日刊編集後記


2015/12/9

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自分は城好きのひとりだが、2年連続でクラシックを開催し、来年もオールスターが開かれる尼崎に、お城が“復活”するらしい。同好の士から聞いた話では、尼崎城は全国の多くの城と同じように、明治維新の際の廃城令で取り壊された。しかしそれから約150年を経て、尼崎で創業して成功を収めた家電量販店の会長さんが、私財を投じて天守閣の建築並びに寄贈を申し出たという。全国には、個人の持ち物になったおかげで取り壊しを免れたお城や、あるいは今回と同じように郷土のお金持ちの寄付で、天守閣を再建したりや城跡を公園にするケースがいくつか見られる。東海道新幹線からも見える静岡県の掛川城などはその代表例だ。自宅を城の天守閣風にする人は全国に数多いし、遠く南米のボリビアでも、移民で成功した日本人の二世・三世が自宅を壮大な日本風のお城にしたというニュースを見たことがある。やはりお城には、日本人の心の中に強烈な憧れがあるのだろう。個人的には、あまりド派手な建物にせず、なるべく昔の資料に合わせて再建してもらいたいと思う。近い将来、尼崎の名物がひとつ増えるかもしれない。

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from ヤマケイ

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