ボートレース若松優勝選手


王冠過去の優勝選手

平成24年8月13日
日刊スポーツ杯争奪お盆特選競走

吉田弘文がイン圧逃! 若松4連続V!


吉田弘文(福岡)

吉田が驚異の記録達成――。若松ボートで熱戦を展開してきた「日刊スポーツ杯争奪お盆特選競走」が13日、最終12Rで注目の優勝戦が行われ、吉田弘文(福岡=35歳)が圧倒的支持に応えるイン逃走を披露して快勝。2010年5月、2011年6月、2012年4月に続く当地4連続優勝を成し遂げた。

愛知の蒲郡で、赤岩善生が蒲郡5連続Vをやってのけたが、ここ若松では吉田も負けてない。

最近の吉田は強い。特に若松に来たら、さらに勝ちまくる。もう“若松といえば吉田”と言っても、差し支えはない。出走表に記載されている最近3年間の当地勝率は9.37。3連対率は100%という、とんでもなく凄い数字を誇っているのである。そして、3連続優勝中。

もちろん今シリーズも、開幕前から優勝候補筆頭としてその名が挙がっていた。

ただ、吉田には越えなければいけない壁があった。

瓜生正義である。昨年はSGを2つも優勝。当地周年レースも優勝したことがある九州のエースだ。実績なら吉田を大きくリードする。吉田にとって、この瓜生をどうやって倒すかが1つのポイントだった。

初日メインのドリーム戦は、そんな2人が1、2号艇に乗艇。結果、1着は1号艇の瓜生が取り、吉田は2番手追走ゴール。初日DR戦はシリーズを占うともいわれるが、まさにこのDR戦ワン・ツーの2人が、その後の予選道中をグイグイ引っ張っていったのだった。瓜生が勝てば、吉田も勝つ。お互いに一歩もひかない。そうして、予選得点率は9.50でトップを2人が並走。しかも1着数も同じ。結局、予選首位の座は、勝ちタイムの差で吉田が勝ち取ることになる。吉田が1分47秒7、瓜生が1分47秒9という僅差の結果だった。吉田は「タイムは狙っていました」とキッパリ言い切った。瓜生と自分が得点率トップで並ぶことを想定し、予選首位になるために、タイムアタックをやっていたのである。予選1位→準優1号艇→優勝戦1号艇という優勝への道筋をその脳裏に描いて。

ただ一つ、吉田も想定外だったのは、意識していた瓜生が準優で消えたということだろう。準優10Rで1号艇だった瓜生は、インから痛恨すぎるスタートミスで凡退したのである。続く11R1号艇だった吉田は、瓜生の敗戦直後ではあったが、自身を乱すことなく、インから一気に押し切って勝利。きっちりとV戦入りを果たしたのである。

こうなれば、2人横綱時代から1人横綱時代へ。他の大関陣が打倒・吉田にいくら名乗りをあげても、もう彼は揺るがない。

優勝戦の吉田は、別次元の走りだった。1号艇にドッシリと構え、インからコンマ16の好スタートを放つ。4コースから益田啓司の艇先が少しのぞいてきたが、3コースの西山貴浩にひっかかっている間に高速インモンキーで1マークを制圧。まくらせず、差させず、他艇に影を踏ませぬイン逃げで圧倒。1マークを抜けると、ぶっちぎりの先頭。あとは、悠々と一人旅で、当地4連続Vのゴールを駆け抜けていったのだった。

2着の艇に大差をつける優勝。だが、本人は少し首を傾げた。「1マークはハンドルをきりそこねて、少し甘かった。下手なレースをしたなぁ」。1周1マークで他艇を完全に置き去りにしていたが、本人は決して100点満点ではなかった。「エンジンのおかげ、コース勝ち、実力以上」と終始謙虚な姿勢を貫いた吉田。だが、エンジンを仕上げたのも、優勝戦1枠を掴み取ったのも吉田の実力である。今節、何度も見せつけられた切れ味鋭い次元の違うターンは、観衆に吉田の力を十分に示したと思う。これで今年5回目の優勝到達。出走回数不足でA2級暮らしをしているが、今の勢いならすぐにA1級に復帰するし、SG戦線にも戻り、返り咲くだろう。

若松4連続Vについて聞かれた吉田は、「赤岩君に負けないように」とだけ言って笑った。きっと前夜くらいから少し意識したのだろう。次回、吉田が当地に参戦する時は今回以上に注目である。若松名物のビクトリー花火を5連続であげれるのは、吉田しかいない。


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