抜かれた選手は、また抜かれる

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一般戦や女子戦だと選手の技術面での差がありすぎるので、先行艇が抜かれるシーンはめずらしくありません。1着を走っていれば航跡もないので抜かれることはありませんが、2、3着だとターン技術の未熟な選手は簡単に後続艇から抜かれます。しかし、GIになるとターン技術に差はありません。ターンのしやすいモーターの仕上がりになるかどうかです。

ボートレースのターンは、ボートを滑らせながら前に押して行きます。前に押すパワーがないと、横滑りするだけです。プロペラの形も関係してきます。ターンで抜かれるというのは、モーターにパワーがないか、それを伝えるプロペラの形が悪いかです。推進力がないので前に押してくれないのです。

前半のレースで抜かれた選手は、モーターを整備するかプロペラを叩くかして対応しようとしますが、抜かれた原因がすぐに見つかるものではありません。レース場に入ると不眠症になると言う選手もいます。負けた原因を考え始めると眠れなくなるからです。寝ずに考えても、1回で解決することは少なく、次のレースでまた同じように抜かれます。

桧村賢一（コラムニスト）

桧村賢一

1947年福岡県生まれ。「競艇専門紙・ニュース」を経て、現在は「マンスリーBOAT RACE」のライターとして執筆活動のほか、レジャーチャンネルでのレース解説、BTS市原、岡部、岩間などで舟券塾を定期的に開催している。「舟券を獲る最強の教科書」（サンケイブック）「よくわかるボートレースのすべて」(サンケイブック)などボートレース著書多数。