ボートレース若松優勝選手
平成24年11月25日
GⅢビートル杯争奪戦競走
サンフレッチェ広島もV 池本輝明もV!
若松ボートの「GⅢビートル杯争奪戦競走」の優勝戦が25日に行われた。「サッカーのサンフレッチェ広島が優勝したので、僕もその波に乗って優勝したいです」。レース前にそう語っていた2号艇・池本輝明(45歳=広島)が、広島魂を奮い立たせ、2コースから渾身の巧差しを決めてVゴール。約1年1か月ぶりの嬉しい美酒を味わった。来期勝率は6.87でA1級復帰も決め、波に乗りはじめた。
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1986年にデビューしたので今年でプロ26年目。そんな池本が、ベテランらしい冷静な展開読みと、的確なハンドルさばきで優勝をたぐり寄せた。
この優勝戦は、シリーズリーダーである1号艇の山本隆幸に対して、4号艇の郷原章平がカド位置からどこまで攻めていけるかというのが大きな構図だった。郷原はかなり足に自信を持っていた。特にスタート時の行き足~伸び。よって、インの山本が逃げるのか、郷原がまくるのか。そこが焦点だった。当然、この両者の頭舟券はよく売れた。だがしかし、やっぱり逃げる者と、それを潰しにかかる者は相反する。上手く両立するわけはなかった。
注目の1周1マークは、ゼロ台スタートからやはりマクリを仕掛けた地元・郷原に、銀河系・山本が意地のけん制。お互いに張り合い、ターンを外していた。
「これは思ったような展開でしたね」
2コースからコンマ14スタートで発進した池本は、この握り合う2艇を見ながら、そう思っていた。想定通り――。激しくぶつかる後輩達を横目に、自分はしっかりとスピード落として、差しハンドルを切る。内コースを主戦場とする池本。こんな展開は今まで何度も経験してきのだろう。落ち着きながらも素早い1番差し。郷原マークの外枠勢の差しも許さない。見事。流れた山本をしっかりと捕まえてみせ、バックストレッチに抜け出す。黒い勝負服は、体を弾ませた。
バック中間地点では、まだすぐそばに構えた山本の姿が気になったと言う池本だが、2マーク先マイから折り返して、優勝を確信した。池本のエンジンは日に日にバランスが良くなり上位級で、最終日の特訓でも満足の仕上がりを見せていた。もう、抜かれるわけはなかった。悠々と3周を先頭で走りきり、約1年1か月ぶりの優勝ゴールを味わった。
「うれしいですね。やっぱり」
久しぶりの表彰式だったが、池本は淡々と言葉を並べた。若手のように喜びを爆発させることはない。
今年は全国各地で10回の優勝戦に乗ったが、すべて負けた。今年11回目の挑戦で勝ち取った優勝に、本人は「(優勝の)確率が悪いですね」と、少し唇を噛んで悔しそうな表情をみせた。
それでも、コンスタントに優出を重ねたのだから、勝率も上昇。今はA2級の身だが、来期適用勝率(今年5月~10月)は6.87で、A1級へと復帰する。実りの秋になったのではないだろうか。さらに、通算1着回数も1489まで伸ばし、偉大な1500勝もすぐそこだ。「また1走1走、一生懸命に頑張ります」。池本は大きなことは言わないが、そう力強く締めくくった。
今後、年内は三国、児島、下関と一般戦を走る予定だ。そして年明けには、GI地区選に参戦する。リズムアップした安芸のベテラン池本。次走も、冷静で的確な走りで勝利を掴みにいく。