | 落合 直子 | A2 | 齋藤 達希 | B1 |
折下 寛法 | A2 | 麻生 慎介 | A2 | 小池 礼乃 | A2 |
上之 晃弘 | A2 | 小坂 尚哉 | A1 | 小野 真歩 | B2 |
平田 忠則 | A1 | 乙藤 智史 | A2 | 出口舞有子 | B1 |
古賀 千晶 | B1 | 大井 清貴 | B1 | 井本 昌也 | B1 |
柳沢 一 | A1 | 田中 辰彦 | B1 |