毒島誠が初のMVP、倉谷和信・白石健らが引退、魚谷香織・吉村正明がレース中の事故で負傷~1月のボートニュースまとめ~

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毒島誠が3冠、高塚清一に特別賞

令和6年の優秀選手が次の通り決定した。
▼最優秀選手 毒島誠(初)
▼最優秀新人 藤原碧生(初)
▼最多賞金獲得選手 毒島誠(初)
▼最高勝率選手 峰竜太(9)
▼最多勝利選手 中辻崇人(初)
▼優秀女子選手 遠藤エミ(5)
▼記者大賞 毒島誠(初)
▼特別賞 高塚清一(初)
西島義則(初)

グランプリ初制覇の毒島誠がMVP、最多賞金、記者大賞の3冠に輝いた。意外とも思えるがいずれのタイトルも初。18、19年に2年連続で特別賞に選出されて以来、5年ぶりの晴れ舞台でもある。
最優秀新人は文句なしの成績を残した藤原碧生。岡山支部からは99年の平尾崇典以来、2人目の選出。最高勝率は2年連続9回目の峰竜太。まともに走れば勝率で峰にかなう選手はなかなか出てこない。最多勝利は一般戦で無双した中辻崇人。F2があり実働9か月での120勝で、福岡支部では田頭実の2回を含め10人目の快挙だが、最近11年間に限っても7人目。近年は一般戦の鬼が多い福岡支部がほぼ独占状態だ。
女子MVPの遠藤エミは4年連続で5回目。獲得賞金も2回目の8千万円台に乗せて4年連続の賞金女王でもある。
特別賞には高塚清一と西島義則が選出された。高塚は業界初となる喜寿(77歳)を迎えた現役最高齢選手で、最年長1着記録を更新し続けている。前期は1971年前期以来、実に53年ぶり3回目のF2という試練もあったが、1月20日の平和島から元気に復帰。西島は史上5人目となる3000勝や通算2連対5000回という記録を達成した。
なお、表彰式典は2月17日に開催される予定。

記念戦線復帰の菅章哉がいきなり優出

23年9月の唐津周年優勝戦でFを切り、罰則規定により1年間のGIGⅡ出場停止処分を受けていた菅章哉。昨年は5月の多摩川オールスター以外は全て一般戦を走りV9と意地を見せ、今年もさっそく鳴門正月レースを3カドまくりで優勝と好調をキープ。
待ちに待ったGI復帰戦は1月11日からの下関周年。初日のドリーム戦にも抜てきされて4日目には連勝ゴールを飾って予選を2位で通過。準優は3着と敗れたものの、2着の佐藤翼が不良航法を取られ繰り上がり優出。優勝戦は6号艇になったことで迷いなしのチルト3度で挑み、もう少しでインの宮地元輝を沈めるところまで追い詰めての3着。続く常滑BBCトーナメントでも1回戦で4カドまくりを決めるなど見せ場はたっぷり。堀之内紀代子藤山翔大ら一時は勢いがすごかった伸びペラ軍団の勢いが止まる中、菅だけは変わらぬ超抜伸びを披露し続けている。
なお、菅の活躍で盛り上がった下関周年の節間の売り上げは126億4702万8100円。それまでの記録だった23年1月の若松70周年の約120億円を抜いて新記録を樹立するほどだった。

中田竜太、浜田亜理沙 優勝戦夫婦対決

1月8日の戸田正月レース優勝戦で中田竜太浜田亜理沙の夫婦対決が実現した。準優1着だった浜田は2号艇。中田は準優2着ながら1着の飛田江己が待機行動違反で優出除外になったことで3号艇での登場。夫婦ワンツーなるかが期待されたが、1号艇には桐生順平。この壁は厚く浜田が2着、中田は4着に敗れた。
これまで夫婦レーサーによる優勝戦での直接対決は福田雅一平山智加夫婦のみ。11年と13年に2回、地元の丸亀で激突していた。11年のお盆レースでは平山が3着、福田が5着。13年のGWレースでは福田が4着、平山が5着で、こちらも夫婦ワンツーは達成していないが11年のお盆レース準優は福田が4コースまくりで1着、平山がインから残して2着の夫婦ワンツーだった。

大庭元明スタート無事故3000走

1月2日の若松正月レース3日目8Rで、大庭元明が史上31人目(加藤峻二が2回)となるスタート無事故3000走を達成した。福岡支部では坂本勝美、塩田北斗に続く3人目。
大庭が最後にFを切ったのは14年4月4日の福岡。それから10年9か月間スタート無事故を続けているが、この間にはスタート事故だけではなく、転覆なども一切ない1025走完全無事故もマーク。大庭はスタート無事故3000走と完全無事故1000走以上を史上初めて達成した選手になった。
なお、現役では栗原謙治が近いうちに、村岡賢橋口真樹は来年にもスタート無事故3000走に到達しそう。
逆に13年12月21日の浜名湖でのFを最後にスタート無事故を続けていた大谷直弘は1月22日の尼崎11Rで11年1か月ぶりのFを切ってしまい、スタート無事故記録は3100走でストップした。
(※表内の黄色表示は現在も記録続行中の選手)

関東のSG覇者3人が2000勝

12月末から1月にかけてSGタイトルを持つ関東のベテラン3人、滝沢芳行中澤和志高橋勲が2000勝を達成した。高橋が史上185人目。
滝沢芳行は12月28日の宮島一般戦4R。内訳はSG29勝、GI187勝、GⅡ2勝、GⅢ149勝、一般戦1633勝。埼玉支部では9人目、63期では今垣光太郎に続く2人目。88年11月のデビューから36年1か月、7582走目での達成。滝沢は01年常滑ダービーのSGタイトルを持つ。
中澤和志は1月4日の地元戸田5R。内訳はSG45勝、GI189勝、GⅡ23勝、GⅢ165勝、一般戦1578勝。埼玉支部では10人目、82期では赤岩善生に続く2人目。98年5月のデビューから26年8か月、6346走目での達成。中澤は06年平和島クラシックでSG初制覇。GIも4勝している。
高橋勲は1月6日の江戸川6R。内訳はSG55勝、GI221勝、GⅡ8勝、GⅢ177勝、一般戦1539勝。東京支部では11人目、68期では山一鉄也に続く2人目。91年5月のデビューから33年8か月、6720走目での達成。高橋は07年平和島ダービーのSGタイトルを持つ。

2024年次売り上げ

2024年(令和6年)の1月から12月までの売り上げが発表された。
総売り上げは2兆5215億4087万4000円で、前年比5.3%の増加。総利用者も3.2%増の4億6955万1255人となった。
場別では1926億2055万7300円の大村がトップで、住之江、丸亀、蒲郡とナイター場が続く。

倉谷和信、白石健らが引退

12月末から1月にかけて次の10選手が引退した。

倉谷和信(大阪61歳60期)
白石健(兵庫47歳80期)
垣内清美(三重58歳59期)
一色雅昭(愛知58歳69期)
坂本徳克(東京54歳70期)
マイケル田代(東京39歳113期)
船越健吾(香川32歳119期)
檀将太(福岡29歳116期)
粟田祥(徳島29歳122期)
池田なな(大阪24歳127期)

倉谷和信さんは上瀧和則元会長や烏野賢太らと同期で87年5月にデビュー。野中和夫さんの最後の弟子になり、3期目にはA級に昇格。95年後期から21年前期まで52期連続でA1級をキープし続けた。自己最高勝率は00年後期の7.98。
SG出場は83回。初優出だった96年児島オールスターでは3号艇からピット離れでインを奪取し、優勝を目前にしながら2マークでまさかの転覆。通算9回の優出があったが、ついにタイトルには手が届かなかった。GIは34回の優出で4回の優勝。通算成績は7861走で勝率6.92、2205勝、優出293回、優勝57回。生涯獲得賞金は約13億4317万円で歴代57位。現役最後のレースは12月12日の地元住之江。まな娘の関野文とはついに直接対決がないままの引退となった。
白石健さんは白井英治らと同期で97年5月にデビュー。3期目にはA2級、6期目にはA1級に昇格、出走回数不足の期以外はずっとA1級をキープしていた。自己最高勝率は03年前期の8.19。SG出場は14回で優出なし。GIは8回の優出があったがついに優勝には届かなかった。通算成績は5484走で勝率7.00、1957勝、優出262回、優勝79回。20年12月には若松で24場制覇も達成している。生涯獲得賞金は約6億9433万円。22年8月28日の唐津を最後に長期欠場。昨年10月25日の津で2年2か月ぶりに実戦復帰したものの、1走しただけで帰郷。そのまま引退となった。
垣内清美さんは艇王・植木通彦さんらと同期の59期で86年11月にデビュー。8期目からA級常連に定着し、A1級には6期昇格。自己最高勝率は10年後期の6.80。レディースチャンピオンには第4回大会が初出場で17年までに30回ほど出場。第5回から第7回にかけて3連続優出も記録。GIは東海ダービーやマスターズチャンピオンにも出場経験がある。通算成績は7245走で勝率5.48、1382勝、優出129回、優勝16回。生涯獲得賞金は約5億9630万円。現役最後のレースは11月23日の蒲郡。
一色雅昭さんは68期だったが大けがで卒業が遅れ田中信一郎らと同期になり91年11月にデビュー。8期目からA級常連になりA1級昇格は12期ある。自己最高勝率は02年後期の7.07。SG出場はなく、GIは2回の優出はあったが優勝なし。通算成績は6739走で1145勝、優出111回、優勝14回。生涯獲得賞金は約5億7281万円。現役最後のレースは1月4日の地元常滑。一色さんは大阪の強豪だった一色肇さんのおいっ子で、息子2人(凌雅、颯輝)も後を追って選手になっている。
坂本徳克さんは濱野谷憲吾らと同期で92年5月にデビュー。A2級昇格が3期あり自己最高勝率は98年後期の5.55。優出は13回で唯一の優勝は04年2月の大村。通算では5352走で485勝。現役最後のレースは12月25日の戸田。息子の一真は132期でデビューし、親子対決は2回。どちらも父が先着している。
マイケル田代さんは椎名豊らと同期で13年11月にデビュー。A級昇格はなかったが優出は2回。通算1666走で116勝。現役最後のレースは12月26日の桐生。
船越健吾さんは井上忠政らと同期で16年11月にデビュー。A級昇格はなかったが23年7月の住之江で唯一の優出がある。通算では1361走で78勝。現役最後のレースは1月9日の尼崎。
檀将太さんは大山千広らと同期で15年5月にデビュー。通算718走で25勝。現役最後のレースは12月29日の大村。
粟田祥さんは畑田汰一らと同期で18年5月にデビューし実働は6年半。通算885走で48勝。24年5月に下関で唯一の優出(4着)があった。現役最後のレースは12月14日の徳山。
池田ななさんは仲道大輔らと同期で20年11月にデビュー。1年間の欠場などもあり実働は3年。通算293走で3勝。現役最後のレースは10月12日の地元住之江。

選手の負傷情報

魚谷香織=12月13日下関オールレディース最終日5Rで3番手を航走中だった2周2マークで失速し、後続艇が接触して転覆。右大腿(だいたい)骨外顆骨折と頸椎(けいつい)ねん挫で全治見込みは3か月。
吉村正明=12月19日芦屋一般戦優勝戦12Rの1周1マーク、まくりが決まりかけていたところにインから流れてきた選手と接触して落水し、後続艇と接触。右尺骨近位端骨折、右橈骨頭脱臼、右膝開放創で全治見込みは未定。
村岡賢=12月26日丸亀一般戦6日目4Rの1周2マークで転覆(妨害)したところを後続艇が避け切れずに接触。右下腿挫滅創、右前脛骨筋断裂で全治見込みは約2か月。
松尾宣邦=12月31日若松正月戦初日7Rの2周1マークのターン出口で失速したところに後続艇が接触。左側胸部打撲、左肋骨骨折で全治見込みは未定。
中岡健人=1月1日丸亀正月戦3日目2Rの1周2マークで後続艇と接触して落水し、さらに後続艇が接触。左下肢開放骨折で全治見込みは未定。
木山誠一=1月10日児島での支部訓練中に転覆。右尺骨骨幹部骨折で全治見込みは未定。
川島拓郎=1月22日びわこ一般戦初日7Rの1周バックストレッチ直線で先行艇と接触して転覆。左肘骨折、左下肢打撲で全治見込みは約2か月。

今月の水神祭

(初勝利)
12月23日石井伸長(香川134期)
12月29日根岸真優(埼玉133期)
12月31日横田海人(愛知132期)
(GI初勝利)
1月12日島川海輝(山口126期)
(初優勝)
12月28日佐々木翔斗(大阪118期)
12月31日松本純平(埼玉123期)
1月3日幸野史明(福岡99期)
1月14日岩永雅人(愛知107期)
1月20日横田貴満(佐賀119期)

初優勝は5人。11回目の優出だった佐々木翔斗は三国でイン速攻。新開航らの118期では10人目の優勝者になった。早大生だった時に本誌でアルバイトをしていた松本純平は21回目の優出だった平和島でインから逃げて悲願達成。前田滉らの123期では6人目の優勝者。
幸野史明は地元強豪がそろう芦屋正月レースで5コースから見事なまくり差しを決め、池永太、新開航らを撃破しての大金星。初優出が23年7月の多摩川。デビューから18年2か月の2回目の優出で初優勝を手にした。茅原悠紀らの99期では17人目の優勝者。
岩永雅人もデビューから14年2か月、12回目の優出だった戸田で初優勝。これが3回目の優勝戦1号艇だったが、正月レースで佐藤航が仕上げた超抜エンジンを生かしてインから逃げた。近江翔吾らの107期では12人目の優勝者。
12回目の優出だった横田貴満は丸亀でイン逃げ。こちらは2回目の優勝戦1号艇を生かし切った。井上忠政らの119期では13人目の優勝者。 初勝利の水神祭は3人だけ。児島で5コースから差し勝ちの石井伸長は2期目に入った134期では6人目。地元の戸田で4コースからまくり勝ちの根岸真優は133期では18人目で、残るは8人になった。横田海人は平和島で4コースまくりを決め、132期の未勝利選手は4人まで減った。
島川海輝は2回目のGI出場だった地元下関周年で2号艇からインを奪取して逃げ切り勝ち。2月には徳山の中国地区選にも出場する。