ボートレース若松優勝選手


王冠過去の優勝選手

GⅢビートル杯(平成29年3月20日)

荒れ水面に負けず 海野康志郎差しV


4324 海野康志郎(山口)

博多港と韓国・釜山港を結ぶJR九州の高速船「ビートル」が冠となっている若松ボートの「GⅢビートル杯」は20日に優勝戦が行われた。風速10m、波高10cm、横なぐりの雨が降る中、1周1マークで2コースの2号艇・海野康志郎(29歳=山口)が、インから先に回る池永太を差し、2マークを先マイしてリードを広げ独走ゴール。「僕は波に強い」と自信をもつ男が、果敢な走りで嬉しい今年初Vを飾った。
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白波立つ荒れ水面の中、先頭に躍り出てきたのは、黒色の勝負服をまとった重量級の男だった。

1周1マーク。追い風10m。マクリなんてとても決まらない内側有利の水面だった。3コースの3号艇が握ったが、水面に浮かぶ木の葉のようにゆらゆらと外側へ流れ、消えていった。4、5、6コースの艇も波との戦いで精一杯といった感じだった。

そんな中、2コースの2号艇・海野の走りが光った。インの池永が荒波に手を焼きながら腰を落としてターンしている横を、海野は果敢なモンキーターンで差し抜けた。海野のボートの安定感はどの選手よりあった。このメンバーの中で1番の体重、57キロ。他5選手より約6㎏ほど重かった。

1周2マークを先マイ。差し返しを狙ってきた池永を完全に置き去りにして先頭独走。勝負アリ。周回を重ね、今年初優勝となるゴールラインを駆け抜けた。

「僕は波に強い。乗れる。ただ、雨で前が見えなくて、それは厳しかった」と、レース後に振り返った。このコンディションでの疲労感と、V奪取の達成感が表情に滲んでいた。

次走は江戸川ダイヤモンドカップ、その後、丸亀周年、三国周年とGI戦が続く。

「どこかでいい結果を残して、SGオーシャンの権利を取りたいです」

そう意気込みを語り、レース場を後にした。勝負のGI連戦。まずは難水面・江戸川が、波乗り海野の挑戦を待っている。

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【地元池永 無念】
過酷なコンディションの中、優勝戦1号艇で出走した地元の池永は2着に敗れた。自身の優勝戦1号艇連勝記録は9でストップ。「風は凄かった。また次です」。帰り支度をしながらそう語った。なんともいえない歯がゆさだけが残った。観衆も帰り照明も消えた暗闇の競走水面には、おさまる気配のない強い風が吹きつけていた。

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(文:吉川)


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