ボートレース若松優勝選手


王冠過去の優勝選手

第31回日本財団会長杯争奪戦競走

まっこと強勝った! 中尾誠が1着量産、圧倒V!

4008 中尾誠(佐賀)

銘柄選手が多数集まり、連日熱戦を繰り広げた若松ボートの「第31回日本財団会長杯争奪戦競走」が18日に最終日を迎えた。注目の12R優勝戦は、1番人気に推された1号艇の中尾誠(34歳=佐賀)がインからしっかりと逃げきって完勝。一昨年の11月以来、約1年2ヶ月ぶりの嬉しい優勝を飾った。地元の唐津ボートで開催中のGI周年記念には選出されなかったものの、そこで奮闘する後輩・峰竜太らへ、先輩からの大きなエールにもなった。

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多くの言葉は必要なかった。

「こんな成績が取れている。モーターは良いです」。優勝戦前、中尾はそう淡々と話した。

相棒38号機は目を見張る好パワーだった。前検日の時点ですでに存在感があり、「班では明らかに強め」と満足げな機力コメントを発した。すると翌日、強豪揃った初日ドリーム戦を5コースから3着に食い込んでみせる。初日は不利な外枠2走だったが、難なく2着3着をゲット。その動きの良さから、中尾のその後の活躍を予感するのは、決して難しいことではなかった。結局、予選~準優勝戦まで10走して1着7本の固め打ちに成功。あとは2着1本、3着2本で見事オール3連対。今節は浜野谷憲吾や吉田弘文、鳥飼眞や石渡鉄兵ら記念常連選手も顔を揃えていたが、中尾はその中で抜群の安定感で優勝戦1号艇まで突き進んだのだった。

締めくくりの優勝戦も、多くの言葉は要らなかった。ポールポジション1号艇、しっかりとインを確保して発進。「思ったより浅い進入でした。起こしたことのある位置だったし、大丈夫だった」と焦りは無し。6艇のスタートタイミングは、インの中尾から順にコンマ07、19、21、17、17、37。「いいスタートでした」と1人ゼロ台を踏み込む好ショットを放った中尾。まさに頭一つ抜けたようなスリット隊形。もう、この時点で大勢は決していた。「周りに誰もいないと思った」。見事なトップスタートから1マークを独占するようにインモンキー決めた白カポックは、そのままバック直線に抜けていき、2マークも先頭ターン。独走態勢へ。ただ、それでも「3周目までしっかり走ろう」と気を抜かず、きっちりと走ってゴールイン。2012年11月福岡一般戦以来、久々の優勝は、文句のつけようのない完勝劇となったのだった。

本人は褒められると「大したことはないです」とおどけてみせたが、「ホッとしました」と一言残した言葉に、“V戦1号艇で1番人気”のプレッシャーに潰されずに勝った満足感と、解放感も滲みでていた。

この日、中尾にはどうしても負けれない思いもあった。ちょうど今節は、唐津で行われているGI周年記念競走の裏。「地元(唐津)では後輩達も頑張っている。だから、今日はエールを送るつもりで頑張りました」。新聞、映像等で佐賀の選手達の活躍を見せられ、自分も奮い立った。先輩である中尾自身がその場にいない無念さ、屈辱はきっと心の中にあっただろうが、それは一時封じ、若松で冷静にしっかりと自分の仕事をやり遂げ、優勝という結果を示したのだった。唐津に出走中の選手も、中尾の姿は見ただろう。言葉では表せない、若松から送られた水上のエール――。今日(19日)、唐津の優勝戦1号艇で出撃する後輩・峰竜太には、強い後押しになるはずである。

中尾の次走は、来月のGI九州地区選(芦屋)。昨年の地区選(若松)では優出3着と健闘した。

昨年は優勝回数ゼロ、記念でも大きな結果は残せずに不振だったが、「今年は佐賀の選手たちに付いていけるように頑張りたい」と決意を表明。言葉は多くないが、佐賀魂と闘志は内に秘める。2014年、多くの記念ピットで、この男を見るかもしれない。


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