ボートレース若松優勝選手


王冠過去の優勝選手

平成24年3月18日
第29回日本モーターボート選手会会長杯争奪戦競走

福岡魂・大神康司が逃げ切った! 今年初優勝だ

写真
3574 大神康司(福岡)

独走で3周目2マークをターン。最後の直線に戻ってきたのは、ナイター水面に映える白の勝負服だった。

優勝戦はちょうど日曜日。いつもより多く集まった地元福岡の観衆の期待に、しっかり応えたのは大神康司だった。

選手層の厚い福岡支部の中でも、上位に部類される大神は、地元ファンを大事にすることで有名だ。福岡市在住なだけに博多水面の馴染みが強いが、ここ若松水面も相性は悪くない。当地勝率は8点オーバーを残し、優勝歴は3回。前回参戦時は、優勝戦2着。前回のリベンジも込め、今回の大神は序盤から暴れ回っていた。

初日ドリーム戦1号艇を、しっかりと逃げて快勝。「伸びるし、いいエンジン」と、最初から機力に手応えを感じ取っていた。出足型に仕上がることが多い大神だが、今節は直線、中間速の足も良かった。舟足が整えば、腕も鳴るというもの。2日目~5日目の準優を終えるまで、マクリで4勝、逃げで2勝、差しも1勝。ファンに快走を見せる。特に気持ちが伝わったのが4日目。風速10m、波高15cmになる時間帯もあるという超劣悪天候の中で、大神はコンマ02のスタートでマクリ、コンマ17のスタートでイン逃走を決めた。悪天候という逆境にも、気持ちは切らさなかった。もう、主役はこの男以外にいない。予選得点率は9.71で1位、準優もしっかり逃げて、堂々とV戦のポールポジション1号艇の座に構えていた。

大神がインに入ると信頼度が高い。直近6ヶ月間では、インに21回入って19回の2連対。出足をよく仕上げているのだろうが、大神はインに入った時の気構えもしっかりできているのだと思う。今節もインに3回入って、敗れることはなかった。

そして、優勝戦。得意のインを確保する。「それなりに掴めてる」と言っていたスタートは、コンマ15の1艇身スタートを入れた。スリット隊形はほぼ横一線で、こうなれば押し切り体勢である。1マークをインモンキーで旋回。先マイ成功、優勝濃厚。ただ、3コースから少し伸びてきた永井源が、気合いのマクリ差しハンドルで大神の懐に忍び寄る。この艇先が届いてくると危険だ。だが、バック直線で大神自慢の相棒モーターがグイっと伸びて、永井の艇を離す。大神は内側にハンドルを切って、締める。永井は仕方なく外に艇を振る。両者に1艇身ほどの差が生まれた。これで、2マークを大神がトップターン。しっかりと回りきり、後続艇を一気に突き放した。首位をガッチリと固め、嬉しい今年初優勝を掴み取ったのであった。

「3号艇が伸びてきたのは見えたけど、1マークはほぼイメージ通りに回れました」。大神は大きく慌てた様子もなかったし、冷静だった。これで、この優勝戦も含め、今節はインコースで4戦4勝となる。

戦い終え、ウィニングランでは、1マークから2マークまで、それぞれの場所で待ち構えるファンの声援に、何度も右手を振って応えた。

彼は今年の8月で40歳を迎える。不惑。今年1年、どんな走りを見せてくれるのか楽しみである。

次走は多摩川の一般戦。もしかしたら最終日、優勝戦の先頭を走っているのは、再び白い勝負服をまとった大神なのかもしれない。


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