毒島誠がF2で衝撃のB2級降格、佐藤隆太郎がSG連覇、守屋美穂がGI、SGに復帰~6月のボート重大ニュース~

{{ good_count }}

毒島誠が痛恨のF2、来期はB2級へ降格

昨年のMVP男・毒島誠が大ピンチ。5月28日の丸亀オールスター2日目11Rで3コースから1本目のFを切った後、地元桐生周年優出5着をはさんで6月17日からの平和島一般戦に登場。2日目3Rでピット離れで奪ったインからあまりにも代償が大きい今期2本目のFを切ってしまった。

毒島の今期の出走回数は戸田グラチャンを終えた時点で40走。7月はびわこのボートレース甲子園と徳山オーシャンカップの2節しかあっせんが入っておらず、7月28日から10月25日まで90日のF休みを一気に消化。事故点は1本目のFで20点、2本目のFが30点の合計50点。事故率が0.70を下回るには最低でも72走しなければならないが、それは不可能。ということで事故率オーバーによる来期(来年1月から6月)のB2級降格が確定的になってしまった。

ただ、8月の若松メモリアル、10月の津ダービーはF休みで不参加だが、現在の獲得賞金は約5372万円で順位も7位につけており、11月の福岡チャレンジカップでSG復帰の可能性は高く(昨年のボーダーは4525万円)、ここで勝負駆けが成功すればグランプリ出場の可能性はある。

グランプリに出場できて優出すれば、来年のSG優先出場権が手に入る。これさえあればF休みにかからない限り、実はB2級でもダービーまでの全てのSGには出場が可能。前例がなかっただけでルール上はそうなっており、毒島誠にとってグランプリ出場とグランプリ優出が来年の走る舞台のカギを握る。

ただし、1月からB2級になってしまうと、4月までは月一あっせんになってしまうので、A1級の最低出走回数の90走がクリアできるかどうかは微妙なところ。A1級復帰は2年後の1月になるかもしれない。

毒島誠はトップレーサーの中でもFが少ない選手で、通算Fはキャリア22年で24本。15年10月のFを最後に5年間無事故だった期間もあり、13年7月のオーシャンカップから22年10月の常滑ダービーまで、SGを75大会連続出場という大記録も達成しているほど。一般戦で2本目のFはもったいないと思う反面、どんなレースでも全力を尽くしている裏返しでもある。

ただ、2本目のFを切った平和島は現在、スタンド工事中でスタンドの一部が壊されている状況で、イレギュラーな風が吹くことが多いという話も聞こえてくる。その気まぐれな風が毒島誠のスタート勘を狂わせてしまったのかもしれない。

なお、今期のF2第1号は桂林寛で、2人目が三村岳人。毒島誠は今期3人目のF2だった。今期から2本目のFの事故点が30点に増えたことの影響も小さくない。期の早いうちにF2になってしまうと、特に記念常連クラスの選手は事故率オーバーによるB2級降格がほぼ確定的になる状況だ。

毒島誠

佐藤隆太郎がSG連覇、獲得賞金も1億円超え

3月の若松クラシックでSG初優勝の佐藤隆太郎が、5月の丸亀オールスターも優勝し、史上20人目となるSG連覇の偉業を達成した。初制覇からの連覇は倉田栄一、野中和夫(3連覇)、西田靖に続く34年ぶりで4人目。また、96年以降で予選1位からのSG連覇は17年のオールスターとグラチャンを連覇した石野貴之以来になる。

佐藤はGIの優出こそ4回あるがまだ優勝はなく、GI未制覇のまま先にSGを2回優勝。これは原田順一、山崎智也、馬場貴也以来で4人目。

また、オールスター制覇で今年の獲得賞金も早々と1億円を突破したが、これは歴代でも3位のスピード記録。史上最速は04年5月18日に突破した今村豊さん。2位の服部幸男は95年にクラシックとオールスターを連覇しての1億円到達だったが、今村さんはオールスター前の到達だったので、今後絶対に破られない記録かもしれない。佐藤はこの2人に続く3番目の早さで、97年6月5日に到達した植木通彦さんを上回った。

佐藤は戸田グラチャンにも出場し、野中和夫、西島義則に続く3人目のSG3連覇に挑んだが、4日目の2走16点の勝負駆けに失敗して予選落ちした。

なお、佐藤の徳山オーシャンカップは選考期間内にGIの優出が1回(2月戸田関東地区選3着)しかなく、ボーダーに3点足りずに落選。10月の津ダービーも選考順位は100位前後あたりで出場できない可能性が高い。

戸田グラチャンは地元埼玉勢が3人優出の活躍

池田浩二の優勝で幕を閉じた戸田グラチャンは地元埼玉勢が3人出場し、3人とも優出する大活躍を見せた。戸田に限らずSG優勝戦に埼玉勢が3人同時優出は史上初でもあるのだが、そもそも地元選手が地元SGで3人同時に優出したこと自体が、12年5月の浜名湖オールスターの静岡勢(菊地孝平2着、渡邉英児3着、坪井康晴4着)以来、実に12年1か月ぶりのこと。11年の福岡メモリアルでは峰竜太以外の5人が地元福岡勢(優勝は瓜生正義篠崎元志3着、藤丸光一4着、岡崎恭裕出畑孝典はF)なんてこともあったが、これは異例中の異例だった。

SGともなると地元勢が活躍するイメージがあるが、実際は真逆。別表は00年以降のSGにおける地元選手の優出、優勝人数。GPシリーズを含めるとSGは年間9大会もあるのだが、最多の11年でも優出は11人。13年以降は最多でも7人でだいたい4人から6人で推移している。

優出がこれだけ少ないと優勝ももちろん少ない。地元SG優勝がなかった10年以降では14年だけ菊地孝平と仲口博崇の2人が地元で優勝したが、これ以降の地元優勝は年に1人出るか出ないか。また、昨年の戸田ダービーでは桐生順平佐藤翼が地元ワンツーを決めたが、これも09年常滑チャレンジカップの原田幸哉、池田浩二以来で実に15年ぶりと非常に珍しいことだった。

ちなみに戸田では06年のオールスターで地元勢が大挙12人も出場したことがあった。6人が予選を突破し、池上裕次と鈴木賢一は準優1号艇だったものの、池上は4着、鈴木はFに散り、結局誰も優出できず、山崎智也が優勝した。

島村隆幸がSG準優でF

5月31日の丸亀オールスター準優10Rで、島村隆幸が6コースからコンマ01のFを切った。SG準優におけるFの罰則規定は1年間のSG出場停止と半年間のGIGⅡ出場停止。島村は出場が決まっていた戸田グラチャン、徳山オーシャンカップの出場も取り消しになったうえで、来年5月のオールスターまでSGに出場できない。GIGⅡの復帰も来年3月以降になる。

罰則規定が強化されて以降のSG準優におけるFは昨年の多摩川オールスターの守屋美穂以来で3人目だが、菊地孝平はSG準優と同じ扱いとされるグランプリのトライアルでのFがある。

島村は準優6号艇ということもあり、チルト3度でレースに挑んでいた。同じ支部の菅章哉がいたのでアドバイスをもらったのかもしれない。昨年8月の芦屋周年優勝戦ではチルト2度にしたことはあるが、過去にチルト3度で走ったレースは見当たらなかった。スタートが難しく、アジャストしたら意味がないと言われるチルト3度での挑戦が裏目に出てしまった。スリット後にかなり下がっていたのでアジャストはしたようだが、間に合わなかったようだ。

なお、島村の罰則規定ありのFは初めて。

守屋美穂がGI、SGに復帰

昨年4月の児島周年準優と5月の多摩川オールスター準優で立て続けに罰則規定ありのFを切ってしまい、SG、GI、GⅡ戦線を走れなかった守屋美穂が、8月6日からの浜名湖レディースチャンピオンでGI戦に復帰。さらに8月の若松メモリアルには児島代表で選出されてSG復帰も決定。9月にはびわこ周年のあっせんも入った。

さらに付け加えるなら10月の津ダービーも出場圏内につけており、締め切りまでの残り2節(鳴門一般戦と戸田ヴィーナス)で勝負駆け中でもある。

守屋が最後に走ったSGはFを切った多摩川オールスター。GIは昨年5月30日からの戸田周年だったので、SGは1年3か月ぶり、GIは1年2か月ぶりの復帰となる。

守屋美穂

オールスターでSG2番目の高額配当

6月1日の丸亀オールスター最終日10Rの特別選抜戦ではSG史上2番目の高額配当となる27万2530円が飛び出した。2連単も30番人気の5万120円。

立役者になったのは河合佑樹。4カドの守田俊介がまくり攻めに出たところを6コースから見事な全速まくり差しで突き抜けた。2着は守田が佐藤翼に競り勝って確保。6-4の中では2番目に安い配当だったが、もし4着の羽野直也が3着だったらその配当は30万5500円に跳ね上がり、SG最高配当になるところだった。

今月の引退選手

5月末から6月にかけて次の2選手が引退した。

貞兼淳二(福岡74期52歳)
冨田祥(香川123期28歳)

貞兼淳二さんは守田俊介らと同期で94年5月に若松でデビュー。5期目にA2級、6期目にはA1級に昇格しており、A1級には15期ほど昇格。自己最高勝率は01年後期の7.02。SG出場はなかったもののGIには何節か参戦しており、唯一の優出は峰竜太がGI初優勝した09年1月の芦屋九州ダービー(5着)。

通算成績は出走回数6951走で勝率5.74、1258勝、優出129回、優勝14回。生涯獲得賞金は約6億181万円。現役最後のレースは5月18日の蒲郡。

冨田祥さんは前田滉らと同期で18年11月に丸亀でデビュー。実働は6年半だった。出走回数594走で17勝、優出はなし。4期通算勝率による引退勧告が凍結中ではあるものの、事実上、4期通算の事故率オーバーによる引退。通算Fは12本でF2も2期だけだが、23年の年間4本のFが響いた。前期も事故率が1点を超えており、「魔の8項」にも抵触していた。現役最後のレースは5月12日の徳山。

森貴洋、日笠勝弘が周回誤認

5月は立て続けに周回誤認が2件発生した。1件目は5月23日の江戸川一般戦初日1R。3着争いをしていた日笠勝弘が3周ホームを通過後に上体を起こして減速し、3周1マークを低速で旋回。後続の選手に並ばれてから通常の航走状態に復帰して4着でゴール。「信号確認を怠り、ゴールラインを通過したと思い込んだ」と本人は周回誤認を認めた。

2件目は5月30日のびわこ一般戦2日目10R。3番手を走っていた森貴洋が3周ホーム通過後に上体を起こして3周1マークも上体を起こしたまま旋回。4番手の選手が接近したことで上体を伏せそのまま通常の航走に戻り、3着を守ってゴールした。こちらも本人は「ゴールインしたと思った」と周回誤認を認めている。

両者には次回の褒賞懲戒審議会で4か月の出場停止処分が下されそう。

今月の水神祭

(初勝利)
6月17日 牧村俊輝(愛知134期)
6月17日 中嶋世奈(静岡134期)
6月19日 香月大輝(福岡134期)
6月27日 谷海夏人(広島136期)
(SG初勝利)
5月30日 清水愛海(山口127期)
5月31日 中村日向(香川122期)
5月31日 川井萌(静岡127期)
(初優勝)
6月19日 植田太一(福岡109期)

5月にデビューした136期の水神祭第1号は父が谷勝幸で2世レーサーの谷海夏人。3節目の尼崎一般戦3日目1Rで6コースからのまくり勝ち。2、3着が人気選手だったこともあるが、3連単は1万5500円で大穴ではなかったことも値打ちがある。

デビュー2年目に突入した134期からは一気に3人。牧村俊輝は江戸川一般戦の最終日1Rで4コースからまくり勝ち。中嶋世奈は地元浜名湖のオールレディース5日目4Rで4コースからのまくり差し。3連単は22万円台の大穴を提供した。父が香月大介の香月大輝は丸亀一般戦2日目1Rで4コースからコンマ01のスタートでまくり勝ち。中嶋以外の2人は3連単で1万5千円台とそこまで高くない配当だった。134期の未勝利選手は残り9人にまで減っている。

丸亀オールスターでは2回目のSG出場だった地元の中村日向とSG初出場だった清水愛海、川井萌の127期コンビが水神祭。SG未勝利だった3人がきっちり初勝利を飾った。

清水愛海、川井萌

初優勝の植田太一は23回目の優出だった住之江一般戦で3コースからのツケマイ勝ち。準完全Vに王手をかけていた地元の上條暢嵩のイン戦を見事に沈め、3連単も11万円台の大穴になった。丸野一樹らの109期では9人目の優勝者。

年間タイトル争い

最高勝率争いに異変が起こっている。過去10年で9回タイトルを手にしている峰竜太が7.91で実は7位。昨年7位だった茅原悠紀が2位の中辻崇人に大差をつけてトップを独走している。近況の充実ぶりから茅原が大きく勝率を落とすことは考えられず、このままタイトルを獲得する可能性は高いのではないだろうか。

最多勝利は今年V6と好調な濱崎直矢がトップ。そしてここでも茅原悠紀が2位。濱崎は7月にF休みがあるので、こちらのタイトルは混戦ムード。なお、5位タイの守屋美穂はFの罰則規定期間の成績は除外されるというルールがあるので表彰の対象外。

130期以降で争う最優秀新人は勝率と1着回数で石本裕武がトップなのだが、今年はまだ優勝がない。対象選手で優勝しているのは西丸侑太朗だけ、それも2回という状況で、西丸は獲得賞金でも現在トップ。現状では西丸の方が圧倒的に有利な立場にいるが、いずれにせよ今年後半に大ブレイクする新人が出現しない限り、この2人の争いが濃厚だろう。

獲得賞金ランキング

SG連覇の佐藤隆太郎は1億円オーバーで悠々のトップ。グラチャン制覇の池田浩二が2位に浮上した。オールスター、グラチャンとSGで連続優出の桐生順平と峰竜太も大きくジャンプアップ。SGが絡まないところでは桐生周年制覇の新田雄史も順位をかなり上げてきた。

女子は平高奈菜がトップ独走中ながら、2位に浮上の遠藤エミが500万円差まで迫っている。川井萌、實森美祐宇野弥生西橋奈未も順位を上げた。

津ダービー選考順位

10月21日から津で開催されるダービーの選考締め切りは今月いっぱい。昨年のボーダーは7.15だったが、グラチャン終了の6月29日時点でのボーダーは昨年より少し低い7.12となっている。

優先権がある毒島誠はF休みで欠場が決まっているほか、勝率上位でありながら出走回数不足によるA2級降格のため中辻崇人と権藤俊光は選考除外。菊地孝平もまだSG出場停止期間が明けていない。

地元三重勢は新田雄史が孤軍奮闘。井口佳典はボーダーより少し下の66位で7月はメイチの勝負駆けになる。女子は田口節子三浦永理、守屋美穂、平高奈菜が圏内で遠藤エミは勝負駆け。また、今年で53歳のベテラン柴田光は53位でSG初出場へ向けて勝負駆け中。53歳でSG初出場となれば、名人戦優勝により55歳で13年の平和島クラシック出場を果たした井川正人に続く2番目の最年長SG初出場となる。