ボートレース若松優勝選手


王冠過去の優勝選手

ギラヴァンツ北九州杯(令和元年12月25日)

森定晃史激闘のクリスマス決戦制す今年3V

4172森定晃史(岡山)

壮絶な競り合いだった。体勢も崩れた。それでもやはりゴールを決めたのは、"1番"を背負ったこの男だった--。7日間シリーズの若松ボートの「ギラヴァンツ北九州杯」は、クリスマスの25日に優勝戦が行われ、1号艇の森定晃史(37歳=岡山)が優勝を飾った。2、3コースがヘコみ、4コースの久田敏之が攻め、インの森定が握って応戦する展開となった1マーク。懐が空いた森定だったが、差しを狙った他艇ももつれており、バック直線で先頭に立ち逃げ切った。これで最近5節で3回優勝と絶好調だ。

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5日目には6秒69の抜群の展示タイムをたたき出した。前検から手応えを感じていた直線の足は、節一級のものとなっていた。「インから2回放っても出ていく」というコメントが、行き足の良さもよく示していた。

6日目の準優9Rは1号艇でイン戦。3コースの山田雄太の炎のマクリを受けたが、バックストレッチで内から追いついて1着。相棒8号機の威力を見せつけた。一方、予選1位の久田敏之や、予選2位の渡邉和将ら1枠組が逃げ切れず。あれよあれよと、森定に優勝戦の1号艇のイスが用意された。流れは来た。

迎えた優勝戦。クリスマス決戦。9R頃から雨が降り続いていた。2マーク水面際でカメラを構える筆者にも容赦なく冷たい水滴が降り注ぐ。ただ、レースが始まってみれば、水面の壮絶な競り合いが雨のことなど忘れさせた。

進入は枠なり3対3。インの森定はコンマ14スタート。この足を考えれば十分のはずだった。だが、右隣2、3コースがドカ遅れ。絵に描いたような中ヘコみで外艇から丸見え、裸のイン戦となってしまっていた。4コースカドからは、久田がコンマ11の快速トップスタートを切り、一気呵成と内側に襲いかかった。久田は前日7Rには、同じく4コースからのマクリ差しで1着を取っていたが、ここはレバーを放らない。久田は止まらない。森定も止まらない。インとカド。ええい、もう勝負だ。森定が必死に抵抗。突っ張る突っ張る。何が何でもイン先マイ。こうなれば両者流れて、1マークは大きく空いた。

“待ってました”の展開は差し勢。機関車となった久田をマークする5号艇の渡邉と、6号艇の山田。絶好の好機だった。しかし、ここも凄まじかった。渡邉は内から回ろうとする3号艇の星栄爾と接触、さらにその渡邉が山田と接触。転覆や落水が起きそうなくらい3者もつれあい、スプラッシュ。誰も抜け出せず。

大混戦の1周1マークを終え、バックで先頭には白い勝負服が立っていた。追っ手はいない。2マークもトップで旋回。軍配は上がった。あとは周回を重ねていって1着。若松の今年最後の優勝戦を制した。2着に渡邊哲也、3着には久田が入線した。

手に汗握るレースだった。

「あの展開で、よくもったと思います」

レース後ピットに戻った森定は、そう振り返った。驚きと安堵の表情が混じった。

薄氷の勝利だった。厳しい戦いだった。それでもやはりゴールを決めたのは、快速の足をもつ森定だったのだ。「足は良かったです。行き足から伸びは今日が一番でした」。

当地は初制覇で、これで今年は3回目の優勝。

今期(11月~)は絶好調。5節走って、3回優出、3優勝の活躍だ。前期(5月~10月)は勝率6点台も、今期はここまで勝率7点台後半を出している。11月からの3Vについては「遅かったですね」と少し苦笑い。それでも、森定のこの走りは今後も要注目だ。

次走は住之江へ。そして年明け、1月中旬には再び若松。あと20日少々。GIダイヤモンドカップ(1月17日開幕)で帰ってくる。遠征勢ながら、直前に若松を走ったことはプラス材料となるはずだ。

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(文:吉川)


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