ボートレース若松優勝選手


王冠過去の優勝選手

ヴィーナスシリーズマクール杯ナイトプリンセスカップ(平成27年12月9日)

長いトンネル抜けた! 細川裕子 約4年ぶりV


4123 細川裕子(愛知)

若松ボートの「ヴィーナスシリーズ マクール杯ナイトプリンセスカップ」は9日に優勝戦が行われ、2コースから発進した2号艇の細川裕子(33歳=愛知)が1周1マークで差し旋回。イン先マイの藤崎小百合をバック直線でつかまえ、2マークを先取り。そのままリードを広げ独走。約4年ぶり、久しぶりの美酒を味わった。活躍が薄れた時期もあったが、前期は7点台の勝率を残してA1級復帰も決まり、今回のVでさらに復活を印象づけた。

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「ビックリ。まさか」

勝った細川は、驚きを隠さずそんな言葉を並べた。

このレース、1度は優勝をあきらめかけた。1周1マークで差しハンドルを切ったものの、インから先マイした1号艇・藤崎小百合の引き波に完全に乗って遅れをとっていた。「(1マークは)ターンミスです。ダメかと思いました」。

ただここから、細川の乗る17号機が、乗り手の焦りをかき消すかのごとく、ターン出口~直線で勢いよく噴き上げた。逃げる1号艇・藤崎を追いつめる。その差が1艇身、半艇身……。そしてついに、黒い艇先は白カポックを捕まえた。「(藤崎選手より)直線の分がだいぶ良かったです。エンジンはすごい良かった」。本人もビックリ驚きのモーターパワーがそこにあった。

藤崎の懐に艇を入れたら、もちろん2マークは先取りする。藤崎は差しハンドルで逆転を狙ってきていたが、細川は冷静だった。「2マークを先に回れれば大丈夫」。そう思いながら、ターンを外さず旋回。藤崎の差しを防いだ。ホーム直線で藤崎を引き離して、ここで主導権を完全に掴む。そうして2周1マークもトップターン。単独首位へ。その後も快速飛ばして周回重ね、優勝ゴールラインを駆け抜けていったのだった。

11走、オール3連対という成績。着を大きく外さない安定感が光った。

実力ある細川だが、これが意外にも約4年ぶりV。近年、優出は重ねたが、なぜかなかなかVだけが掴めない時期を過ごした。勝率が5点台まで下がって、影が薄れた時期もあった。スランプだった。

「もしかしたらもう優勝ができないかもと思っていました」と、そんな気持ちを抱えていたことを吐露した。

だが、それもここまで。勝てないトンネルは、抜け出たのである。

あらためて2015年を振り返ってみると「今年はとてもいい年でした」と細川は言う。その表情には充実感が出てきていた。前期(今年5月~10月)は、7点台のハイアベレージ。現在はA2級だが、来年はA1級へ返り咲くことが決まっている。勝率アップにくわえ、今回の若松でVゲット。たしかに、昨年や一昨年と比べると、元気がある。今の細川は、勢いが戻ってきた。

「A1級に戻ることができたので、これをキープできるように一生懸命頑張ります」。これからの意気込みをそう力強く話す。

次は常滑、福岡と戦いは続く。その前に、12月11日には誕生日も迎える。

快調リズムで新たな1年へ。

復活した細川なら、観衆を沸かせるレースをまた見せてくれそうだ。

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(文:吉川)


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