桐生

【ボートレース桐生(桐生競艇場)の特徴と傾向を解説】全国一高い標高、攻略のポイントは気圧と風!

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6月7日から12日まで「GI赤城雷神杯」が開催されるボートレース桐生。1997年9月に全国24場の中で最初にナイターレースを始めた最北端のレース場です。所在地は群馬県みどり市笠懸町阿左美にあり、沼の一角を利用した淡水の水面です。標高が高く、気圧が低いこともあって、モーターパワーが他場ほど上がりません。それによって他場と比べてダッシュ勢の活躍が目立ちます。そして最も特徴的なのが冬から春にかけて吹く「赤城おろし」という強い追い風です。



【ボートレース桐生のポイント】ピット離れでコースが変わりやすいので注意!展示を参考にモーターの動きを確認

標高が128mと全国のボートレース場の中で最も高いレース場です。そのため気圧が低く、回転調整が難しく、回転を上げられないと出足が弱くなります。

1マークのホーム側は47mと、関東のレース場では最も広い水面です。ピットから2マークまでの距離が165mと長く、ピット離れで大きな差が出ます。そのため、不利枠でもピット離れで飛び出せば、内側のコースを奪取することができ、進入にも動きがあります。展示はピット出で飛び出したけど本番は出ない、その逆もあったりで、スタート展示と本番でコースが違うこともよくあるので注意が必要です。

冬場になると赤城山から吹き下ろす「赤城おろし」が名物です。強い追い風で1マークが波立ち、安定板を装着したレースも多くなります。



【データ解説】夏の決まり手はまくりが増えるのが特徴、冬は荒れ水面を乗りこなす選手に注目

1マークのホーム側は広めですが、2024年の1コース1着率は52.6%で全国20位です。一方で4コース1着率12.7%(同3位)、5コース1着率7.1%(同4位)、6コース1着率2.3%(同4位)と、全国平均と比較してもダッシュ勢の活躍が多い傾向です。ダッシュの存在感が増せば波乱も多くなり、2024年は万舟出現率が19.3%と全国で3番目の高さ。その一方で、3連単1番人気での決着は8.9%と全国では下から3番目となり、波乱含みとなっています。

舟券のカギを握るのは選手の実力はもちろん、直線の調整。その判断をするのは、公式サイトで発表されるオリジナル展示情報の各種タイムデータがおすすめです。なかでも最も注目したいのが「半周ラップタイム」。総合的な機力を反映しているデータになり、1位艇の2連対率は59.6%、3連対率は74.5%と他のデータと比較して、結果に直結しています。コース別に見るとインの艇がトップタイムであれば強気に頭狙いできるし、センター選手でも舟券の軸に据えられます。

レースに大きな影響を与えるのが風と気温です。前述したように冬から春にかけては「赤城おろし」が吹きます。これが2マーク側から1マークに向かって吹く風なので、スタートラインに対して追い風です。この風が吹きつけると1マーク近辺が波立つため、乗りこなすのが非常に難しい。追い風が5mまでなら1コース有利、5mを超えると2コースからの差しが狙いです。安定板を着けると荒れた水面でも強気に走る選手が勝ちます。

夏から秋にかけては向い風の日が多くなり、4コースからスタートを決める選手が活躍します。デイとナイターの時間帯では気温の変化も大きいので、モーター調整が難しくなり、レース直前の展示航走で動きの良い選手が狙いです。

2024年3連単配当分布

配当出現率
100~990円13.7%
1000~2990円35.3%
3000~4990円16.0%
5000~9990円15.7%
1万円以上16.9%
5万円以上2.4%

2024年1着決まり手(%)

進入1着2着3着逃げまくりまくり差し差し抜き
152.618.28.950.32.2
212.523.818.43.28.30.6
312.721.420.95.44.51.71
412.715.520.17.131.80.7
57.114.619.61.74.70.30.3
62.36.712.40.51.20.20.4

【企画レース解説】6~8Rは1号艇にA級選手、出目は①が中心に

企画レースは3つ。6Rの「トラドキ目玉」(1号艇がA級選手、他5艇はB級選手)、7Rの「ドラドキ3」(1・3号艇がA級選手、他4艇がB級選手)、8Rの「ドラドキ5」(1・5号艇がA級選手、他4艇がB級選手)。6Rは1号艇の1人シードのため、枠なり進入だと1コースが勝つ確率が圧倒的に高いです。おすすめの出目は①-③-②。出現率が11.1%、回収率が104.6%とバランスの良さが特徴。7Rと8Rは、インから買うのはもちろんのこと、A級の2選手を軸にBOX買いもおススメです。


【季節別データ攻略】舟券勝率がアップする!四季別情報

<春> まくりは流れ、差しが決まれば高配当も

「赤城おろし」と呼ばれる強い追い風が吹く日が多くなります。1マーク水域に白波が立つようになれば、安定板を使用してレースすることになります。安定板を使用するとモーターの性能差が大きくなり、成績にも直結します。荒れ水面は得手不得手によっても舟足が変わってくるので、周回展示をしっかりチェックして、乗れてるレーサーを探してみて下さい。また、まくりで攻める選手が1マークで流れることもあって差しが決まり、これが高配当になります。

<夏> 夜の時間帯はパワー重視でイン有利の傾向?

風もほとんど吹かず、1年を通じて一番走りやすい季節です。ダッシュがまくって攻める展開も多くなります。湿度が低く、板の加工などに適している土地で、空気が乾燥すれば、ナイターレースになって気温も下がってきます。11年度から通年ナイターレースが始まりましたが、夜になって気温が下がればモーターパワーも出て、スタートも届くようになり、イン優位のレース展開になっていきます。

<秋> 昼夜の気温差で調整巧者が結果を出す

気温が下がりはじめる秋口になるとレースの流れが変わります。レース場が内陸部に位置しているため、昼間とナイター時間の温度差が大きく変わるのも特徴です。細かなモーター調整が必要となるため、2回走りで連勝するようなレーサーがシリーズを引っ張ります。調整不要のパワーモーターも活躍です。

<冬> 「空っ風」が吹けば波乗り巧者の出番

地元レーサーが集まる正月戦から新モーターに切り替えです。西高東低の気圧配置になると「上州名物、空っ風」が吹くようになります。抜けるような冬の青空になれば、強い追い風が吹きます。1マークに白波が立てば安定板を装着です。風速が8mを超すと波乗りの巧拙が勝負を決めます。周回展示でもしっかりとターンの出来ている内寄りの選手が果敢に攻めて活躍です。



【土屋幸宏の思い出】ボートレース桐生は気圧の低さで調整が難しく地元選手に有利

冬場の「赤城おろし」で追い風が強い日は、1マークがかなり乗りづらくなります。6コースからセオリー通りに差そうとしたら、皆さんしっかり落として差し選択でした。その水面状況で握って流れずにターンできるのであれば、仕上がりが良いなら好モーター、乗り方なら荒れ水面巧者と、その後の舟券予想に活かしてみて下さい。

基本的に気圧が1000hPa以下で回転調整が難しく、地元選手はうまく調整を合わせていました。ピット離れでも地元・群馬のレーサーは注目です。


【まとめ】

●ボートレース桐生は、気圧・風・気温がレース展開を左右する個性的な水面。

●ナイター場の中ではインが弱めでダッシュが強い傾向。オリジナル展示のタイムデータを駆使すれば、万舟狙いも可能。

●季節や時間帯によっても傾向が変化するため、展示・気象条件・選手コメントを総合的にチェック。

●企画レースは1号艇A級中心の6Rが鉄板レース、7・8RはA級選手を絡めたBOX買いで幅広く楽しめる。

●冬から春にかけて吹く「赤城おろし」は強い追い風。インやまくり艇は流れ、差しが面白いように決まる。

土屋幸宏

1984年宮城県生まれ。早稲田大学卒業後、北海道新聞記者を経て、2011年にボートレーサー(109期・埼玉支部)になる。2019年に引退し、現在はマンスリーBOAT RACE編集長となり、『ボートレース学習塾』の連載や『土屋幸宏ボートレース24場攻略ガイド』を出版。ボートレース場の公式YouTubeチャンネルにも出演し、“新聞記者&レーサー”としての経験を基に、ボートレースを分かりやすく伝えることをモットーとして活動する。