ボートレース若松優勝選手


王冠過去の優勝選手

平成25年8月17日
日刊スポーツ杯争奪お盆特選競走

「インは譲らん」田頭実 気合の逃走! 今年5V到達

3257 田頭実(福岡)

地元福岡勢が火花を散らした若松ボートの「日刊スポーツ杯争奪お盆特選競走」が17日、最終日を迎えた。優勝戦は、2号艇の田頭実(福岡=46歳)がピット離れで素早く飛び出してインコースを奪取。コンマ09の田頭らしい鋭いスタートを決め、他艇の攻めを許さぬインモンキーで完封。当地は通算8度目、今年は5回目の優勝を飾った。ミスター若松は、昨年に続いて今年も好調である。

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様々なドラマが生まれる若松ナイター。当地でナイターレースが始まったのが2004年の5月1日なので、来年の5月で10年になる。「西日本初! 九州にナイターボート登場!」と当時はうたわれ、開幕シリーズは特段大きな注目を集めたものである。

そんな歴史的開幕戦を優勝したのは、当時37歳の田頭実だった。

ミスター若松と呼ばれるほど若松水面で実績を残し活躍していた田頭は、初日ドリーム戦1号艇に選ばれると、そこから順調に勝ち上がり優勝戦1号艇に乗艇。瓜生正義や上滝和則、平尾崇典ら強敵を抑え、イン速攻で優勝。見事、一人目の若松ナイターキングに輝いたのであった。本当に強かった。その時、出走表に記載された田頭の現在勝率は「7.05」である。

それから年月が経ち、田頭も46歳。これまで不調な時期もあった。A1級から陥落したことも1度や2度ではない。だがそれでも、田頭は今、強さを取り戻している。昨年は驚異の“優勝7回”をやってのけた。SG・GI記念戦線にも戻った。そして、今節の出走表に記された現在勝率は、なんとも衰え知らずの「7.11」である。

今回の若松お盆シリーズでも、田頭の快走は光った。初日を連勝で飛び出すと、そのまま連対を続けて予選2位通過。前走地の下関では11連勝完全Vをやってのけており、「そのリズムを崩せず走れている」と大充実。準優では1人だけ危なげないイン逃走を披露して突破。優勝戦の2号艇へと座った。対する1号艇には機力節一と呼ばれた吉田弘文が構えていたが、両者の明暗はクッキリと別れることになる。

ピット離れで吉田が大失敗。「最終日は調整に失敗しておかしかった」と、完全に置いて行かれる。逆に田頭は「今日は特訓から感触が良かった」と抜群の足で、P離れで勢いよく飛び出すと、狙っていたインコースを取ることに成功した。吉田が前付けに来たものの「インは譲らんと思っていた」と、しっかりはねのけた。こうなれば田頭が勝ったも同然。若松のイン戦は、田頭の十八番なのだ。今節もイン戦4勝を挙げている。インからコンマ09の鋭発決めたミスター若松は、2コースの吉田を突き放すように、1マークをパワフルに旋回。マクれるものならマクってみろ、差せるものなら差してみろと言わんばかりの気合のイン逃走一気。「1マークの舟のかかりは、今節で一番良かった」。最終日にきっちり機力アップしてくるベテラン田頭には脱帽だった。バック直線に先頭で抜けると、そのままリードを保ち優勝ゴール。当地では8回目となる美酒を味わったのだった。

レース後のウィニングラン。水面際の観客からは大きな歓声。田頭はそれに応えるように、ゆっくりゆっくりとボートを走らせ、何度も何度もガッツポーズしてみせた。やっぱり若松での田頭の人気、まだまだ絶大である。

今後は約一ヶ月のフライング休みに入る。「休み明けの戸田から、また一走一走頑張って走ります」。大きな花束を持って、笑顔で帰路につく田頭の表情には、「手応え」と「充実」という文字が浮かんでいるようであった。昨年は7Vと記録を残したが、今年は8月時点で5V到達。調子は変わらず良い。ミスター若松の視線には、きっともう昨年の大数字がくっきりと見えている。


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