ボートレース若松優勝選手
平成25年6月16日
九州スポーツ杯争奪戦競走
藤岡俊介が梅雨明け! もやもや晴らす逃走V!
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梅雨の季節ではあるが、藤岡は溜まったうっ憤を一気に晴らした。
意地でも勝つ――。そんな気迫が彼にはあった。ポールポジション1号艇で迎えたこの大一番。コース取りから、藤岡の強気がよく伝わってきた。ピットアウトと同時に、2号艇の西田靖が1コースを強奪しようと動いてきたのだが、藤岡はこのベテランを激しく突っ張る。固い意志を見せた。「(1枠が決まった)前日夜から、インを取る気でした」。せっかく掴んだ好枠。いくら相手が"インの鬼"だろうと、そう易々と譲るわけにはいかない。腹をくくったこの29歳は、断固としてインを渡さなかった。
進入は123/456で発進。そこから藤岡が決めたスタートはコンマ16。スリット隊形はほぼ横並び。こうなれば、何よりもイン先マイへ。誰にも差させない俊敏ターンで、逃走一気。他艇は全く歯が立たず。早々と1マークでケリをつけた藤岡は、心地良さそうに飛ばし、周回を重ね、トップでゴールラインを駆け抜けていったのだった。
西田以外、89期~94期の年齢が近い選手が揃ったこの一戦。この世代を引っ張るべき1人である藤岡がしっかりと結果を残した。
ウィニングランを終えて、ピットに戻ってきた彼からは笑顔がこぼれた。「ほんと嬉しいです! 今日まで、優勝戦1号艇で4回続けて負けていたので、これで吹っ切れましたね」。
藤岡は実力ある若手である。ハンドルのキレとスタート力は高い。今のところ5期連続でA1級もキープしている。2010年にデビュー初Vを飾ると、そこから約1年間で、優勝をポンポンポンと3つ重ねた。順調だった。ところが、前回優勝の2011年3月平和島以来、2年以上も優勝から遠ざかってしまっていた。優出は多く、V戦にはコンスタントに顔を出すので意外に感じる人もいるだろうが、藤岡は勝利まで一歩が届かずに、ここ一番で苦汁を嘗め続けていたのだった。特に1号艇で負けることを本人は悔しがっており、つい最近も今年4月浜名湖で1号艇でインから敗れた。
だからこそ、今回の若松で負の流れに終止符を打った意味は大きかった。1つのトンネルを抜け、晴れやかな藤岡の表情が、またこれからの活躍を予感させるようであった。
「久々に優勝できてスッキリしました。これからは、もっと上の舞台で活躍できるように頑張ります」
胸を張って、若松から帰路についた藤岡。優勝できずに耐えたこの2年間の苦しみもこれから糧になるのだろう。今後は、師匠・吉川元浩と共にGI、SG戦を盛り上げるレーサーである。
来月には自身30歳の誕生日を迎える。選手として、脂ののってくる30代へ。一足早く"梅雨明け"した藤岡に、これから熱い夏がやってくる。