ボートレース若松優勝選手
平成25年3月22日
第30回日本モーターボート選手会会長杯争奪戦競走
誰もマクれん、差されん! 谷野錬志が力強く逃走V!
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他艇の攻撃、そのすべてを弾き返して谷野は優勝を掴み取った。
「完ぺきでした。100点と書いてもらっていいです」。レース後、そう堂々と言ってのけた1号艇の谷野には、仕事を果たした男の充実感が漂っていた。
進入は146/235。6号艇のベテラン・間嶋仁志と、4号艇の鎌田義が前付けに動いてくる。2号艇のスタート切れる上野真之介はカドに入り、3号艇の巧腕・後藤浩、好モーターを駆る5号艇山本兼士も上野をマークして虎視眈々とアウトに構えていた。
この優勝戦、1号艇にとってはやりにくいメンバーであった。
だが、それでも谷野はひるまない。強力な相棒がいる。節間5勝を挙げた20号機。「舟足は全部いい。1番出てると思う」。モーターには絶対の信頼を寄せていた。さらに、優勝戦の時間帯は風がほとんどない絶好の静水面。最終日は、1号艇が7勝を挙げるイン有利な状況。谷野には"追い風"が吹いていた。負けられない。
個性的な先輩らが進入動いてこようが、谷野はしっかりとインを確保して、そこから鋭く踏み込んでみせた。スタート展示がコンマ06で、本番がコンマ09。この大一番でもスタート決めれる力も谷野の大きな武器である。ただ、スリット隊形は最悪の中ヘコみ。3コースの間嶋がドカ遅れ。カド4コースから上野が飛び出してきて、内を締めてくる。飲み込まれると危険だ。だが、谷野が1マークまでにグイッと艇を伸ばしてイン先マイへ。上野がマクリ差しハンドルを切ったが、それも全く寄せ付けないインモンキーを打つ。しなやかで、力強い。誰の艇先も寄せ付けない。1マークを回ると、あとは谷野のVロードがひらけていた。トップ独走で完勝。前付けも、不利なスリット隊形も、攻め込んでくる佐賀の若武者も、すべて蹴散らしてみせたのだった。
強いイン逃げだった。そう思う。
これが今年初V。今期の谷野は好調だ。勝率は6.80超えていて、A1級ペース。11節走って7優出。前走、児島のGⅡモーターボート大賞では並みいる強豪を抑えて予選2位突破を果たして大きく名を売った。そして今節の若松で優勝。「好調? いやいや、自分はまだまだです。これからもっと頑張ります」。そう言って谷野は自身を引き締め、若松ピットを後にした。
今年、谷野はもっと活躍する気がする。平均コンマ15のスタート力、鋭い旋回力。それらを武器に、また完ぺきに勝ってくれるシーンを見せてくれそうである。