舟券と選手心理は似ている

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舟券を買うときに、最初から「外れても良い」と考えている人はいないはずです。多点買いすると、たとえ舟券が的中しても外れる舟券が数多く出てきます。しかし、外すために多点買いしているわけではなく、可能性の枠を広げているだけです。時には、勝ちたいという気持ちだけが優先して、本来考えるべきことを忘れた舟券を買うこともあります。配当の高い方ばかりに目が行くものです。舟券を買おうと思った瞬間から、全体を見渡す余裕はなくなっています。

負けたいと思って走っている選手は誰もいません。レースの流れの中で、無謀なレースはできないといったことは起きても、最初から負ける考えは持っていません。それはまず一番に収入が関係してくるからです。勝率も一つ一つのレースの積み重ねです。自分が勝つと思って走っているので、とにかく1マークを先取りすることだけに意識を集中します。他の選手も同じような心理状態なので、1マークで競り合いが起きてしまうのです。お客さんが考えることと違う行動をすることも起きます。合意のない世界だと思えば、理解できます。レースはつねに危うさをはらんでいるものです。これは舟券も同じことです。

桧村賢一

1947年福岡県生まれ。「競艇専門紙・ニュース」を経て、現在は「マンスリーBOAT RACE」のライターとして執筆活動のほか、レジャーチャンネルでのレース解説、BTS市原、岡部、岩間などで舟券塾を定期的に開催している。「舟券を獲る最強の教科書」(サンケイブック)「よくわかるボートレースのすべて」(サンケイブック)などボートレース著書多数。