ボートレース若松優勝選手


王冠過去の優勝選手

平成24年9月8日
MBP北九州MD開設6周年記念競走

振りきって、逃げ切った! 山本寛久が今年5V到達


山本寛久(岡山)

「MBP北九州MD開設6周年記念競走」が8日、第12Rで優勝戦が行われ、1号艇の山本寛久(36歳=岡山)がイン先制から他艇を振り切って1着ゴール。昨年はケガで苦しみ十分に走れず、優勝回数2回だった巧腕が、今年はすでに5回目の優勝に到達。復活を印象付けた。

優勝戦はヒヤリとした。

山本は絶好枠の1号艇に乗艇。進入はゆったりとした枠なり3対3。最終日の水面は穏やかで、イン艇が8勝も挙げる有利な状況。これは山本に追い風が吹いているように思えたが、それでもラクには勝てなかった。

牙を剥いたのは上昇モーターを駆る4号艇・岩崎正哉。この男が激しく迫ってきたのだ。スリットはほぼ横並びだったので、真っ先にイン先マイに打ってでた山本。そこへ、岩崎が4コースから差しを入れる。バックストレッチ入口では山本が少しリードしたが、ここから岩崎が伸びてきた。勢いよく、山本の内側へと近づいてくる。ぐんぐん詰まる艇間。もし岩崎に捕まれば、一気に形勢が不利になる……。必死に体を揺らしながら、山本はバック直線を走った。「優勝したい」。意地と執念で、岩崎の前を締めた。艇が並ぶ直前に、なんとか2マークを先取ることに成功。これが大きかった。岩崎は外に振って差し返しを狙うが、ここで後れをとって勝負アリ。山本が一気に突き放して、優勝ゴール。「優勝戦は回転の調整が少し合ってなかったですね。(2マークは)先に回してもらったのが大きかったです」。V戦メンバーの中では機力が威張れなかった山本が、汗を流して掴んだ1勝だった。

「なんとか、形になりましたね」

山本はそう言って、胸を撫で下ろした。その言葉に、今節のすべてが詰まっているようだった。

成績だけ見れば、1着5本、2着3本、着外1回だけで、快調にVロードを突き進んだようにも見える。だが、そうではなかった。

前検に引いた37号機の感触がイマイチで、初日ドリーム戦はコンマ30のスタートから5着大敗。初日は目立たず、重い船出となっていた。そこで、2日目からはピストン2本を換えるなど、整備に調整に汗を流して、舟足向上に努めた。そうすることで、徐々に足は上向き、バランスも取れ、感触は良化。ただ、それでも機力はまだ万全とは言えなかった。そんな中で迎えた優勝戦。機力で上回る対戦相手を必死に抑え込み、優勝という結果を残してみせたのだった。

山本は昨年12月の男女W優勝戦に続けて、これで若松連覇。「ここはよく勝たせてもらってますし、水面相性はいいと思います」と頬を緩めた。

今回の優勝で、今年の優勝回数は5回に到達したわけだが、「今年の目標は特に考えてません。また目の前の1走に集中して頑張るだけですね」と自分のペースを何より大事にする。昨年はケガで休んで出走回数も減り、十分に走れなかったからこそ、今年は特に1走1走に力を込めて走り抜く。

きっと次走もマイペースに走り、どんな不利な局面でも簡単には土をつけないだろう。大きなことは言わないが、仕事はしぶとく、形にする。それが山本寛久という男である。


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