早過ぎた、遅くても…スタートのドラマと葛藤
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相撲の立ち合いとボートレースのスタートは、似たところがある。いつもながらテレビ発信で恐縮だが、そんなことを思った。一対一の格闘技と6艇で争う競走で何…と言うなかれ、どちらもここで火花を散らせる。勝ち負けの大きな部分を占める。前段階として仕切りや待機行動があるのも同様だ。
その番組で力士に「立ち合いが勝敗に占める割合」をアンケートしたら、答えてくれた34人中28人が7割以上で、10割の力士も一人いた。ボートレースでスタートに置き換えたら、ボートレーサーは何割と答えるのだろうか。
スタート力、旋回力、整備力のうち、どれかひとつがあれば「やっていける」、二つあれば「一流になれる」、三つ揃えば「トップに立てる」と聞いたのは西田靖からだったか。彼はまずスタートを磨いていると言ったものだ(随分昔のことだけど)。
そのスタートを後ろ盾に、西田は足跡を残してきた反面、何度も苦杯を舐めさせられてきた。今年はSG優勝戦におけるFの罰則が倍加された。奇しくも発端の当事者となったのも彼だった。返還事故の撲滅は業界の宿願だが、これを果たすための方策もまた変遷してきた。
フライング返還は、古く1961年に始まる。前年に大時計が二重針になって、1分針だけでスタートを合わせていた環境が改善された。長針が20秒針で12秒針になるのは78年だが、66年12月には出遅れ制限がそれまでの1.5秒から現在の1秒になった。だが、フライングの罰則は「即日帰郷」だった。あのダービーの10ヶ月前である。
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