スタート巧者の苦悩

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菊地孝平

本日(9月11日)にスタートした戸田周年「GI戸田プリムローズ開設63周年記念」。その4R、見事なまくりで1着となった西山貴浩が勝利者インタビューでこんな話をしていた。

「スタート09?大時計なんか見ちゃいませんよ。隣に時計よりも信頼できる菊地(孝平)先輩がいるんでね。そっちしか見てないですよ」

いつもの西山節が炸裂し、場内を爆笑の渦に巻き込んだが、この言葉は半分冗談、半分本気といったところだろう。

こんなデータがある。本誌マクール7月号「ひまひまデータオフライン」によると、菊地よりも前にいた場合、フライングになる確率は1.88%。全選手のフライング率平均値は0.40%。これと比較すると4.5倍、スタートで菊地の前に出るということがいかに危険なことかわかる。

その最たる例が先日大村で開催されたメモリアルの準優勝戦11R。大外となった菊地自身も03とかなり踏み込んだが、1号艇の峰竜太が+02、3号艇の篠崎仁志が+02、4号艇の吉田拡郎が+01の勇み足に散った。

ほとんど毎期平均スタートが1位で、日本一のスタート巧者としての地位を確立している菊地が、前回フライングを切ったのは2015年5月27日。もう4年以上スタート事故を起こしていない。その間1176走し、平均スタートタイミングは0.112。これは驚異というほかない。

冒頭の西山のコメントのように、菊地のスタートを目標にするという選手は決して少なくない(もちろんあからさまに口にはしないが)。また、菊地のスタートに負けまいとして張り込んでくる選手もいる。その結果、菊地が出走するレースのスタートは、全体が少し早くなる傾向にある。そのため菊地がスタートを踏み込んでも内に引っかかるシーンが意外と多い。

菊地のスタート一気を期待するファン、さらには本人にとっても悩ましいところだ。