ボートレース若松優勝選手
平成25年7月9日
GⅢ ビートル杯争奪戦競走
ミズマクリ5発!! よみがえった水摩敦 今年初Vだ!
地元の若きマクリ屋が帰ってきた――。若松ボートの「GⅢ ビートル杯争奪戦競走」は9日、最終12Rで優勝戦が行われ、水摩敦(27歳=福岡)が4コースのカド位置から鋭いスタートを決めてマクリ一撃。内艇を一気に沈めこむ本領発揮の走りで今年初、ホーム若松では通算5度目の優勝を飾った。前期は高い事故点で苦しんだが、この優勝が復活の足がかりとなりそうだ。
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足かせはあまりに重かった。昨年の冬頃から、つい最近まで、水摩は事故点でもがき苦しんでいた。
昨年12月。目を覆いたくなる師走だった。尼崎で一節間に2度の転覆を喫すると、続く芦屋でも転覆。リズムを変えようと挑んだ三国では待機行動違反を取られてしまい、さらにフライングに散った。真冬の北陸の風はあまりに痛かった。
年が明けて今年。若松の正月レースでは懸命に走って優出を果たしたものの、1月末のGI九州地区選では〈1,6,4,5,5,6,6,6,6着〉という低空飛行。モーターは出ない、スタートもいけない。出番はなかった。続く琵琶湖一般戦では妨害失格、賞典除外。狂った歯車は止まらない。
そんな彼に、2月は悪夢が襲う。GI周年記念レースが2節立て続けに入っていたのである。事故点に足を縛られ、首を絞められているような水摩。もう、記念で戦う余裕などなかった。どん底を味わうことになる。
〈2月戸田周年 655666666着〉
〈2月下関周年 666666646着〉
18走して6着が15本。気を失うレベルである。
そんな状態で、3月はフライング休み。季節は春になったが、4月になってもまだ苦しんでいた。一般戦でも予選落ちが目立つ。だが、5月に期が新しく変わり、リセットされ、水摩のリズムも徐々に変化してきた。6月は攻めのレースが見えはじめ、復調の気配が漂い始める。
そして今月。若松水面でやっと水摩の表情に笑みが戻った。
「久しぶりの好感触です! すべての足がいい」と、初日からエンジンには絶大の信頼。若松のエース級63号機は、近況苦しむ水摩を助けるように噴き上がってくれた。抜群の伸び足を誇ったこのエンジンは、マクリを好む水摩のレーススタイルにもピタリと合い、予選からマクリ攻勢で4勝。しっかりと優勝戦まで駒を進めることに成功した。
大一番は4号艇。そしてカド位置。「理想的でした」とほくそ笑む。そこから、コンマ07の鋭発をぶち込んだ。「エンジンはここまで仕上がるとは思わなかったほど良かったし、もうスタートだけに集中していました」。直線の展示タイムは1人だけズバ抜けて良く、1人だけゼロ台スタート。うなりをあげる水摩のエンジンに、このスタートは十分すぎるほどだった。スリット通過時点で勝利は決した。スロー起こしの木村光宏、松本勝也、高沖健太のA1級3者をマクリで沈め、1マークを抜けると単独先頭へ。爽快マクリを決めた地元の若きヒーローは、多くの歓声、拍手の中、当地5度目のVゴールを果たしたのだった。
表彰式のステージでは晴れやかな表情だった。「勝てて幸せです。前期は事故でたくさんの人に迷惑をかけたし、今回の地元戦はしっかりと走りたいと思っていました。また若松に来たら攻めるレースを見せます!」。高らかにファンに誓うと、この日一番の歓声が水摩にかけられた。若松水面ではこれまで大ケガなどのツライ思いもしたが、でも水摩を助けてくれるのも、やはりここ若松なのである。このVをきっかけに、復活する。
今はB1級の身だが、今期(5月1日~)はここまで勝率6.50は超えている。A1級復帰はそう遠くないだろう。
もう、重苦しい足かせはない。もがいた足ほど、強くなる。事故には細心の注意をはらいながら、今年下半期は水摩らしい迫力のパフォーマンスを披露する。