日刊編集後記


2018/11/9

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数日前、横浜の繁華街である伊勢佐木町の入り口に、『乞食サン』が出現しました。自分が小さい頃はよく見たものですが、最近はほとんど見ることがなくなったように思います。役所に勤めている知人の話では、そういう人が出現するとすぐ近所の人に通報され、しかるべき施設などに収容されるらしいのですね。ところが今回見た人は、まだ“新人”のようでした。着るものもそれほど汚れておらず、髪も短髪。荷物もなくひざまずき、小さな空き缶のみを前に置き、ひたすら首を垂れているだけなのです。身につまされるのは、自分と同じぐらいの年頃の人だったということです。しかしこの『乞食サン』、座る場所は考えたのかも? 銀行が2軒並び、さらに宝くじ売り場が真横。ここならば、もしかして財布をまだ閉じる前の人や、宝くじで小当たりしていい気持になった人がめぐんでくれるかも…そんな狙いがあったんでしょうか? そんなことを思いながら通り過ぎると、なんと! 若いジャージ姿の女の子が缶にお金を入れていました。一瞬見えた感じでは、外国人の女の子だったようです。日本人は(自分も含めて)避けて通っていたのに…。ほんの1分ほどの街の風景でしたが、数日経った今でも頭の中に残像が残っています。

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from ヤマケイ

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