ボートレース若松優勝選手
平成24年6月4日
九州スポーツ杯争奪戦競走
石川真二が気迫のイン逃走! 今年4Vだ!
最近、初日DR戦を勝った選手が優勝するケースが続いている。
5月最初の「アサヒワンダカップ」では、DR戦を5コースから鮮烈に制した山地正樹が、そのまま予選トップで勝ち上がって優勝した。続く「マンスリーBOATRACEカップ」DR戦は、萩原秀人がイン逃げ、そのままグイグイ勝ち進んで一直線にVゴールを決めた。若松では、初日にしっかりと好走した選手が最後もしっかり締めることが多いようである。
そんなことを思いながら迎えた今節の「九州スポーツ杯」。
注目のDR戦は、石川真二が制した。2コース発進から、インの山一鉄也を差して1着。幸先良いスタートで期待も高まる。その後も、1、3、2、4、1、1、1、1着と、そつなく着をまとめる。今節はすべて3コース以内に進入して、内寄りからさばく。「(序盤は)起こしが不安定だったけど、4日目あたりから良くなってきた」と、スローの命でもある起こしを改善し、後半は4連勝と勢いに乗ってV戦入りを果たしたのだった。
優勝戦は2号艇に乗艇。一方、1号艇に座るのは、こっちもシリーズ後半に5連勝で勢いに乗っている伊藤宏。
伊藤は毎レースのようにトップスタートを放ち、とにかく鋭いスタートで白星を取っていた。一節の平均タイミングはコンマ10。それとは対照的に、石川がトップスタートを切ったのは、初日DR戦と、セミファイナルの準優の2回だけ。平均スタートはコンマ18。スタートいかずも、きっちり得点を稼いでくるのがなんとも憎らしいというか、さすが勝負時を計っているというか。
そして、石川は優勝戦という大一番で、最も貪欲だった。
正直、優勝戦の前日までは、進入は枠なりの可能性が高いと思っていた。だが、そうじゃなかった。石川は「2号艇だがら、2コースという考え方を僕はしない」と言葉を残し、その通りに、スタート展示からインを取りにいったのだ。この、展示からイン取りを見せるのが正々堂々だ。スタート展示はジッとしていて、本番で動くという策略もあっただろうが、石川はそうはしない。そのおかげで、舟券を買う客としても、“1号艇伊藤のイン”という考えと別に、“2号艇石川のイン”という想定でレース展開も考えることが出来た。
本番でも、石川はインを奪取した。
進入隊形は213/564。「1つでも内を狙うのが自分の姿勢だからね。本番も、相手の動きを見て、インを取れそうだったから取りました」。
石川の目は、勝利の炎に燃えていた。少し深い位置の起こしになったが、鬼気迫るコンマ03スタートをぶちこんだのだ。ここ一番で、今節一の早いタイミング。もちろん、2コースの伊藤も抑えるトップスタート! 「スタートはいく気でした」。こうなれば、1マークは石川が先マイ。伊藤は外を握ってきたが、弾き返す。そのままバックストレッチに抜けて先頭へ。勝負の大勢は決まろうとしていた。ただ、2周1マークは石川の失敗で、2番手追走の伊藤に迫られるシーンもあった。だが、それでも無事に先頭を守りきりゴールイン。6月で早くも今年4回目の優勝を飾ったのだった。
若松はこれで、2009年12月に続いて2節連続V。「若松は大好き」と本人が言うように、当地勝率は8.00をオーバーと良い成績を残している。
石川は愛知支部だが、今は福岡県在住。ウィニングランでは、多くの地元の観客が水面際に出てきて、拍手したり手を振って石川を祝福した。「お客さん達、結構いてくれましたね」と、ピットに帰ってきた石川は、予想以上の祝福に驚いた様子だった。「次にまた若松に来た時も、優勝できるように頑張ります」。そう締めくくって、帰路についたのだった。
“ある意味、地元”の若松で勢い加速した石川。今年V5は、もうすぐそこだ。