ボートレース若松優勝選手


王冠過去の優勝選手

スポーツニッポン杯争奪GW特選競走(平成26年4月27日)

これがまことの仕事っぷり 鳥飼眞が若松GW覇者

3703 鳥飼眞(福岡)

今年最初のGW覇者は鳥飼――。全国のGWシリーズの中で1番に火ぶたを切り、熱戦展開した若松の「スポーツニッポン杯争奪GW特選競走」は27日に最終日を迎えた。注目の12R優勝戦は、5コース発進の鳥飼眞(40歳=福岡)が、1周1マークで展開を突く差し技を決めて快勝した。最終日ギリギリまで機力アップに汗を流し、レースでは一瞬の好機を逃さぬ的確な走り。さすが実力者の仕事っぷりで、今年初の美酒を味わった。

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「“吉”か“凶”か分からないけど、プロペラを思い切り叩く」

最終日、鳥飼はそう言って大幅な調整に取り組んでいた。歯がゆいほどに中堅の域を出ないモーターパワー。V戦メンバーの中に入ると劣勢。特に伸び足はさっぱり。そんな相棒機に、決断のメスをいれたのだった。ギリギリまで汗を流す40歳。そんなベテランに、勝利の神様は輝かしいVロードを用意してくれていた。

優勝戦1周1マーク。3コースの大神康司が気合いの先マクリを発動。4コースの渡辺浩司は大神の外を全速握りマイ。インの岡崎恭裕と2コースの中辻崇人は抵抗できずに、この引き波の中へ沈んだ。ただ、大神の先制マクリも外側に流れ気味。この展開を逃さなかったのが、5コースの鳥飼だった。ターンマークギリギリの空いたスペース。そこに渾身の差しハンドルを突き刺した。スピードもあり、これがズバリとはまった。出足は鋭く、機力アップは"吉"と出たようだった。この差しが決勝打になり、そのまま先頭を確保で、誰にも首位を譲らず周回を重ねていき嬉しいゴールイン。今年の若松GW覇者の称号を手中におさめたのだった。2着には岡崎、3着に宝田亮治。1マーク見せ場作った大神は道中で他艇をさばけず5着だった。

「いいですね」。レース後、1周1マークのリプレイを見ながら、自分のプレイを褒めて笑みをこぼした鳥飼。不惑になっても、外コースからスピード十分に切り裂いてくる能力はまだまだ健在。機力を向上させる整備手腕もさすがだった。

久しぶりにこんなに笑顔の鳥飼を見たと思う。格別の優勝だったようだ。「精一杯努力したかいがあった。正直、人の5倍は調整しましたし、良かった」。顔には充実の色が滲んでいた。忍耐は苦い、しかしその実は甘い。流した汗の分だけ、成果が出た時の喜びは膨れあがる。福岡の後輩たちの手本となるような姿勢を、ベテランが見せてくれたようでもあった。

心残りは一つ。「(機力劣勢な)大神さんもずっと調整を続けていたので、ワンツーをしたかった」と残念がる鳥飼。たしかにそうだ。鳥飼と大神の折り返し舟券「4=6」を握りしめていた筆者も、深くそう思う。今度はワンツーをぜひ。

ウィナーの次の登場は、5月1日から始まる福岡のどんたく特選(GWレース)。その後転戦して、6月には再びここ若松の一般戦の斡旋が決まった。

「これからも人の3、4倍仕事して、一走一走頑張っていきます」

そう力強い言葉で締めくくり、若松ピットを後にした。勝利を目指し、あきらめず、精一杯尽力する40歳。次の吉報は、そう遠からず届くはずだ。


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