白井英治、前田将太がGI準優Fで半年間記念出場停止…天野誠、小林甘寧が失格盤見落としによる即刻帰郷~ボート界11月の重大ニュース~
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ボート界11月の重大ニュースはこちら!
・GP&QCのボーダー・白井英治、前田将太がGI準優F
・吉田裕平が史上5組目の親子GI制覇
・木村光宏が2,500勝
・天野誠、小林甘寧が欠場失格盤見落とし
・選手の負傷情報
・引退選手
・135期水神祭第1号は宮崎心之介
・水神祭
・年間タイトル争い
・クラシック出場権争い
GP&QCのボーダー
グランプリ出場枠が18人になって11年目。賞金アップの影響もあり18位のボーダーは7千万円台の過去最高額になった。チャレンジカップ優勝の河合佑樹は開催前の賞金ランク49位からの大逆転劇でGP初出場を決めた。
19位で出場していた佐藤翼は優出条件をクリアしての逆転劇。ちょうどボーダー付近ながらもチャレンジカップがF休みだった3人のうち、15位だった上條暢嵩は何とか踏みとどまり、17位の山口剛と18位の丸野一樹が脱落。チャレンジカップを経て入れ替わったのは2人だけだった。
2ndから出場できる6位争いは最終日の優勝戦前に菊地孝平と平本真之の争いがあり、菊地が平本を上回ったものの、11位だった池田浩二が優勝戦4着で大逆転。池田は2年連続でチャレンジカップ優出により6位以内確保となった。
クイーンズクライマックスの出場権争いは今年も最後の最後までもつれたが、ボーダー(5位守屋美穂のQC不参加で今年は13位)よりも下からは川野芽唯と田口節子の2人だけが優出。2人とも3着以内なら自力当確という状況で、川野は6号艇ながら最後は平高奈菜を抜いて2着に食い込み16位からの大逆転。田口は2号艇だったが5着と敗れてしまい、大逆転はならなかった。その結果、海野ゆかりが13位に踏みとどまっている。
また、第1回大会から12年連続でフル参戦の寺田千恵はちょうど13位とボーダー上で大会を迎えたが、優出を逃したことで逆転を許し、QC連続出場がついに途切れてしまった。
白井英治、前田将太がGI準優F
11月14日の尼崎ダイヤモンドカップ準優12Rで前田将太と白井英治がFを切った。前田はコンマ10と記念ではほとんど見られない非常識なFだった。
2人とも1月26日までの常滑BBCトーナメントまであっせんが入っている。罰則規定によりF休み明けから半年間のGI、GⅡが出場停止となるので、記念戦線への復帰は来年9月以降。ただ、権利があればSGには出場できる。
罰則規定ありのFは前田が15年7月福岡周年準優、19年3月びわこGⅡ準優に続いて3本目。白井は05年3月多摩川クラシック優勝戦、19年6月多摩川グラチャン準優、22年8月浜名湖メモリアル優勝戦に続く4本目。
昨年4月からFの罰則規定は出場停止期間がほぼ倍に強化されたが減少しているとは言えず、今年はすでに16本。昨年4月以降で合計22本となっている。
吉田裕平が史上5組目の親子GI制覇
ボート界はこれまで100組以上の親子レーサーが誕生している。そのうちSG覇者の父は上瀧和則、北川一成ら7人。GI覇者の父・母は実に30人以上もいる。子供でSG覇者になったのは服部幸男、今垣光太郎、仲口博崇、石野貴之とわずかに4人。GI覇者も分かる範囲で10人と少ない。
そのうち、親子でGI覇者は北川一成・幸典、服部正彦・幸男、今垣武志・光太郎、石野美好・貴之の4組だったが、11月14日の丸亀周年で吉田裕平がGI初優勝し5組目が誕生した。裕平は父・徳夫が優勝したのと同じ27歳でのGI初優勝になった。
今後、親子GI制覇の可能性があるとすれば金子萌、原田才一郎、石渡翔一郎、前田紗希あたりだろうか。ちなみに兄弟SG制覇は松尾泰宏・幸長と篠崎元志・仁志の2組が達成しているが、親子SG制覇はまだいない。
木村光宏が2,500勝
11月4日の児島一般戦4日目9Rでまくりを決めた木村光宏が、史上45人目となるデビュー通算2,500勝を達成した。
内訳はSG54勝、GI294勝、GⅡ18勝、GⅢ238勝、一般戦1,896勝。香川支部では山川美由紀、酒井忠義に続く3人目、70期では初。92年5月のデビューから32年6か月、8,398走目での達成。
木村は00年代はSGの常連で08年地元丸亀ダービーで優出もある。GIは3回優勝。通算では優出286回で優勝は59回。生涯獲得賞金は10億円を突破している。
天野誠、小林甘寧が欠場失格盤見落とし
Fを切ったにもかかわらず、それに気づかずに3周走ってゴールしてしまった事象が立て続けに発生した。
11月22日の徳山一般戦2日目1Rでは広島134期の小林甘寧が6コースからコンマ01のFを切ったが、道中で一時5着の選手と接戦を演じて6番手でゴール。
11月25日の浜名湖一般戦3日目4Rではインの天野誠が3コースの丸尾義孝とともにコンマ01のF。丸尾はバック半ばで気づき、2マークを旋回せずにピットへ帰投したが、逃げていた天野は先頭のまま3周を走り切ってしまった。
2人は失格欠場艇表示盤見落としの内規違反により、即刻帰郷処分が下された。褒賞懲戒審議会の対象事象でもあるので、2人とも数か月の出場停止処分も下される。
選手の負傷情報
山本梨菜=10月30日鳴門前検日における支部訓練中の1周2マークで失速し、後続艇が避け切れずに接触。左頬骨骨折、肺挫傷、脳挫傷の疑いで全治見込みは約1か月。
土性雅也=11月7日常滑2日目1Rの1周2マークで先行艇に接触して失速し、後続艇が避け切れずに接触。肺挫傷、肋骨(ろっこつ)多発骨折、右骨大腿(だいたい)骨脱臼骨折で全治見込みは未定。
亀本勇樹=11月20日唐津一般戦初日2Rの1周1マークで失速し、後続艇が避け切れずに接触。恥骨、腸骨、座骨、臼蓋(きゅうがい)骨折で全治見込みは未定。
引退選手
10月末から11月にかけては次の5選手が引退した。
吉本玲緒(広島45歳89期)
市川猛(広島53歳73期)
山根大樹(広島51歳80期)
森世里(滋賀36歳106期)
小寺拳人(福井31歳113期)
吉本玲緒さんは枝尾賢らと同期で89期のチャンプ。09年前期に5.39の自己最高勝率を残し1度だけA2級に昇格した。優出は17回あり、09年7月大村「夢の初優勝」と11年8月地元宮島のお盆戦で2回の優勝がある。GI出場はないがGⅡは09年3月にびわこ秩父宮妃記念杯に出場し2勝をマークした。現役最後のレースは10月25日の地元宮島。
市川猛さんは兄・哲也の後を追って選手になり荒井輝年らと同期。勝率5点台は7期あったがA2級昇格はなく、19回の優出で優勝もないままの引退。現役最後のレースは10月25日の地元宮島。
山根大樹さんは父・強さんの後を追った2世レーサーで白井英治らと同期。勝率5点台は5期あったがA2級昇格はなく、優出も8回あったが優勝なしのままの引退。現役最後のレースは11月4日の丸亀。
森世里さんは岩瀬裕亮らと同期。A2級昇格はなかったものの、初優出だった21年3月平和島ヴィーナスでインの西橋奈未を破り2コース差しで優勝。唯一の優出を見事優勝に結びつけた。和田操拓と結婚して2度の産休があったが、22年9月3日の鳴門を最後に復帰することなく、そのまま引退となった。
小寺拳人さんは椎名豊らと同期。20年12月の浜名湖で優出は1回あったが、A2級昇格も優勝もないままの引退。現役最後のレースは10月30日の津。
135期水神祭第1号は宮崎心之介
9月にボートレーサー養成所を巣立った135期が続々とデビューしているが、水神祭の第1号は勝率トップだった埼玉の宮崎心之介。デビュー2節目だった11月21日の平和島一般戦最終日5Rで、6コースから見事なツケマイ勝ち。15走目での初勝利だった。
この平和島では3日目6Rでも2着に食い込んでおり、評判通りの高いレースセンスを早くも見せつけている。宮崎は2節を走り終えた時点で勝率も3.00をマーク。この数字をどこまで上げるのかも注目しておきたい。
水神祭
(初勝利)
10月29日 若林麗(東京132期)
11月13日 澁川夏(大阪133期)
11月14日 網代良芽(兵庫134期)
11月21日 宮崎心之介(埼玉135期)
(初優勝)
10月30日 井本昌也(山口120期)
11月8日 山口晃朋(静岡131期)
11月11日 仲航太(東京126期)
11月21日 大賀龍之介(福岡121期)
(GⅡ初優勝)
11月24日 三浦永理(静岡91期)
(GI初優勝)
11月14日 吉田裕平(愛知117期)
(SG初優勝)
11月24日 河合佑樹(静岡102期)
初勝利の水神祭は宮崎心之介以外にも132期以降から各1人ずつ。132期の若林麗は追加参戦だった桐生企業杯の最終日3Rで5コースからのまくり差し。3連単は8万円台の大穴を提供した。澁川夏は津一般戦の3日目5Rで6コースからのまくり差し。こちらも3連単はF艇がありながら8万円台の大穴になった。
網代良芽は澁川と同じ節の津4日目5Rで6コースからのまくり差し。この節は佐藤航が最終走をチルト2度で走っていたエンジンを引き当て、そのままチルト2度(3走目だけ3度)でレースに挑んでいたが、見事に正解を出した。
未勝利選手は132期が6人、133期が12人。2期目に入った134期は網代でまだ4人目の水神祭というさみしい状況。
初優勝は4人。井本昌也は19回目の優出だった芦屋で4コースからのまくり勝ち。すでにA1級に3期も昇格している実力者だけに、待ちに待った初優勝。佐々木完太らの120期では9人目の優勝者になった。
山口晃朋は大村でイン竹田辰也のFによる繰り上がりではあったが、今年は福岡泉水に続く2人目の初優出初優勝の快挙。131期では石本裕武に続く2人目の優勝者だ。
2回目の優出だった仲航太はフレッシュルーキーに指名されている平和島で6コースから最内を差し、2マーク小回りでの大逆転勝ち。大澤風葵らがいる126期では8人目の優勝者になった。仲は優勝した次節も同じ平和島を走り、見事にその同じ優勝エンジンを引いて連続優出。今度は3号艇の3コースから1マークを握って攻めたがインにはじかれて6着と敗れた。
実はその平和島で仲航太の3コース攻めをすぐ隣の4コースから差して初優勝を飾ったのが7回目の優出だった大賀龍之介。高橋竜矢らの121期では9人目の優勝者。
下関のレディースチャレンジカップを制した三浦永理の女子4大競走は第1回の大村クイーンズクライマックス以来、12年ぶりで意外なことにまだ2冠目。というわけでGⅡは初優勝。
河合佑樹はSG8回目の出場にして初優出初優勝となったが、実は静岡支部はこのパターンが非常に多く、早川行男、服部幸男、菊地孝平、坪井康晴、笠原亮、深谷知博に続く7人目のSG初優出初優勝だった。
年間タイトル争い
最高勝率は峰竜太、最優秀新人は藤原碧生が濃厚な状況。最多勝利はぶっちぎっていた中辻崇人が前期F2で年内の出走がなく、2位の松村敏が11勝差まで迫ってきたが、11月25日時点でその松村もなぜか年内のあっせんが1節しか入っておらず、松村に追加あっせんがなければ中辻の逃げ切りが濃厚。
女子MVPは遠藤エミがリードしているが、三浦永理がクイーンズクライマックスを優勝して賞金で上回れば逆転の可能性が出てくるかもしれない。
クラシック出場権争い
来年3月に若松で開催されるクラシックの出場権争いもいよいよ大詰めを迎えるが、やはり今回は過去にないハイレベルな争い。来年2月の地区ダービー覇者6人を加算すると、一般戦V5以上がすでに58人もいる。
12月はGI4開催に加えてGPシリーズ戦もあるうえ、GP出場の池田浩二、平本真之、佐藤翼はまだ権利がなく、GP優出で権利獲得の可能性も十分ある。すなわちGI以上の開催だけで最大8人が新たに権利を獲得する可能性があるうえ、V5の12人の中からV6に到達する選手もきっと出てくるはず。
地区ダービーも含めた記念覇者のうち、すでに権利がある選手の重複を半数の7人と仮定しても、V6以上で52人を超えてしまう。F休みで権利喪失の選手が大量発生しない限り、やはり今回はV5での出場は難しそう。ボーダーはV6の勝率勝負になる可能性が相当に高そうだ。
地元福岡勢は西山貴浩、瓜生正義、新開航、奈須啓太の4人が記念制覇で当確。一般戦組は中辻崇人がV8、松田大志郎がV6で最低6人はほぼ確保。V5は永田啓二、篠崎元志、池永太の3人だが、篠崎と池永は年内に一般戦のあっせんがないのは痛い。