天国と地獄

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久田敏之

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久田敏之

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平和島ダービーで予選トップ通過しながら、準優1号艇でフライングを切ってしまった久田敏之。コンマ02のスリットオーバーであったが、この瞬きほどのわずかなタイミングの狂いが、久田のその後の人生そのものを変えてしまうと言っても決して大げさではない。

もし、スタートで残っていれば、機力からも逃げ切ったはず。その後は優出1号艇から王道優勝という可能性が極めて高かったはずだ。しかし、そんな夢は手のひらからこぼれ落ち、30日間のフライング罰則とオールスターまでSG出場停止処分という厳しい現実だけが残った。まさにあの瞬間はスリット線上を境に天国と地獄への分かれ道であった。

久田にとっては厳しい準優だったとも言える。5号艇の深川真二の前付けがあったことに加えて向い風が吹いていたこと。スタート展示では深い進入となり、久田のタイミングは+0.15とまったく勘とズレていた。本番はそこから勘を修正する作業だが、前付けがあるレースは、スタート展示と本番の起こし位置が変わることが多い。そうなるともう起こすタイミングは出たとこ勝負となり、勘よりも「気合」が勝ることの方が多いはず。運が悪かったと同情するところも多々あるが、SGとはそれほど厳しいメンタルとの戦いでもある。