ボートレース若松優勝選手
平成24年12月7日
西部競艇記者クラブ杯争奪戦競走
若松はドル箱水面! 勝野竜司がイン逃走で優勝!
天候は崩れたが、この男に乱れはない――。若松ボートで熱戦展開してきた「西部競艇記者クラブ杯」が7日、最終日を迎えた。強い雷雨や雪やヒョウが降るなど、連日天気が不安定だった印象だが、締めくくりの優勝戦は1号艇に構えた勝野竜司(40歳=兵庫)がイン逃走劇を披露。しっかりと多くのファンの期待に応えてみせた。
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インに構えた時の勝負強さは、艇界で5本の指に入るだろう。それが勝野竜司である。
直近6か月間のインコース2連対率は、高信頼度の91%オーバー。次々と逃走を決めてこの数字を叩き出した。とにかく強い。しぶとい。インが取れる時は、その利をきっちりと生かして、星を取りこぼさない。抜群の安定感を誇っている。
そんな勝野が、今シリーズ優勝戦もしっかりと逃走を決めて見せた。
5号艇の出畑孝典がスローに動いてきたものの、それをしっかりとガードしながらインに入る。進入は152/463。スリットでは、センターの2号艇・桐本康臣や、4号艇・渡邊雄一郎が若干のぞいてきたものの、勝野がそれを受け止めながらインモンキー発動。「舟足は五分五分でした」と、決して突出した機力ではなかったが、ターンマークをきっちり外さずに旋回。勝野の懐狙って差しハンドルを切った各艇の動きも良かったが、そこは勝野が許すまじと、バック直線で他艇を振り切る。そして、トップ独走でゴールラインを駆け抜けた。
レース後には、小雨が降る中ではあったが、ビクトリー花火が祝福する中をウィニングラン。水面際にいたファンの声援に応えた。「やっぱり、ここのウィニングランは花火があがるし、いつも感動しますね。この天気でも、お客さん出てきてくれて嬉しい」と、勝者だけの喜びを味わった。
1号艇でインに入り、断トツ1番人気だったこの一戦。若松現地で観戦したファンはもちろん、全国各地で勝野から勝負したファンは多かっただろう。その支持に十分応えた。
本当に強い。勝野のイン戦は、過去10走を切り取って見ても、1号艇でインに入ったら、1着が9本。2着が1本。この強さは何なのか。
「うーん、自分ではそんなにイン逃げに強い自信はないですけどね。まだまだだと思います。10戦9勝と結果は出てますけど、その1回負けてるのが気になりますしね」
彼はそう言って謙遜した。インからのスタートは早いし、旋回も巧い。間違いなくトップレベル。満足してもいい結果だろう。だが、それよりも1回負けたレースが気になるのだと勝野は語る。
その1回とは、今節の初日DR戦だった。インから1艇身スタートを放ったが、5コースから同体だった桐本にマクリ差されて惜敗したレース。勝野はその1戦を鮮明に覚えていた。そして、自分がどう動いたのか。桐本の差しはどうだったのか。なぜ負けたのかを今も考えていた。
インコースとは勝つ確率の高いコース。だから、負けた時こそ学ぶことは多いはず。敗れた時の反省を、次回に生かす。勝野の強さの秘密は、そこにあるのだと感じた。
今年のレースはあと1節。住之江一般戦を走って仕事納めとなる。「来年のこととか、先のことは考えてないですけど、また目の前の1走1走頑張ってきます」。勝野はそう言って、笑顔で若松ピットを後にした。最後も強い勝野を観衆に見せ、2012年を締めくくる。