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「当てたいのか、勝ちたいのか、儲けたいのか」。 ボートレースに限らず、ギャンブルをやる上で永遠につきまとってくるテーマだ。 買い目を絞ればその分外れる可能性も高くなる一方、手広く買えば儲かるが安くなり、最悪トリガミとなる。 では、「全-全-全」を買えばどうか。 それは本当に舟券作戦として意味があることなのだろうか。 今回は誰もが一度は脳裏をよぎったことがあるであろう、「全通り」を深堀りしたい。
ボートレースは6艇立てで行われる。 そのため、3連単の組み合わせ数は6通り×5通り×4通り=120通りだ。 全て100円ずつ買えば1万2千円かかる計算となり、これが全通り勝負をする上でのミニマムベットとなる。
競馬や競輪といった公営競技はボートレースと比べて出場する選手が多いため、その分、3連単の組み合わせ数も多くなる。
中央競馬(フルゲート18頭の場合)→18×17×16=4,896通り。100円ずつ買うと48万9千600円が必要。
競輪(9車立ての場合)→9×8× 7=504通り。100円ずつ買うと5万400円必要。
オートレース(8車立ての場合)→8×7×6=336通り。100円ずつ買うと3万3千600円必要。
こう見ると、全通りを買っても1万2千円で済むボートレースはハードルが低いようにも見える。
さて、一番気になるのは「全通りを買って儲かることはできるのか?」という点だろう。
まず、1年間全てのレースで3連単「全-全-全」を購入したらプラスなんだろうか? 結論から言うとそうはなりづらい。ボートレースで全通りを買うには最低1万2千円が必要だ。 ということは、1点100円で均等に買った場合、利益を出すためには配当が120倍以上の舟券をとならなければいけない。 2024年1月~12月の全国の3連単平均配当は7,260円。 全通り買いの利益分岐点である1万2千円には遠く及んでいない。 いくら的中率が100%であっても、闇雲に買うだけではプラスは望めないということだ。
均等買いでトリガミが発生するなら、購入金額を振り分けるのがセオリー。これを全通り買いで行おうとするとどうなるだろうか。
テレボートの「資金配分」機能を使って試してみよう。 これは、どのベットが的中しても均等な配当になるように資金を配分してくれる機能だ。
まず、1万2千円でスタート。当然、分配機能を使おうが1点100円にしかならない。人気は1号艇で集中。テスト時点で1号艇が勝つ組み合わせは全てトリガミとなる。これだけ人気が集中していると当然①頭以外のオッズには妙味が出てくる。
では、軍資金を増やして5万円に設定してみた。 すると、目に見えてトリガミとなる組み合わせが増えた。1万2千円でトリガミにならなかった②頭や④頭までも例外なく原価割れを起こすことになった。この時点で来れば儲かる組み合わせは「6-2-4」、「6-3-5」、「6-4-1」、「6-4-2」、「6-4-3」、「6-4-5」、「6-5-4」の7通りのみだ。
分配合計を9万円にしたら、全ての組み合わせがトリガミ確定。10万円に設定しようが、100万円に設定しようが結果は同じだった。
こうなると自力で投資金額を振り分けるという方法もあるが、締め切り時間までに120通りのオッズマネジメントをするのは至難で、現実的にはオッズも刻々と変化するため実質不可能な手段だろう。
なぜ全通り買いで的中率100%を実現しても勝てなくなるのか。その背景にあるのが控除率と還元率だ。
控除率とは舟券の売上に占める主催者の取り分の割合を指す。いわゆる「テラ銭」に当たる部分だ。ボートレースは控除率が25%、還元率は75%となっている。仮に売上が1000万円だった場合、250万円が主催者の取り分となり、残りの750万円が配当金の原資となる。公営競技とは言い換えれば売上の75%をファン同士で取り合うゲームなのだ。
舟券を買うために投入したお金からは常に25%が徴収されている。だから1レース毎、1日毎など局所的に見ればプラスになる時もマイナスになる時もあるが、長期的に見ると回収率は理論値である75%に近づいていく。だからこそ、むやみに買うレースや目を増やしてしまうと、やればやるほどマイナスになってしまうというわけだ。
ここまで来ればやたらと舟券を買うだけでは勝てないし、ましてや全通り買いを繰り返すなど愚策に等しいということが分かってくる。ならばどうするべきか。そう、基本の考え方として狙うレースを絞るという作戦になる。
全通り買いの場合、損益分岐点は1万2千円なので120倍以上の配当が出やすそうなレースを探すべきだ。考えられる主な条件はだいたい以下のようなものだろう。
デイ開催やナイター序盤のレースはB級やその節で苦戦している選手が集められた乱戦番組が少なくない。軸選びが難しいレースほど波乱も起きやすくなるため、120倍以上の配当に出会える可能性も高い。
上記と少し似た話だが、抜けて人気を集めている選手がいない場合は狙い目だ。オッズが割れているということは多くの選手に何か勝てそうな要素があるということでもあり、思わぬ決着となる可能性も高い。また、オッズが割れていれば仮に本命サイドの決着だったとしてもトリガミのリスクや損失が軽減される。
実力面で見劣る選手でもエンジンが良ければ番狂わせを起こせる可能性が高くなる。反対に有力選手はどうしてもある程度人気を集めてしまうが、エンジンの裏付けがなければそれだけ実際の信頼度は低くなる。強い選手の機力が弱く、弱い選手の機力が強い時は波乱の目ありと見て全通り買いも選択肢になるだろう。
人気が薄くなりがちな外枠の選手が舟券に絡めば配当は上がりやすい。ただ、外の選手が上位に入るためにはやはり展開が必要だ。その展開を左右するのが「まくりを狙う選手がいるかどうか」だ。誰かが握ればその他の選手にも差して上位に食い込むチャンスが生まれる。伸びがいい選手やまくり屋の選手がいるレースなら、展開が乱れて好配当をゲットできる期待値も大きい。
全通り買いの乱発は逆効果だが、ここぞという時なら好結果を生み出すことはあるだろう。大事なのはレースを見極める眼力なのだ。
ここからは全通り買いから少し離れて、配当と万舟について触れてみたい。先ほど全国の平均配当(2024年1月~12月)は7,260円と書いたが、改めて競艇場ごとに3連単の平均配当、1コース1着率、万舟出現率を以下の表にまとめてみた(データは全て2024年1月1日~12月31日の集計)。
平均配当トップは鳴門。コース幅が狭い上に波風の影響も大きく、荒れた決着が起きやすいことで知られているだけに順当な結果と言えるのではないだろうか。実際に1コース1着率は49%と下から三番目で、万舟出現率は僅差で平和島を抑えて全国トップに立っている。 ちなみに1コース1着率が40%台なのは戸田、平和島、鳴門の3場だが、戸田と平和島は鳴門ほど平均配当が高くない。この3場に限って万舟を金額別に分類して件数と比率をまとめると以下のようになった。
多くの項目で大差はないものの、10万舟以上は戸田で9件、平和島で5件にとどまったのに対して鳴門では12件も飛び出している。また、3万円台の万舟も鳴門は他2場に比べて件数、比率ともに少々リードしている。 これは一考察だが、戸田と平和島は穴が出やすいと認知されている上にレースも接戦番組が多く組まれる傾向があるため穴買いするファンも多く、結果的に大穴配当が出づらいのではないだろうか。
一方で鳴門は他のモーニング場と同じく、1~4Rはシード番組が行われる。人気を吸収する主力選手が舟券から外れた場合は当然配当も跳ね上がるため、シード戦の方が逆説的に大穴が出やすいとも言える。実際、鳴門で年間12件発生した10万舟の内、3分の1に当たる4件は1~4Rの間、つまりシード戦で生まれている。鳴門の平均配当はインが敗れやすい水面とシード番組の多さという要素が絡み合って上がっているのだろう。
芦屋の平均配当が8,000円をオーバーしたのも同じ理屈が言える。大村や徳山などと同じくインが強い水面として知られる芦屋だが、万舟出現率は17.3%と決して低くない。そして特筆するべきは、10万舟の出現回数が年間23回と群を抜いて多かったのだ。芦屋のシード番組は通常1~5R。7RもオールB級戦が多いが進入固定で行われている。10万舟23件の内、上記に該当するレースは実に11回。超大穴を狙うならモーニング場のシード戦をチェックしてみてもいいのかもしれない。
マクロな視点で見ると、平均配当や万舟出現率が高いのは関東地方と中・四国。特に関東は桐生から多摩川までの5場全てで1コース1着率が全国平均を下回っている。超高配当には出会いづらくとも、手広く買って穴決着を待つ買い方にはマッチしていると言えそうだ。
ここまで全通り買いについて説明してきたが、どうしてもひとレースに対して120点を買うのに抵抗がある人も多いと思う。そこで買い目点数を絞ってみるというのも手だ。
舟券を複数買う時に有効な方法で1~3着に来そうな選手をマークすることができる。画像の場合だと「456-456-全通り」で24点を購入したことになる。フォーメーションは「この選手は1、2着内は堅いな」とか「3着は分からないから流しで」など様々なシーンで使いやすい。また、複雑な点数計算もテレボートのアプリなどでは手軽に計算ができるのでおすすめだ。
買いたい選手は絞れているけど、その選手を1~3着どこに配置していいか分からない時に有効だ。下記の画像だと4艇ボックスで24点を購入することになる。ボックス買いの良いところはマークした選手が全員3着内に入ればどれかは当たりになるので考えやすい。波乱傾向の強そうなレースほど有効となる。こちらもテレボートのサイトで簡単に計算できるのでぜひ参考にしたい。
・全通り買いは儲からない。資金配分をしたところで買えば買えるほどマイナスが大きくなる。
・全通り買いで利益を出したいなら、まずはレースを選ぶべき。
・平均配当の全国トップは鳴門。
・主力選手が人気を吸収するシード番組は穴決着となった時は見極めが上昇しやすい。
・回収率とは購入金額に当面の払い戻し金額の割合で、払い戻し金額÷購入金額で求められます。
・回収率が100%を超えたら収支がプラスということ。100%を切ったら負けているということになる。
・テレボートに登録するとマイページから自分の回収率をチェックすることができる。
・2024年1月~12月の間に「1-2-3」が出た回数は3797回で、出現率は6.9%。 もちろん、全て現れる目の中のトップの出現率だ(出現率2位は「1-3-2」の5.4%)。
・同期間中の「6-5-4」の出現率は0.1%で、年間47回発生。
(ガイド杉田)
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