ボートレース若松優勝選手
外向発売所カッパ☆ピア開設3周年記念競走(平成26年12月5日)
冷静な立ち回り! 実力者・白水勝也がV!
若松ボートの「外向発売所カッパ☆ピア開設3周年記念競走」は5日、12Rで優勝戦が行われた。荒れ水面の1周1マーク、3号艇の白水勝也(42歳=福岡)が4コースから艇団の隙間を突く絶妙なマクリ差しを決めて先頭奪取。追ってくる後続を振り切って快勝した。若松では6回目、通算では37回目、今年は初Vとなった。
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1番最初にマクられた者が、1番最初に生き返る。
そんな艇界の格言のように、1度は消えた白水が見事に蘇った。
スリット後。5コースから伸びてきた熊谷直樹が内側へ内側へとハンドルを切ってマクってきた。グイグイ伸びる。こうなると、伸び足では劣っている4コースの白水は最初の餌食となるのは避けれなかった。冷たい水しぶきを浴びる。これは甘んじて受けた。ただ、無駄な抵抗はせずにすぐに艇を引き、素早く体勢を立て直して勝機をうかがうのは、さすがの実力者・白水。転んでも、すぐに立つ。まだ終わったわけではない。
大勢の観衆の視線は、マクりにいった熊谷に集まっただろう。だが、熊の強パンチはこの日決まらなかった。1コースの西山貴浩がマクられてはたまらぬと意地の抵抗。そして、両者揃ってターンを外していったのだ。待ってました。青、白がターンを乱してるのを、そっと後ろから赤いカポックが見ていた。ここだ。ターンマークギリギリの空いているスペースへ、渾身のハンドルを切った白水。強風と波で荒れる水面、大雪で視界も悪い中、懸命にボートを抑えて絶妙の差しを繰り出した。それぞれの思いがぶつかって混沌とする1マーク。見事に先頭で突き抜けてきたのは、この男だった。
熊谷、柘植政浩の強力モーターコンビは後退しており万事休す。6コースから白水と同期の山下和彦が気迫のマクリ差しを入れてきたが、こちらは艇がバタつきタイムロスで2番手まで。白水が譲らない。1周2マークもトップターンを決めて首位を固める。結果、3周ラストまで逆転は許さず。白い雪が舞う中、赤い勝負服が颯爽とゴールラインを駆け抜けていったのだった。
「優勝戦は落ち着いてレースができました。この展開は考えていました」。そう白水は振り返る。このレース、マクリにいった熊谷や、抵抗した西山より、逆にマクられながらも我を失わず冷静に立ち回って差し場を見つける白水の冷静さが光った一戦だった。また、最終日も同県先輩のアドバイスなど受けながら、懸命に調整に汗を流したのも奏功した。優勝戦メンバーの1周測定タイムで、他5艇が37秒台に対し、白水1人だけが36秒の好タイムを出していたのも事実。良いターン足と出足が、荒れ水面の中での巧い差しを生んだ。
この優勝が意外にも今年は初。優勝戦進出回数はトータルで10回を数えたが、なかなか1つ目が取れずに苦戦した1年だった。それでも、さっぱりした表情で白水は前を向く。「またこれからも目の前の1走1走を頑張ります」。
弾みをつけて、次は戸田の一般戦(11日~)へ。その後、年末には再び当地に戻って、年またぎレースへと参戦予定。名手・白水が水上で目を光らせる。若松連覇なるか、今から楽しみだ。
(文:吉川)