ボートレース若松優勝選手


王冠過去の優勝選手

平成24年12月21日
公営レーシングプレス杯争奪若松覇者決定戦競走

加藤峻二のようなマクリ! 伏兵が主役に! 一柳和孝がV


一柳和孝(埼玉)

加藤峻二の弟子が大マクリ炸裂だ! 7日間のロングランで戦いを繰り広げてきた「公営レーシングプレス杯争奪若松覇者決定戦競走」が、21日に最終日を迎えた。優勝戦は、3号艇の一柳和孝(38歳=埼玉)がダッシュ一発、内4艇をマクリ沈めて快勝。2009年の戸田優勝以来、約3年半ぶりの美酒を味わった。2着には高濱芳久が入線。人気を大きく集めた1号艇・村田修次は3着まで追い上げるのが精一杯だった。

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風が吹いていた。

最終日の若松水面は、朝から強めのホーム追い風5m。そして横なぐりの雨。前日は穏やかな気候だったので、この日はガラリと変わった印象だった。

ホーム側の追い風は、基本的に内有利。決まり手は、逃げか差しが圧倒的多数。こうなれば、まずは1号艇の村田が有利になる。そして2号艇の高濱も。勝利への追い風となるのか。オッズでは、2連単1ー2が3.7倍ほどで大きく売れていた。

だが、本当の"追い風"が吹いているのは、その村田でも、高濱でもなかった。勝利の女神が作った風は、3号艇・一柳の背中を押していたのである。

まずコース争いだ。ピットアウト直後、5号艇の中岡正彦が内を狙いに動いた。それをけん制しながら連動する4号艇・榊原直樹。この2人が動いてきたなら、村田、高濱の内枠両者も黙ってない。せっかく掴んだ好枠。意地がある。早めにスタートラインに艇を向けた。しかし、これが早すぎた。あまりにも。この日の、強めの追い風が内4者の助走距離をじわり、じわりと削っていく。それを横目に、一柳はマイペースにカド5コースを選択した。スロー勢が流れこんで、1254/36の隊形。「(まず勝因は)進入にあります」。一柳がそう口にしたように、この進入の流れは最高だった。

注目のスリット隊形は、絵に描いたような中ヘコミ状態。絶好。カドからコンマ16のスタートを切った一柳は、「レバーを揉んで、全速ではなかった」と振り返るが、それでも十分だった。助走もスタートも甘くなってしまったスロー勢を1艇…2艇…と次々に飲み込んでいき、仕上げにインから意地の先マイを図る村田を、思い切った握りマイで引き波に沈めて勝負アリ。豪快な一撃が、若松水面に炸裂したのだった。一柳マークから差しを狙った大外の落合敬一は、高濱と接触して万事休す。一柳はバックストレッチに先頭で突き抜けると、周回ごとにリードを広げてゴールを果たした。

「1マークは(1号艇を先に回して)マクリ差しも一瞬考えましたね。それでも、今日は伸び足が良くなっていましたし、一気にマクリきれました。気持ち良かったです」

一柳は喜びをかみしめていた。昨日までは回転が回り過ぎで、伸びが欲しいと言っていたが、それが優勝戦では伸びがついた。「雨の湿気で回転が落ちて、いい影響になったかも」という。天気も進入も、一柳にとって良い流れだったというわけである。

「今節は、前検で本当にいいエンジンをひけて、そしてレース展開も良かったです。(リズムに)乗れました」。機力も展開も天候もすべて自分への追い風にして、彼は優勝へと突き進んだのである。

ただ、何より一番彼の背中を押したのは、今節共に参戦していた師匠・加藤峻二の存在である。加藤も今節大活躍で準優まで進出。優出はならなかったものの、何度も観衆を沸かせ、躍動してみせた。「もちろん、加藤さんの存在はずっと自分の力にもなりました!」。優勝戦後まで残っていてくれた師匠に良い結果を見せれて、一柳は嬉しそうだった。マクリで鳴らした加藤にも負けないくらい、迫力あるマクリを打ったと思う。加藤が目尻を下げながら「良かったなぁ」と褒めると、弟子はこの日一番の最高の笑顔をみせたのだった。

今節は11走して、舟券から外れたのは2回だけ。上位着を取りまくって、存在感を大いに見せつけた。ただ、現在はB1級である。次走も伏兵と見られるだろう。しかし軽視は禁物。リズムに乗った一柳は、また再び強烈な風となるのかもしれないのである。


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