
桐生
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上平真二選手のYouTube、お決まりの挨拶は「モーターボートレーサーの上平真二です」。この言葉に示されるように、呼称が統一される前はボートレースのことは「モーターボートレース」、ボートレーサーは「モーターボートレーサー」とも呼ばれていた。
「モーター・ボート・レーサー」の最初に来るワードである「モーター」。ボートレーサーにとって最も大事な道具である。そのモーターを管理するのは全国24場にあるボートレース場。使用開始時期はそれぞれだが、使用期間は1年間に定められていて毎年刷新される。各開催の出場レーサーは開催日の前日(=前検日)にレース場に入り、全員が揃ってから公正にモーターとボートの抽選が行われ、節間の使用モーター、ボートが割り振られる。
2012年4月に選手がレース場に個人所有のプロペラを持ち込んでいた、いわゆる「持ちペラ制度」から貸し出し制にルールが変更。多くの選手にとって調整の肝になるプロペラは、この時から各モーターに付随したものとなった。
同一基準で製造されているモーターとはいえ、性能差があるのが実情。成績が良いモーターは「好素性機」や「エース機」などと呼ばれ、反対に良くないモーターは「低調機」などと呼ばれる。大げさに言えば、どれだけ強い選手でも低調機を手にしてしまうと上位パワーに仕上げることは難しく、惨敗することもある。その一方で、新人でもエース機に乗れば、節イチクラスのパワーを武器に1着を取って高配当を提供ということもある。
現行の「300型モーター」は、約400ccの2サイクル2ガソリン機関の縦型直列2気筒エンジン。減音のための吸気サイレンサが装着されている。燃料はガソリンにオイルを加えた混合燃料を使用しているが、環境面でより優れているバイオ燃料への移行も徐々に進んでいく予定だ。
何を持ってモーターの良しあしを判断するのか。大きく分ければ「データ」「コメント」「見た目」の三つが挙げられる。
最も簡単でパッと確認できるのが2連対率だ。ボートレースにおいては1着率よりも1、2着の多さを示す2連対率の方が重要視される。そしてその2連対率は舟券貢献度に直結する。2連対率の確認は出走表やホームページ、投票サイトですぐにチェックできる。おおよその目安としては、2連対率40%以上が好モーター、30%を割ると低調機に分類される。
オフィシャルwebで整備状況などとともに発表される展示タイムは、バックのスリットラインから2マークまでの150m間を計ったタイム(一部場はこの限りではない)。伸びの判断に使用するのが最適だ。
ここで一つデータを紹介。レース場によって差はあるが、展示タイムがトップの艇の1着率は25%~30%ほど。この数値はコース不問なので、1号艇であれば信頼度が上がるし、センター~アウトの艇ならば一撃の魅力がアップする。結果に直結するものなので、軽視は禁物だ。
この他にも、オリジナル展示情報として各場の公式サイトなどで確認できるものもある。主に「一周」「回り足」「直線」の3つが見ることのできるデータで、一周タイムはその名の通りに一周回を計測したものなので、総合的な機力評価に役立つ。回り足タイムは1Mの手前からバックへ抜けるまでのタイムで、ターン最中や出足の判断に使用できる。直線タイムは伸びのようにも聞こえるが、回り足を計測した直後から測定している。出足やそこから伸びに繋がる「行き足」と呼ばれる部分が分かる。
レース場の形態などそれぞれなので若干測定位置のズレはあるが、データから機力判断として読み取るのに活用したい。ファンのキャリアや知識の差に関係なく、誰にでも機力の違いが見極められる方法なので、展示航走が終わった後は必ずチェックしよう。
車がそうであるように、モーターが1年で更新されるのは消耗品だから。毎年買い換えているようなイメージだ。過去2年分の部品がレース場に保管され、その中古の部品と交換することができる。
ピストンリングが最も多く交換されるのは、作業時間が短いこともあるし、最も消耗が激しい部分でもあるからだ。
基本的に部品交換を行うのはモーターのパワーアップを狙ってのこと。前述した様にモーターには素性差がある。リングのような短期間で消耗していく部品はまだしも、シリンダーやクランクシャフトのような骨組みともいえる部品の交換は素性が良くないと考えていい。 多くのレース場で2024年に使用されたモーターではシリンダー、ピストン2個、ピストンリング2本の「セット交換」と呼ばれる整備が大流行した。キャリアボデー交換がはまった年もあったし、残っている部品がその年のモーターと相性がいいこともあるのでアンテナを張っておくことが必要だ。
言葉そのままにプロペラの回転数のことを示す。モーターと回路をつなぐことで1分間の回転数を表示できる回転計という機材を使用して計る。 回転が上がり過ぎるとキャビテーションを起こしてしまい、回転不足だと水をかく力が足りずにボートが跳ねてしまったりしてターンに支障が出る。 プロペラのひとかきで進む量を多くするために水を多くつかませれば回転は落ち、水の抜けをスムーズにすれば回転は上がる。 回転数の基準はレーサー毎にそれぞれだし、プロペラを同じ形にしても回転数が異なることも多い。モーターによってベストの回転数が違うこともあるので、回転計の数字だけではなく、乗った感触も参考にして調整を進める。
伸び型の使い手である菅章哉は「1艇身(コンマ15)は人よりいいタイムを出さないと」と語る。1マークまでにコースの利を覆すには、スリットからの伸びが必要で、大まかな目安としてコンマ15のタイム差があれば、1艇身の差になるということ。そして様々な要素はあるせよ、内の艇に対してでコンマ15の差があれば、まくれるということになる。
起こしや行き足についてのコメントはスタートに大事な部分なので、スリットでの隊形推理に役立つし、乗り心地や出足、回り足についてのコメントは引き波を越えて、差す時や道中で競った時の目安になる。
「合っていないのに出ていく」などというコメントの場合は、モーターパワーがある証拠にもなる。 「整備をする」と語った時には多くの場合で手応えが良くない時。大きく変わり身があることもあるので、部品交換や展示をしっかりと見極めることが必要だ。
舟券推理にはモーターの差、選手の技術、コースと色んな要素が絡み合う。強い選手がいいモーターでインに入っても負けることがあるのがボートレースなので、舟券的中に近道はない。 それでもモーター差を見極めることができれば的中にグッと近づくのは間違いない。可能性を高めるために機力相場の把握は必要不可欠だ。
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