日刊編集後記
2014/4/2
今回はちょっとカタい話にお付き合いください。3月の上旬の話になりますが、フランスの映画監督アラン・レネが死去しました。学生の頃、映画にはまっていた自分は、この監督が作った「夜と霧」という短編ドキュメンタリーを見て、強い衝撃を受けたものです。それはナチスドイツによるアウシュビッツ強制収容所でのホロコーストを告発した最初のフィルムといっても過言ではないもので、大学に入ってからは「アウシュビッツをこの目で見たい」と考えていましたが、当時のポーランド(アウシュビッツは戦後ポーランド領になった)へ行くには、金銭的にも政治的にも障壁が高過ぎました。実際に現地へ足を運べたのは40代半ばになってからのことです。アラン・レネはその後、「ヌーベルバーグ(映画の新しい波)の旗手」と呼ばれる存在になり、数々の話題作を発表。何と90歳を過ぎた今年も作品を撮っていました。昨年カンヌ映画祭に出席した同監督の写真を見ると、女優に囲まれた好々爺という感じだったが、情熱は最後まで衰えなかったのがスゴいですね。昨年CSで見た「二十四時間の情事」は、被爆後の広島で日本人男性とフランス人女性が愛し合った晩のことを描いたモノクロ映画でしたが、今なお新鮮で美しい映像でした。皆さんにもその名前を知っていただければ幸いです。