ボートレース多摩川

多摩川

【ボートレース多摩川(多摩川競艇場)】日本一の静水面はスピード勝負!レースの特徴や傾向を徹底分析し、予想・攻略のポイントを解説

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“日本一の静水面"と呼ばれるボートレース多摩川(多摩川競艇場)は選手やモーターの実力が存分に発揮できるレース場



6月14日から19日まで「G3イースタンヤング」、9月29日から10月4日まで「G1ウェイキーカップ」が開催されるボートレース多摩川。競走水面は植樹で囲われているため、風の影響をほとんど受けません。プール型の淡水で流れもなく「日本一の静水面」と呼ばれています。広さも十分あり、スピードレースが展開されます。選手が実力を発揮できるため、多彩な戦法が見られます。多摩川はモーター勝負、スピード勝負、スタート勝負、これは四季を通じて共通の傾向です。

【ボートレース多摩川の水面特徴】関東場の中ではイン逃げが決まりやすい



よほどのことがない限り荒れることがほとんどない水面で、レースコースも十分な広さがあります。そのため思い切って攻めることができます。モーターにパワーがないとスピードで置き去りにされるほど、機力が成績に直結します。

1マークのホーム側は41mとそこまで広くはなく、スタートを決めたダッシュ勢は攻めたくなりますが、1マークのバック側の広さが108mあり、1コースがスピードを持って受け止めて逃げることが可能です。そのため、関東地区の他のレース場と比べてインが強いレース傾向です。

ピットから2マークまでの距離が89mと短く、ピット離れの差がつきにくいため、基本的には枠なりの「スロー3艇、ダッシュ3艇」で折り合う可能性が高いです。

【コース別舟券のポイントを解説】決まり手の傾向や配当は全国平均レベル。注目の出目は4-1・5-1!

2024年1着決まり手(%)

進入1着2着3着逃げまくりまくり差し差し抜き
152.917.19.551.31.5
215.325.318.43.99.91
312.221.520.55.24.31.41.3
411.317.318.54.93.12.40.9
56.81218.91.440.40.9
61.56.814.40.50.40.20.3

2024年3連単配当分布

100~990円16.5
1000~2990円38.8
3000~4990円14.8
5000~9990円13.8
1万円以上14.4
5万円以上1.7

2024年の1コース1着率は52.9%。関東場の中ではインが強いと紹介しましたが、全国平均と比べるとインは強くないので注意が必要です。2コース1着率は15.3%で全国5位、5コース1着率6.8%も全国7位と特徴的なデータもいくつかあります。

1コースは決まりまくる日もあれば、まったく決まらない日もあり、風や番組から1日の流れを読むことが重要です。トータルで見れば、決まり手の傾向や配当のデータは全国平均付近に収まっています。

スピード戦で攻めるのが基本のレースコースなので、1コースに入ったレーサーは小回りするのではなく、スピードをつけたターンをします。ダッシュの選手は1コースの選手の動きを予測して全速戦で攻めるか、まくり差しに入るか一瞬の判断が迫られます。伸びはもちろん、出足の仕上がりも重要になります。仕上がりを判断するには目展示はもちろん、ボートレース多摩川の公式サイトで公開されるオリジナル展示情報を参考にしたいところ。展示タイムは伸び、回り足タイムは出足、直線タイムは行き足、1周タイムは総合力の評価になり、すべてが上位級なら迷わず買いと言えるでしょう。

ダッシュ勢が攻めて突き抜けてもスローから上手く残す艇が多く、出目的にも④⑤⑥のボックスはなかなか成立しません。例えば4コースがまくりで勝っても、4-1、4-2、4-5の出現率が高く、4-6は苦戦気味。一方、5コースの場合、主な戦法がまくり差しとなるため、5-1、5-2の出目がよく出て、5-6の出現率は低いです。

【季節別データ攻略】予想に生かせる!四季別情報

<春>中へこみの展開になればダッシュ勢の勝率アップ

1年を通じて風の影響は少ない季節です。バック斜めから緩やかな風が吹く程度で、レースに影響を与えるほどではありません。モーターの切り替え時期が近づき、性能差がスリットに現れるため「中へこみ」の展開が多く、ダッシュ勢の一撃が決まりやすくなります。新モーターになると相場が掴みにくいため、展示やレースでの動きをしっかりチェックしたいところです。

<夏> 迷ったら優出・優勝回数が多いモーターを選ぶのが吉

夏場でモーターパワーが落ちますが、だからといってインが弱いというわけではありません。 春先に新モーターに切り替わるため、相場が見え始めます。夏場は「回転の上がりが悪い」というコメントが多いので、選手の言葉をしっかり確認して、購入するべきかの押し引きを判断しましょう。迷ったら過去の成績を確認して、複数回優出・優勝している実績機がおすすめです。

<秋> まくりに乗ったアウト差しで高配当ゲット

向かい風の日もありますが、レースに影響するほどの風にはなりません。モーターも使い込まれることで調整が進み、回転グセもついてきます。静水面で1コースとカドを取った選手のスピード戦が見どころなります。スローが主導権を握るのか、ダッシュ勢が主導権を握るのか。それで舟券の方向性も決まってきます。水面が良いのでスピードを持って勝負できるため、まくり切りよりもそれをマークした差しを狙う方が、高配当をゲットできる近道です。

<冬> 向かい風の日はパワーモーターが舟券によく絡む

冬場の晴天の日は、1マークバック側に富士山の白い頂が見えるようになります。そんな日は決まって向かい風が吹きつけます。5m近くの強風になることも珍しくありません。向かい風ならダッシュ勢が有利ですが、これもパワーの裏付けがあってのことです。パワーがないと淡水特有の硬い水にモーターが負けてしまいます。



【土屋幸宏の思い出】戸田以外で一緒になった加藤峻二さんとの思い出

練習会にも参加させてもらいましたが、まさに「日本一の静水面」で、風が吹かなければ水面が鏡のようになることは有名な話です。なかなか怖くてできなかった、道中の全速ターンにもチャレンジした水面でした。

デビュー期に斡旋されたときは珍しく安定板を装着してのレースでした。横風が10mも吹きつけ、スタートが難しいコンディションの中、思い切って攻めたところコンマ04のフライングをしてしまいました。前日までとは全く違うレース環境に上手く対応できませんでした。

大先輩の加藤峻二さん(引退)と地元以外で一緒の斡旋になった唯一のレース場で、プロペラのアドバイスをしてもらったのが良い思い出です。加藤さんは必ず朝一番に水面に出て試運転をします。埼玉の若手は、加藤選手のボートを昇降機の一番前に移動するという作業が慣例となっていました。レース場では年齢を感じさせない若々しさがありました。


【まとめ】

●ボートレース多摩川は「日本一の静水面」と称されるほど水面が穏やかで、風の影響が非常に小さい。

●水質は淡水で、プール型のレースコース。

●1コースの勝率は関東場の中では高めではあるが、全国平均と比べるとやや低い。

●握ったもの勝ちの水面で、モーターパワーのあるダッシュの一撃は要注意!

●ピット離れに差が出にくく、枠なり進入が基本。

土屋幸宏

1984年宮城県生まれ。早稲田大学卒業後、北海道新聞記者を経て、2011年にボートレーサー(109期・埼玉支部)になる。2019年に引退し、現在はマンスリーBOAT RACE編集長となり、『ボートレース学習塾』の連載や『土屋幸宏ボートレース24場攻略ガイド』を出版。ボートレース場の公式YouTubeチャンネルにも出演し、“新聞記者&レーサー”としての経験を基に、ボートレースを分かりやすく伝えることをモットーとして活動する。