ボートレース若松優勝選手


王冠過去の優勝選手

平成24年5月11日
アサヒワンダカップ

山地正樹が11戦8勝で優勝! 来月の若松GIへ弾み!


3933 山地正樹(岡山)

陸(おか)の上では口撃を仕掛けられ、水上でも全速攻撃で襲いかかられた。それでも、1番人気で1号艇の山地正樹は、ひるまなかった。

優勝戦前の公開インタビューでのこと。まず3号艇の別府昌樹が、山地を揺さぶりに動いた。MCから進入想定を聞かれた別府は、少しだけ口角をあげ、何か含み笑いのような表情で1号艇のほうを向いた。

「山地くん、進入は登番順だよね?」

まさかの年功序列的発言が飛び出したのだ。別府はこのV戦の中では、一番上の79期。山地は81期。もしそれなら、別府がインを取ることになる。これには山地も苦笑いを浮かべた。もちろん、別府も冗談半分。先輩からの後輩イジリのような、動揺作戦のような質問に、観客席からは笑いが起こった。他の対戦メンバー達も、くすりと笑った。ただ、山地は黙っているだけでは面白くなかったのだろう。ここで一言切り返した。「いや、僕も同級生なんで(進入は譲りません)」。そうか。たしかに、この2人は期は違っても同じ1977年まれ。同学年である。この山地の反撃で、別府も苦笑して引き下がったのであった。

迎えた優勝戦本番。公開ステージから、水の上に舞台を移した6人。そこでも、山地を強襲したのは別府だった。

進入は枠なり123/456。インを無事に取り終えた山地は、コンマ06の気合がヒシヒシ伝わる渾身の快ショットを放った。舟足は良い仕上がりだったので、こうなればイン有利に逃走を図るだけだ。逆に他の艇はピンチ。このままでは山地に逃げられる。そこで、3号艇・別府が握りマイを敢行。赤い勝負服が風を切って山地に襲いかかる。

だが、それを迎え撃つ山地も強かった。パワフルなインモンキーで、別府の攻勢を迎え撃つ。マクらせない。かといって飛びつくわけでもなく、イン先マイ。別府は外に膨らむ。万事休す。同学年対決は、山地に軍配だった。

ただ、この両者の動きを見て展開を突いてきたのが、4号艇の別府正幸だった。3コースの別府昌樹が握り、4コースの別府正幸が空いた所を差す別府連弾。W別府が山地を引きずり下ろしにかかったのである。

バック直線では4号艇の別府が差しあがってくるのが目に入った。ジワリ、ジワリ伸びる。今節の別府は切れるレース、好ファイトが目立っていたので、ここも大仕事の予感はあった。それでも、インから先に旋回をした山地のアドバンテージは大きかった。別府の差し足が届く前に、ボートを内側へ。相手の進路をカット。そしてそのまま2マークを先取り。別府は外に振って差し返しを狙う。しかし届かず。2マークをしっかりとターンした山地が、単独先頭へ。後方から両別府が追走してくるも、白いカポックは快調に飛ばして安全圏へ。そのままトップでゴールイン。今年初の美酒を味わったのだった。

若松では新ペラ制度一発目だった今シリーズ。前検では多くの選手の回転が上がらず、山地も苦しんでいた。「まず、スタートを届くようにしないといけない」という発言に、不安も覚えた。

それでも、連日上手くプロペラ調整して乗りこなした。最終日、まだ回転の上がりには少し不満は残っていたようだが、「前のプロペラのような感触」と言えるほどの戦える舟足を作っていた。その結果が、11戦8勝という圧倒的優勝。リズム良く白星を取れるその集中力にも拍手である。

次走は住之江、浜名湖と渡り、そして来月9日からはGI若松周年に登場予定の山地。新ペラ制度になって幸先良く優勝した自信は大きいだろう。そして、今節のペラ情報を持って再び当地へ――。この男から目を離さないほうがいいかもしれない。


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