ボートレース若松優勝選手
平成24年9月29日
西日本スポーツ杯争奪戦競走
ホワイトクラッシャーの豪快一撃! 白井英治がツケマイV
ネームバリューのある記念選手が数多く集まり、熱戦展開した「西日本スポーツ杯争奪戦競走」が29日に優勝戦を迎えた。注目の大一番は、4コースから発進した4号艇・白井英治(35歳=山口)が、インの梶野学志をマクリ一気で仕留めてトップ独走。今年5回目の優勝を掴み取ってみせた。
その破壊力、そのスピード。これが、白井英治――。
まるで、剛腕打者のフルスイング本塁打や、豪脚ストライカーが振り抜いた弾丸シュートのように、観る者の心にズドンと突き刺さってくる。そんな走りを見せてくれるのがこの男である。
優勝後のウィニングランで、青いカポックに身を包んだ白井が水面に現れると、多くの観客が水面際まで来て手を振っていた。こぶしを握って叫び、そして祝福した。これが、白井の人気の高さ。観衆を魅了する力。この日、きっとまた白井のファンが大勢増えたなと、そう思った。
今回の優勝戦、決して白井にとって余裕のある戦いではなかった。予選道中はグイグイと勝ってきたものの、準優勝戦直前の前半レースでまさかの転覆というアクシデントに見舞われた。機力落ちはないようであったが、その悪い流れは絶ち切れずに、1号艇で迎えた準優はイン先マイを梶野に捕えられ2着に甘んじた。「足落ちはないけど、乗りにくさはでた。回転を合わせないと」と首をかしげた。しかも、今節の白井はスタートにも難があった。一節の平均タイミングはコンマ20と鈍く、不安材料であった。
だが、それでも白井はスタートをいけなくても勝ってみせた。圧倒的な旋回力で。
4コースから発進した彼は、コンマ22のスタート。やはり、スリットで1人だけ抜けることはなかった。だが、ここからだ。白井はダッシュ分伸びていき、勢いよく1マークに突っ込んでいく。そして潰すべき相手を見つける。標的は1人。インから逃げを図る梶野だ。準優で負けた相手である。白井はまるでリベンジするかのごとく強ツケマイを選択して梶野に外から襲い掛かった。マクリ差しへの迷いなどまったくない。梶野は出足がいいので、差して届く保証もない。それなら、叩いて勝つ――。逃げる白カポックの外側を、絶妙の高速ターンで付けて回る。SG戦で磨かれたツケマイが牙を剥く。力強く、確実に。見事、梶野を引き波の中へと沈めていったのだった。
地力の違いを、まざまざと見せつけられた。これが、2012年後期適用勝率が全選手でナンバー1(8.76)に輝く男の実力だ。
「また、ここ(若松)に来いよー! 白井最高ー!」
ウィニングランで手を振っていた男性の一人がそう叫んだ。白井もにこやかに手を振り返す。何度も生で見たくなるのが白井のパフォーマンス。こんな優勝戦を見せられたら、そう叫ぶ気持ちもわかる。
若松でリズムアップした白井は、次節江戸川のGIIモーターボート大賞へと向かう。続けて芦屋のGI周年記念、そして福岡のSG全日本選手権へと転戦する予定だ。福岡ダービーでは初日DR戦1号艇を掴んだ勝率ナンバーワン男が、その破壊力とスピードで、今秋大暴れしそうな気配が漂いはじめている。