「仕事が嫌だった私を変えたのは“子ども”だった」豊田結の本音

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昨年10月に産休から復帰し、いきなりA級に昇格

こんな感じでいきなり戻って活躍できるとは思ってなかったです。今までの成績を見てもらうと分かるんですけど、勝率は4.5ぐらいが最高でした。とりあえず復帰しても、周りの人達は手加減してくれるわけじゃないし、せめて産休前と同じくらい走れるように練習は行ってたんですけど、こんなに勝率が取れているのは自分が一番ビックリしています。

復帰した前期はインで13走中10勝。まくりは10勝

復帰前からそうですけど、インで勝たなかったら勝つところがないんで(笑)。インだけはもう絶対落とせないっていう気持ちは今でも強いです。まくりが多いのは体重が重い時からずっと握ってないと勝てないし、「握れるようになったら何かあるよ」っていう先輩のアドバイスがあって、なるべくそこの攻めるスタイルは変えたくないって思ってます。でも最近は握るのがバレて2コースからのツケマイは決まらなくなってきました(笑)。なのでもっと旋回技術を上げるか、違う作戦を練らなきゃいけないなと考えてます。

産休前と変わったところ

産休前は最高で60㎏くらいありました。今も減量生活は変わりないんですけど、休みに入る前は減量するのも嫌だし、重いせいでエンジンが出なくてレースも勝てないしっていう負のループにハマってて…気持ちの面でも仕事が嫌でした。でも子どもを産んだら、「仕事よりも育児の方が大変だな」って感じて。それがあって今は仕事に行くモチベーションがちょっと高くなったっていうのは大きいです。 レース場の中で言えば過ごし方は前とほとんど変わってないんですよ。ペラをやって、整備士さんにも「エンジンどうですか?」って相談してを繰り返しているくらいで。むしろ産休入る前よりのんびり過ごしているかもしれないです。(今年は混合戦含めて優出3回)嬉しかったですね。展開とか恵まれた環境下で優出できたのが大きいんですけど、それでも混合戦で結果を残すことができたのは自信になりました。

優しい方達のおかげでここまで来れました。
本当、感謝感謝です。

減量を意識させた先輩のアドバイス

ジムでお世話になってるのと、減量を兼ねてランニングを隙間時間見つけてやるぐらいですね。ただ、私本当、人に恵まれてるんですよ。池田明美さん、浩美さん、(長嶋)万記さん、三浦(永理)さんとみんな体重が重かったことがあったらしいんですね。三浦さんや万記さんはデビューしてちょっとぐらいは55キロぐらいで走ってて、そこから頑張って落としたと聞きました。明美さん、浩美さんもお母さんが亡くなられたタイミングで「このままじゃダメだ」と思って気持ちを切り替えて、体重を落とし始めたという話を聞かせてくれたんですね。そういう時に「重くてもそのうち握ることを覚えたら痩せた時に絶対勝てるようになるから」って励ましてくれたり、すごい親身にしてくれて。本当に周りの先輩たちのおかげで、生き残ってこれたので、もう感謝しかないです。

静岡支部は恵まれた環境

そうですね。女子戦に行ったら静岡支部は面倒見のいい先輩達ばかりなんですよ。困ったら相談したり、後輩からも相談されたり。でも私よりできる子もいっぱいいるし、むしろ「今のレース良かったけど、どう?」って、私も後輩に聞いたりします。

あと、復帰前や復帰後も時間がある時は練習に行くんですけど、稼ぐ子達はみんな来てるんですよ。(川井)萌ちゃんなんてまくり差しがすごい上手だと思っているんですけど、「どうやってやるの?」って聞いたら、「いや、私が教えてほしいぐらいです」って言われて。その時、たまたま3人いたので、「じゃあみんなで決められたコースでこういう旋回をするって決めて、まくり差しの練習しようか」って練習したことがありました。みんな向上心が高い! 上手くても「まだ自分には足りない所があるから上手くなろう!」みたいなのがすごいです。後輩のやる気を私も一緒に分けてもらっている感じですね。

本当、静岡支部じゃなかったら多分すぐクビになっていたと思います。メンタルが弱いんで、厳しくされるとシュンって存在感がゼロになる(笑)。優しい方達のおかげでここまで来れました。本当、感謝感謝です。

子供の存在

子供は特に大きいですね。こんなに自分が「頑張ろう」って思えると思わなかったので。子供のおかげで、気持ちを新たにレースができてると思います。

出走回数が1走足りず、レディースC不参加

最初は何も考えずに走っていました。でも途中から「出られるかもしれないよ?」って人に言われて。やっぱり浜名湖だったら出てみたかったし、(選考期間)最後の方はあっせんを詰めてもらったり、追加をお願いしてたんですけど、2走足りないと思ってたのが、本当は1走で良かったみたいで…。その1走が走れなかったので、「今回はしょうがないね」ってもう気持ちは切り替わりました。お願いすることもしたし、自分も一生懸命走って、届かなかったことなので。

でも、GIに手が届くぐらい成績が残せたのは嬉しかったですね。今までだったら記念なんて強い人ばっかだし、走りたくない気持ちがあったんですよ。でも成績が取れるのに伴って、大きいレースでチャレンジしたら今度はどこまで通用するのかなっていう、期待感や楽しみも生まれてきましたし、心境の変化は結構大きいかなと思います。

今後の目標

初優勝したいですね。あと優勝ができるようになれば出走回数が少なくても(クイーンズクライマックス)シリーズとかを走れるようになると思うので、今は一走一走を一生懸命走るようにレースをしています。

profile

豊田結(とよだ・ゆい)
1993年7月19日生まれの32歳。2011年11月浜名湖で109期生としてデビュー。12年5月鳴門で初1着、16年6月浜名湖男女W優勝戦で初優出を果たした。同期には片橋幸貴大上卓人島村隆幸丸野一樹永井彪也らがいる。159cm、50kg。血液型=A。