平和島の滝の役割~後編~

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いよいよ明日(24日)に開催が迫ったダービー。その開催場である平和島にある滝の秘密の後編だ。今回はその水質管理システムについて言及する。

レース場の2マーク奥にある平和島水質管理所を簡単にいうと、小さな浄水場だ。ここでは競走水面から毎秒0.5トンの海水をポンプでくみ上げ、まずは大きなゴミを取り除く。そして半分はろ過装置、もう半分は滝へと送られる。ろ過は「全自動重力式急速ろ過装置」といい、8室あるろ過室で浮遊物質を取り除いてきれいな海水にして放流する。

【8室あるろ過装置。下からろ過された海水が上がってきて、青い道を通ってまた海へ戻される】

【沈殿槽、濃縮槽。ろ過装置で洗浄した排水に凝集剤を注入し、浮遊物質を凝集させて沈殿、濃縮させる】

また滝の方は、スタンドから見えない小さな滝と、いつも見ている2段階の滝という3段構造になっていて、見た目の演出だけでなく、海水中に溶けている酸素の量を増やす効果がある。なお、気温が低い冬場(11月~4月)は、ろ過をしなくても十分、良好な水質が保てるため、くみ上げた海水をすべて滝から落としている。

【真横から見ると、3段構造になっているのがわかる。これが水中の酸素を増やすのに重要】

この滝がなければどうなっていたか。もしかすると競走水面の水質は劣悪なものとなり、生態系に変化が起きて、異臭を放っていたかもしれない。現場でレース観戦をしている時に、ボラが跳ねたり、鳥が魚をついばむところを見たことはないだろうか。魚や鳥がいるというのは、それだけきれいな海である証拠。この滝によって、C海域基準(環境保全を目的とした水質)以上に保たれている。