3.11、ボート界のその時

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東日本大震災から8年が経った。この震災でボート界に何が起きたか、今一度振り返ってみたい。

当日、レースを開催していたのは多摩川、浜名湖、蒲郡、常滑、津、三国、住之江、丸亀、児島、宮島、芦屋、福岡の12場。常滑と児島はGⅡモーターボート大賞が行われていた。

関東地区でも大きく揺れたため、多摩川では地震発生後の9R以降を中止。翌日以降は開催を打ち切った。12日は一部場でレースを行ったが、13日から31日まで全場の開催が見送られた。

この期間中は戸田で第46回総理大臣杯、尼崎でモーターボート大賞、大村でモーターボート誕生祭がが行われる予定だったが取りやめとなり、108期の卒業記念競走も自粛された(江崎一雄が勝率トップ。同期には木下翔太上村純一など)。

同年8月に戸田で東日本復興支援競走を実施し、重野哲之が優勝。途中で開催打ち切りとなった児島と中止になった尼崎、大村のGⅡは2012年度に代替開催が行われた。

4月1日からレースは再開され、6月までの全ての競走に「東日本大震災被災地復興支援競走」というタイトルがついた。なお、スタンドに被害が出た桐生は4月いっぱい、関東地区の他の場では4月の1節目を中止した。

またナイターレースは、計画停電などに配慮して4月24日まで自粛。4月にGIが行われた蒲郡では、久しぶりにデイレースで開催された。

休催期間中、業界団体をはじめ、選手が募金活動を行い、合計約1311万円を支援。さらにボート業界全体として15億円の支援金を日本財団を通じて寄付した。そして日本財団は3月29日に被災者支援として、以下の3策を行った。

・死者・行方不明者1人当たり5万円の弔慰金、見舞金を遺族・親族に支給

・上限1億円の漁業者向け緊急支援融資制度を新設

・100万円以下のNPO。ボランティア活動を書類審査で迅速助成

ボランティアといえば、本誌マクール18年11月号のマクール探偵局において、「選手のボランティア」というテーマで取り上げた。今、選出たちが積極的にボランティア活動に取り組んでいるきっかけとなったのが、この東日本大震災だった。特に12年4月にプロペラ制度が現在のシステムに変更されてから、選手に時間的にも精神的にも余裕が生まれ、より積極的に参加できるようになったそうだ。

一般的にボランティアは、被災直後は爆発的に増えるが、あっという間に人は減ってしまうという。選手会は継続して行うことの重要性を強調している。同会は12年から宮城県石巻市に継続的に赴き、津波で流された牡蠣の復興のお手伝いを始めた。人手が足りない間も継続的にボランティアを続け、今では立派な牡蠣が育つ漁場となった。長く続けることで、選手たちは実行していく様子を肌で感じたという。