西山貴浩の2年5か月ぶりのF、入海馨のメンタルアップ〜芦屋GIで魅せた選手のドラマ〜
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勝負どころとリスク
エンジンの力を引き出す
8月には担当場の芦屋でGI72周年記念が行われましたので、その話題を多めにお届けします。先月号では整備巧者の話をしましたが、今号も似たような話から入らせてもらいます。エンジンを出すためにボートレーサーは陸の上で汗を流し、それに伴い試運転も度々行うのですが、部品交換ではない整備の話です。先月号の赤岩善生選手の話の中にもあったのですが、部品交換だけが整備ではありません。今回、話を聞かせてもらったのが上條暢嵩選手。8月1日から行われた芦屋の72周年ではいわゆるボロモーターを引いてしまったのですが、序盤からそこそこの動きを見せていました。「低調機を引いてしまうと好素性機にはかなわないかもしれないけど、そのエンジンの力を引き出せればそれなりにはなるはずなんです。例えば、チルト0で乗りたいとしても本当にこのエンジンにこのセッティングは合っているのかの方が大事だと思うんです」と語ってくれました。そのためにボートとのマッチングから、細かな部品のかみ合わせや気象条件、チルト角度、ペラの形などではなくエンジン本体に合った選択を行うそうです。誰もが行う作業ではあるのですが、その感性に長けているということでしょう。「最近はボロを引いてもそれなりに出せているんです。でも、僕の後に引いた人がそのままいいということは少ないみたいで…」と不思議がってもいましたが、この事実こそが感性の証明にもなっていると言えるでしょう。
6月尼崎でのSGオーシャンカップでは、半数以上がセット交換を行ったことで話題となりました。優勝戦のメンバーも5人がこの大整備を行ってパワーアップに成功していましたが、その中で唯一セット交換をしていなかったのが上條選手で「あれは特に自信になりましたね」と笑顔を見せてくれました。もし上條選手がセット交換をしていたら…というのはやぼな話で、「ほぼほぼ良くなるのが確定しているような整備をしなくても、パワー負けすることなくSGで優出した」という事実が自信につながっているのです。
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1986年生まれ 37歳。福岡県北九州市出身。大学卒業後ボートレース関係の会社に就職。2015年から日刊紙記者として若松ボートを担当後、2020年から芦屋ボートに常駐。趣味は釣り。車のシート下に餌が転がり込んだことに気づかず、しばらく異臭を放ち続けたのがトラウマ。