山口広樹
山口広樹

まさかの誤審でバズった男──あの山口広樹がA級レーサーに!~気になるアノ人 山口広樹インタビュー~

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デビュー7年で初A級

ずっとなりたい気持ちはあったんですけど、その気持ちに技術が伴ってなくて…。冷静に考えたら「いや、この技術でなれるわけないやろ」っていう状態。デビューしてから3年くらいは目の前のことを一生懸命やるという感じで、その後やっとレースのことを考えられるようになりました。

そんな中で少しずつ勝率が上がってきたんですが、なんで勝率が上がったんやろとか、なんで優出できたんやろとかをちゃんと考えるようになりました。逆に言うてみると、今までは何も考えずにレースしてたんです。いや、考えてはいたんですけど、考え方がざっくりとしかしてなくて。稼ぐ人たちとは全然考え方のレベルが違いました。良かった時も悪かった時も、「なんで」を細かく追求しだすようになって、課題克服につながって勝率も上がってきたんだと思います。もちろんまず自分で考えるんですが、分からなかったことはその節で一緒だった先輩や仲のいい先輩に聞いたりして教えてもらっています。

スタートの克服

課題はとにかくスタートでした。スタートで遅れて1マークで何もできなくて終了、みたいなレースばかりでした。Fをめっちゃ切ってきてて、自信が全くなくなって…。F2を何度も経験してトラウマになっていたというか…。だから1マークでこういうレバー操作をしようとかハンドルを切ろうというとこまで行けなかった。逆に遅れていない時は、ちゃんとレースに参加できてたんですよ。だからとにかく遅れないスタートを決めることを心がけました。

平均スタートタイミング自体はそれほど変わってないんですが、全速で行くことが増えましたし、全く行けなかったゼロ台も踏み込めるようになりました。

変わったのはスタートのやり方とかじゃないです。メンタル面というか、集中力ですね。プライベートでも仲良くさせてもらっている中亮太さんに、スタートのことを聞きまくって、これまでの僕がいかに何も考えてなかったのかを思い知らされました。ここまで考えてるのかっていうか、ここまで考えなきゃいけないんだって。本番やスタート展示だけじゃなく、スタート特訓から考えるようになりました。そうするとやっぱり気付きとかも多いので。1着数が劇的に増えましたしイン戦でもしっかり勝てるようになりました。今はスタートのことを考えることがすごく楽しいです。

師匠・田頭実の存在

田頭さん(のスタート)は反面教師というか、田頭さんはずっとああいうスタイルじゃないですか。「俺はこれでやってきたから」って言われてるので。Fを切ることは良くないけど、自分のスタイルというか、それが田頭実という存在になっている方なので。だから田頭さんからは「お前はレースを覚えてターンで勝負しろ」って言われています。スタートに関しては「集中すれば遅れることはない」って言われるくらいですね。

あとは料理ですね。最近、田頭さんの影響で、料理にハマってます。魚の下処理からやって、お酒が好きなのでそれをつまみに飲んで。完全に師匠の影響です。田頭さんの自宅に行った時は、いつも美味しい手料理を出してくれるので。田頭さんは料理にすごくこだわってますのでザっとしか教えてくれないんですが、そこからは自分で考えてアレンジアレンジして。そしたらドハマりしました。

誤審騒動で一躍有名人に

大バズリしてしまいました(苦笑)。それまで僕のことを知らなかった人も名前を覚えてくれたんじゃないですかね。変なバズり方をしてしまいました。(笑)。

あの時はビックリというか、もう焦りました。最後のターンマークを回った時に事故ランプがついてて。フライングしてたんやって思って。考えられることがフライングしかなかったんで。で体を起こして端っこの方でゴールしたんですが、Fを切ってしまったっていうショックで…。期末なのにって…。

でもその後ピットに戻ったら、他の選手から「何したんや?」って逆に聞かれて。あんなことあるんですねって感じでした。あの節は賞典除外になって、もうどうしようもなかったですけど瓜生(正義)代表やいろいろな方がかばってくれて。補償とかもありましたし、今では逆にすごい経験をしたんだなってくらいに思っています。A2級勝負駆けだったんですが、結果的にA2級になれましたしプラスに捉えてます。

守らず攻める!

前期は誤審騒動やらA2級やらで、ほんといろいろな経験をさせてもらいました。特に期末の方は目まぐるしかったです(笑)。

まずはA2級っていう景色というか場所を、しっかりと経験したいです。あっせん日数とか枠番とかも変わってくると思うので。だから初めてのA2級の世界を味わいつつ、その中でしっかり結果を残したい。守りに入らずに攻める気持ちを持ってですね。「良かったのはあの時だけか」って言われないようにしたい。

僕はいきなりジャンプアップできるタイプじゃないってのは分かっているので、地道にですがもっと上、A1級を目指したい。福岡支部は若い選手、僕より下にも上手い選手がいっぱい出てきていますけど、焦らずコツコツですね。

profile

山口広樹(やまぐち・こうき)
1995年11月9日生まれの29歳。2018年11月芦屋で123期生としてデビュー。20年7月宮島で初1着、24年蒲郡のルーキーシリーズで初優出を果たした。師匠は田頭実。同期は松本純平前原大道西岡成美前田滉ら。168㎝、55㎏。血液型=B。